第10話 グダグダ斜女神 第6階層

学校のグラウンド。

「グダグダ~。」

異変が起こっていた。

「グダグダ~。」

学校のグランドで寝転がっている女神教師。

「グダグダ~。」

花壇で花と一緒に咲いている女神教師。

「グダグダ~。」

校門で風紀チェックもせずに突っ立っている女神教師。

「グダグダ~。」

屋上で日向ぼっこしている女神教師。

「グダグダ~。」

完全に女神教師たちはダレきって、グダグダ斜めにいっていた。


グダグダ(⋈◍>◡<◍)。✧♡


職員室。

「グダグダ~。」

ここも女神教師たちはグダグダしていた。

「いや~、ローズヒップティーは実に香りがいいな。おっと!? ここまでグダグダしかしていなくて、やっとグダグダ以外の言葉を発する時がきた。」

さすがは我らが愛美露出手は、グダグダ以外の言葉を発することができた。

「なぜ女神教師たちが、グダグダしているのかを説明しよう。それは、前回の温泉修学旅行の気分が抜けていないから、まだまだグダグダしているのだ。」

ということで女神教師は頭に花が咲いている、おめでたいグダグダ状態なのだった。

「私もグダグダしているので、気安く話しかけないでくれたまえ! グダグダ~。」

こうして愛美露出手もグダグダしたお花畑の世界に旅立ったのだった。


グダグダ(⋈◍>◡<◍)。✧♡


学校の教室。

「グダグダ~。」

教室の生徒もグダグダしていた。

「やった! 自習だ!」

前の黒板には自習と大きく書かれていた。

「グダグダ~。」

温泉グダグダ後遺症は温泉に浸かることができた最強の鳥ジズの慈豆と巨大ロボットの佐藤さくらだけであった。

「グダグダ~。」

他の生徒は普段からグダグダしているだけだった。

「巧くん、こんなにグダグダしていていいのかな?」

「いいんじゃない。だってグダグダ斜女神だもの。」

要するに修学旅行編がハードだったので、グダグダしてメリハリをつけているのだった。

「望、好きだ。愛してる。」

「い、いきなり何を!? た、巧くん!?」

「いいじゃないか。みんなグダグダしているんだ。誰も気にしてないさ。」

「た、巧くん。」

グダグダした頃に帰ってくるボーイズラブ。

「ギャア!?」

「うぎゃあ!?」

その時、いちゃついている巧と望の頭を渉がハリセンで叩く。

「やめれい! おまえら! グダグダするのは、温泉に浸かれた者だけにしろっの!」

渉も温泉に入れなかった悔しい組の一人である。

「だって、みんなグダグダしてるよ!?」

「そうだ、そうだ。」

グダグダしたい巧と望は渉にクレームをつける。

「グダグダ文句を言ってないで、碧を見ろ!」

「グダ?」

渉に促され巧と望は、コツコツと裁縫をしている碧を見る。

「コツコツだと!? このグダグダ世界で反対語的な敵対行動をしているとは!?」

グダグダの反対語は、コツコツ。試験に出でるから暗記しよう。

「碧くん!? そんなに真面目にコスプレ衣装を作ってると死んじゃうよ!?」

