第2話
そんな関係が始まって半年ほど経ち、学年が一つ上がると被っていた授業がなくなり、実習などで会うことが少なくなっていった。私はこのままぬるい関係を続けるのならば、本気になる一歩手前の今のまま終わってしまえば辛くはならないと思い、自分からは連絡を取ることはしなかった。しかし1ヶ月もしないうちに彼女から電話がかかってきて一緒にご飯を食べに行くことになった。
当日、私は久しぶりに会う彼女と友達以上恋人未満のこの関係をはっきりさせるためにどんな話をすればいいのか考えを頭の中に巡らせていたが、そんな考えも虚しく私は彼女のペースに飲まれてしまっていた。
「それでね、その人がね……」
飲み物に手をつけ、いつものように食事をしながら楽しそうに話をする彼女を見ていると、このままでもいいのかもしれない、という考えが頭を過る。
「…今日来たくなかった?」
私の様子を見て彼女が少し寂しそうに笑う。つまらなさそうな顔をしていたのだろうか。
「そんなんじゃないよ! …ただ…さ、これからみなみは私との関係どうしたい?」
「どうしたいって…私はあかりと一緒にいたいよ」
率直に聞いてみると彼女は思ったよりもあっさり答えた。
「それってさ…私と恋愛関係で付き合うってこと?付き合わないでこのままの関係がいいってこと?」
今しかない、そう思い聞いてみた。
「私はあかりがいいなら付き合いたい。あかりが嫌ならこれ以上一緒に居ることはできない」
少し脅されている気分になったが彼女の目は本気だった。私は彼女と離れることが想像出来ず、承諾してしまった。後のことを考えている余裕などなかった。この時、私は彼女が隠していることに気付くことが出来なかった。
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