第3話[散歩の続き]

クローディアさんがクレイモアを引きずりながら戻ってきて

ザコ相手なら自己責任で前に出るのは自由だけど

ユニットを組んだメンバーはサポートするのがルールだそうで・・・

あまり前に出すぎるとサポートしきれないと思う。


相手が強いときは戦略と戦術を決めて行動するそうです。


フィールドに出たらやるかやられるかの覚悟はしておくようにと・・・重い。


冒険者の暗黙のルールがいくつかあるそうなので、

食事しながら聞くことになりました。


ゲルハルトさんの武器のお試しも気が済んだみたいで、私のスキルチェック。

ターゲットの狼に衝撃魔法を使って威力を確認するそうです。


クローデイアさんとゲルハルトさんは周りからほかのモンスターが

邪魔しないようにと両サイドに立ってくれています。


オリビアさんは私の後ろで「がんばって~」と楽しそう


手のひらの上で魔法を起動して・・・属性の色(風はうすい緑)で光ながら魔法陣が発生するので

周りから見たらこれから魔法使いますってバレバレなんですよね


ふと前を見たら、ターゲットの狼と目が合って・・・

私「あ、ヤバ・・・」

すごい勢いでこちらに向かってきます

私(うそ~間に合う感じがしないけど)

狼が口を開けて飛びかかって来た瞬間と、私が手を前にだして発動させる瞬間

私の時間が一瞬止まったような錯覚がして・・・


「パチン」


私の背後で指を鳴らすかわいい音が響きました。


私の目の前の地面、狼の真下に黒い影が広がって

氷の刃?(氷柱が)狼を貫きました。


一瞬の出来事で次の瞬間には氷が砕け散って

思わず「きれい」と見とれていたら・・・

私の背筋が凍り付く気がして、まあ戦慄って感じなのでしょうが、

私(なにこれ?)


振り返れば当然のように笑顔のオリビアさんがいて・・・

私「???」言葉もでなくて苦笑いです。


オリビア「大丈夫?」

いろんな意味で言ってくれたようです。

後で聞いたら私の顔から血の気が失せていたそうで。


やっと絞り出した言葉が

私「ありがとうございます・・・魔法ですか?あれ・・」

私(魔法陣の発動がなかったから錬金術ってやつかな?)

オリビア「ん?ああ、あの子?ペットみたいな感じかな。」

私「あ、なるほど召喚士なんですね。」

だから武装する必要がないのか・・・納得してしまった。

私「でも・・・あの破壊力って普通のモンスターじゃ・・・悪魔クラス?」

オリビア「えへへ」

笑ってごまかされました、また、私の背中が凍り付く感じがしました。

私(この子、ヤバイかも・・・)


横で苦笑いしていたクローディアさんから

「そろそろ戻ろうか、帰る頃には暗くなりそう」

そう言ってクレイモアを引きずりながら戻りだしました。


私「あ、はい」

私(あ・・・何もしてない)

そう思いながら後ろについていきます。


オリビア「は~い」


「どて」


後ろで派手に転んだようです。膝から血が出ているのが見えて

クローディア「お、出番だね」

私「あ、はい」


涙目のオリビアさん・・・(この子、ヤバイ・・・かわいい)

の横で治癒魔法を起動、ピンクに発光させて手を当てて

血と汚れを拭き取ったら何事もなかったように復元。

・・・この子いい匂いがする・・・なんだろ?

私(よかった~できた・・・)

オリビア「ありがとう」

私「いえいえ」

私(さっき、あなたに命救われてますよ)と思いつつ。


思い出したら腰が抜けたようで立てない。


クローディア「やれやれ、ハルよろしく」

ゲルハルトさんは無言のままおんぶしてくれて・・・

オリビア「いいな~、わたしも」

ゲルハルト「ムリだろ・・・また今度」

オリビア「しょうがないな~」


結局酒場まで運んでもらってしまった。


アイテム回収のチームと合流して夕食。

私(見た目は普通の人の集まりに見えるのだけれど

冒険者は感覚的に違うのだろうか・・・

・・・あ、この人達ってもしかしてランクが高い?

クローディア「じゃ、改めてよろしくね「***」ちゃん、乾杯~」

私「あ、はい。よろしくお願いします。」

クローディア「ようこそ「アポルオン」へ」

私(聞き覚えがある名前・・・あれ?)


私の冒険が始まるようです。

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