死なない。死なない。

「真面目? これのどこが?」

「え?」

碧は作っていたコスプレ衣装を巧たちに見せる。

「僕の新作! グダグダ星人の衣装だよ!」

碧の自信作は、なんと赤い火星人を模倣した、燃え尽きた灰色のグダグダ星人のコスプレ衣装だった。

「グダグダ星人!?」

これでグダグダ斜女神の社会的な影響力を考えれば、コミケは宇宙人がいっぱいになるだろう。

「あ、間違えて5着も作っちゃった。今頃、昴はどこまで遠回りさせられているんだろう?」

遠くを見つめる巧たちだった。


グダグダ(⋈◍>◡<◍)。✧♡


第2回 安全だけど遠回りの旅。

「こんにちわ! 昴です! 私は今、2国目の北朝鮮に来ています!」

昴は日本から海を渡らされ、韓国から北朝鮮にまで進んでいた。

「そして重大発表があります! 私に仲間が出来ました!」

話が進んでも、グダグダした展開である。

「韓国の女神のぺ・ジウさんです!」

「ぺ・ジウです! ジウ姫と呼んでください! よろしくお願いします!」

説明しよう。韓国と女神で検索しても、韓国ドラマやシャンプーしかでてこなかった・・・。ので、ヨン様と相手役を複合した、グダグダ・ハイブリッドな名前になった。

「それでは皆さん! さようなら!」

「アンニョンヒカセヨ! トマンナヨ!」

ジウ姫は「さようなら、また会いましょう。」と言っている。

「もしかしたら、私はおいしいポジションを手に入れたのでは!?」

昴は、安全に世界一周旅行を楽しみ、世界中でハーレムを作ることが可能で、しかも外国語教室的な立場も手に入れた自分にグダグダ酔いしれた。


グダグダ(⋈◍>◡<◍)。✧♡


学校の芝生の中庭。

「ジュボボボボボ、良い、御手前で。」

女神教師たちは中庭で、桜の木の下での大道具セットを組み、桜の花びらが風で舞い散る中、グダグダとお茶会をしている。

「お茶とお団子はおいしいですなー!」

「あー!? 茶柱が立った!? こいつは春から縁起がいい!」

「ワッハッハー!」

今は11月である。

「愛美露出手お姉さま、質問があります。」

「なんですか?」

「ここまでグダグダしないといけないのですか?」

これは女神教師たち全員の疑問であった。普通に遊んでいればグダグダしているので、特別グダグダする意味がないように感じてしまうのだった。

「ピキン!?」

一瞬で愛美露出手の表情が険しくなる。

「あなたたちには分からないのですか!?」

「ゾクー!?」

愛美露出手の一言に女神教師たちは背筋が凍る思いをする。

「なぜ我々が特別グダグダしているのか!? 分からないなら教えてあげましょう! これは修学旅行のグダグダ前後賞です!」

「前後賞!?」

「修学旅行に前後賞があったのか!?」

説明しよう。強敵と戦ったら戦後は回復や訓練をして強化する。修学旅行を強敵とした場合、特別グダグダして旅行の疲れを回復したり、次の戦いに備えて、グダグダの訓練をしている、女神の休日なのだ。

「ということで、あと2,3日はグダグダしましょう。」

「やった! 正当なグダグダだ! わ~い!」

「酒持ってこい! つまみも出せ!」

「ポイズン・スルメイカもあるよ!」

「殺す気か!」

「キャッハッハ!」

女神教師たちは遊んで暮らせることを喜んだ。


グダグダ(⋈◍>◡<◍)。✧♡


「グ・・・ダ・・・グ・・・ダ・・・バタ。」

その結果、女神教師たちは寒い11月の初冬の風の中で裸踊りに宴会のバカ騒ぎをし、ベットで死の淵を彷徨いながら寝込むことになった。


グダグダ(⋈◍>◡<◍)。✧♡


教室。

「また自習・・・。」

巧たち生徒が朝、教室にやって来て、黒板の自主の文字を見る。

「おいおい、こんなに自習ばかりで僕たちは高校をちゃんと卒業できるんだろうな?」

「巧くん!? 卒業の前に進級できるかも怪しいよ!?」

「本当にグダグダだな。」

だってグダグダ斜女神だもの。

「おまえたち、せっかくの自習だし、課外自習として街に繰り出そうぜ!」

渉が巧たちに街に行って遊ぼうと言い出した。

「じゃあ、コスプレ衣装を着て行こうよ!」

碧も学校を抜け出すことに賛成だった。

「どんなコスプレ衣装?」

「グダグダ星人~♪」

「・・・僕、勉強する。」

「巧くんが行かないなら、私も行かない。」

「ええー!? なんで!?」

グダグダ星人のコスプレ衣装は大人気だった。


グダグダ(⋈◍>◡<◍)。✧♡


渋谷の街。

「結局、来てしまった・・・。」

「巧くん、本当にグダグダしているね。」

巧たちはグダグダ星人のコスプレ衣装を着て4人で街にやって来た。

「それにしても、コスプレ衣装を着ている人が多いな? ハロウィンは10月末日に終わったはずなのに?」

「何を言ってるのさ? 渋谷は1年中ハロウィンだよ。」

「何!?」

「そうだったのか!? ・・・知らなかった。」

碧のグダグダ発言に驚く巧たち。街中には黄色い一つ目小僧や、露出狂のお姉さんたちがたくさんいた。

「ハロウィン、いいね。」

「ああ!? 巧くんの浮気者!? エロウィンしちゃあダメだよ!?」

望は巧の浮気を心配する。

「大丈夫だよ。グダグダ星人のコスプレ衣装なら、お触りしても正体はバレないよ!」

「グダグダ星人、最高!」

巧たちは課外授業でエロウィンの行われている渋谷にたどり着いた。まさにグダグダした空間は男のロマンだった。

「そういえば渉がいないな?」

いつの間にか姿が見当たらない渉を探すことにした。


グダグダ(⋈◍>◡<◍)。✧♡


渋谷のスクランブル交差点。

「ああー!? 渉だ!?」

巧たちはスクランブル交差点で戦う渉を見つけた。

「良かった! グダグダ星人の着ぐるみパジャマは脱いでる。」

「巧くん、この物語が着ぐるみバトルにならなくて良かったね。」

「それ、いいね。着ぐるみの中から、イケメンお兄さんが現れるってやつ。」

巧たちはグダグダが本流であり、渉の戦いへの関心は最優先ではなかった。

「なになに? グダグダ・バトル・トーナメント大会?」

トーナメント大会の名称もグダグダしていた。

「うわあ!?」

スクランブル交差点で戦っている渉が相手に吹き飛ばされて悲鳴をあげる。

「ああ!? 渉がやられてる!?」

なんと元邪悪なるある方、くしゃみをしてクシュン様、そして現在は魔神渉。グダグダの中にも出世をしてきたのだった。そんな渉でも、相手に吹き飛ばされてしまった。

「クソッ!? こんなはずでは!?」

「魔神? 魔界の神かと思って、面白い戦いになるかと期待したが、とんだ見当違いだったようだ。話にならない。」

この男が空神翔。悪くはない名前である。きっとイケメンに違いない・・・性格は悪そうだが。

「負けを認めたらどうだい? 魔神くんよ。」

「ふざけるな! おまえも道連れにしてやる!」

渉は最後の力を振り絞って、邪悪なオーラを集め始める。

「エビル・エネルギー・ブレイク!」

そして翔を目掛けて、一気に邪悪なエネルギー破を放出した。

「ひょい。」

翔は軽やかに渉の攻撃を交わした。

「む、無念。」

渉は翔に負けてしまった。

「渉!」

「渉くん! 大丈夫!?」

巧と望は渉を心配して駆け寄る。

「く、悔しいぜ・・・迷子になってグダグダしてたら、なぜか試合に出ることになって・・・ま、まさか・・・元邪悪なある方のこの俺様が負けるとは・・・。」

渉は翔に負けたことを本気で悔しがっていた。

「僕の作ったグダグダ星人のコスプレ衣装はどうしたんだ!?」

碧はグダグダ星人のコスプレ衣装を心配して駆け寄る。

「大人気・・・グダグダ星人のコスプレ衣装は奴らに奪われた。すまない・・・俺様の代わりに取り返してくれ・・・バタ。」

そう言うと、渉は深い眠りに着いた。

「渉ー!!!」

巧の渉の名前を呼ぶ声が渋谷の街に響き渡る。

「渉が死んでしまうなんて・・・。」

「いや、死んではないと思うよ?。」

悲しみにくれる巧たち。

「ハッハッハ! そんな弱い奴が友達とは、おまえたちも弱いんだろう。これだから弱い奴は嫌なんだ。」

「なんだと!?」

巧たちをバカにして挑発する。

「やるって言うなら、掛かって来いよ! グダグダ・ファイトは飛び入り参加は自由だぜ! ハッハッハ!」

戦闘に参加する方法も、グダグダである。

「もう、やってるよ。」

巧は愛ある美しい女神の化身オーラを身にまとい、望がエネルギーを黄金のバスターランチャーに注入している。

「巧くん、グダグダエネルギー充電36パーセント。」

「了解。こんなゴミ、20パーセントもあれば十分だろ?」

巧は黄金のバスターランチャーの引き金に手を当て、翔をスコープの中心にロックオンする。

「当たれー!!!」

黄金のバスターランチャーから女神の化身オーラが駆ける目掛けて飛んで行く。

「なに!? しかし、こんなもの避けてしまえば、どうということはない!?」

翔がエネルギー破を軽やかに回避したかに見えた。

「曲がれー!!!」

巧と望が放った女神の化身オーラのエネルギー破は、急に曲がり翔をどこまでも追いかけた。

「ま、曲がって追いかけてくるだと!? ウギャア!?」

曲がった女神の化身オーラのエネルギー破は翔を捉えて命中する。

「ふん、口ほどにもない。」

「巧くんには、私がついているからね。」

巧と望は渉の敵討ちを、あっさりと果たすことができた。

「今の間に、僕の作ったグダグダ星人のコスプレ衣装を取り戻さなくっちゃ。」

碧は翔サイドに行き、次作のグダグダ星人のコスプレ衣装を探していた。

「ギャア!? 助けて!? 巧くん!? 望くん!?」

「なんだ!? 碧か!?」

「碧くん!?」

碧が翔の友達たちに捕まった。

「悪いがグダグダ星人のコスプレ衣装と、この可愛らしい男を返してほしければ、私たちを全員倒すんだな。」

翔も友達4人で渋谷の街に遊びに来ていた。

「俺は陸神漣。」

「おいらは海神嵐。」

「私は無神築。おまえたちに私たちを倒せるはずはないと思うがな。」

陸海空と無の4人パーティーであった。

「ウギャア!?」

「そんな!?」

漣と嵐を女神の化身オーラが圧縮された黄金のバスターランチャーのエネルギー破が撃ち抜く。

「ある女神様が言っていた。自己紹介する程度の雑魚は、消していいと。」

もちろん愛美露出手お姉さま語録である。

「悪いが、おまえも消えてもらうぞ。」

巧の表情は、まさに戦士の顔をしていた。

「巧くん、カッコイイ!」

望は巧の凛々しい姿に惚れ直していた。

「フッ、おまえたちを見くびっていたようだな。だが、私を翔漣嵐と一緒にしてもらっては困るな。なめるなよ。」

築は巧と望に啖呵を切る。

「巧くん、確かに今までの陸海空の三人とは違う・・・まるで別次元だ!?」

「ええ~い!? はあ・・・はあ・・・こいつから感じるプレッシャーはなんだ!?」

巧と望は築から感じる嫌な気配に呼吸を乱していた。

「ボーイズラブ? あるジャンルの神が宿っている? イケメンキャラばかりで腐女子人気でガッチリ儲ける? グダグダ? そんなことはどうでもいい。」

築はグダグダ斜女神の作品を否定する。

「どうでもいいだと!?」

「私に宿る神は、無だ。おまえたちが、どんな攻撃をしようとも、私にダメージを与えることはできない。」

築は自分の属性が無であることに絶対の自信を持っている。

「それが通した? やってみないと分からないだろ。」

「巧くんの言う通り。チャージ300パーセント完了。いつでも撃てるよ!」

「望、発射時の衝撃で吹き飛ばされないように、僕にしっかり捕まっていてね。」

「はい! 抱きついて離しません!」

巧と望の愛の合体攻撃の黄金のバスターランチャーの女神の化身オーラの圧縮が完成し、最大出力での発射準備ができた。

「無である私の前に攻撃は無意味なのが分からないのか。」

築は目の前の太陽のように集められた黄金の光を見ても微動だにしなかった。

「無がなんだか知らないが、全て消えてしまえー!!!」

巧は黄金のバスターランチャーの引き金を引く。

「・・・。」

黄金の女神の化身オーラのエネルギー破が築を襲い包み込む。

「やったか!?」

「巧くん、私たちの愛の勝利だよ!」

巧と望は自分たちの勝利を確信したかにみえた。

「な、なに!?」

「ど、どうして!?」

急に巧と望の喜んでいた表情が恐怖の表情に変わっていく。

「言っただろ? 私の属性は無だと。いかなる攻撃も無効にして無傷。無こそ最大の防御であり、全てを無の世界に葬り去り、無かったことにしてしまう、無こそ最大の攻撃だ。無が一番強いに決まってるだろう。」

女神の化身オーラのエネルギー破を受けても無事だった築は、これから自分が攻撃に回り勝利することを確信している。

「クソッ!? 無には勝てないのか!?」

「怖いよ!? 巧くん!?」

巧と望は、いきなり形勢が逆転し動揺を隠せない。

「全て無の世界に呑み込まれるがいい! 何も無い! 誰も居ない世界へ行くがいい! ノー・ワールド!!!」

無への世界の入り口が開く。

「うわあ!?」

「巧くん!? 助けて!?」

巧と望は無の世界に呑み込まれていった。

「これでグダグダ星人のコスプレ衣装は、私の物だ! ワッハッハー!」

築はレアアイテムのグダグダ星人のコスプレ衣装が欲しかったのだ。

「そんな気持ち悪いコスプレ衣装なんか、本当に欲しいのか?」

その時だった。女の声でグダグダ星人のコスプレ衣装を完全に否定する。

「何者だ!?」

築は不吉な声のする無の世界の入り口の方へ振り返った。

「よくも私の化身に手を出してくれたな。」

無の世界の入り口から逆に現れたのは愛美露出手であった。それぞれの片手に巧と望を抱きかかえている。

「め、女神だと!? バカな!? 女神は修学旅行の疲れで、グダグダしていたはず!?」

「グダグダばっかりしてたら、見せ場がないだろう? それにしても詳しいな? おまえ・・・うちの生徒だな。」

「ギク!?」

なんと築は巧たちと同じ渋谷塚高校の生徒だった。

「おまえは校則を知っているか? 第1条、いつ、いかなるときも、女神教師の言うことは絶対で、生徒は服従しなければならない。」

渋谷塚高校にはグダグダした校則があった。

「そんなもん知るか!? 校則は破るためにあるんだ! ここは学校の中でもない! 自由が許される渋谷の街中だ!」

築は愛美露出手に対して、自己の能力である無の力で愛美露出手を無の世界に葬り去ろうと無の力を集約し始めた。

「愚かな。」

愛美露出手は恐怖の無の力の使用者を目の前にしても微動だにしない。

「教師がなんだ! 学校がなんだ! 無の力が最強なんだ! ノー・ワールド!」

築は無の世界に愛美露出手を落とそうと、無の世界の入り口を開ける。

「無というのは酸素を無くせば火も燃えない。水を無くせば人間は生きていくこともできない。一見、無は最強のアトリビュートと思うかもしれない。」

無の力を説明する愛美露出手を無の世界の入り口が吸い込もうとしていく。

「だが、そんな無でも無にできないものがある。おまえに分かるか?」

「無にできないものだと!?」

築は無にできないものなど考えたこともなかった。

「それは・・・。」

「それは!?」

「愛だ!」

「愛!?」

愛美露出手は無が無にできないものは、愛だと言う。

「そうだ! 愛だ! 親が子供に与える愛情、お花畑にグダグダと佇んでいる愛、校門で風紀チェックをしても違反者を見逃す愛、お茶会で茶柱が立つのも、全て愛だ! 生きとし生ける者に注がれる愛だ! 誰が愛を無にすることができようか?」

少しグダグダな愛も混じっているが、それも愛・・・きっと愛。

「それで・・・。」

築の様子が変だ。愛美露出手の愛論を受講しても、良心の呵責で葛藤しているのか、それとも怒っているように力を溜め込んでいた。

「愛がなんぼのもんじゃい! 愛なんかクソッくらいだ!」

最近、キレる人間が多いという。親の愛情が極端に少なかったのだろう。

「哀れな。自分の存在自体、生きる喜びも否定するとは。」

人間、女神も愛あればこその存在である。

「そんなこと知るか! 全て消し去れば、私の勝ちだ!」

「完全な現代病だな。勝ち負けだけで人生の価値を決めるなどと、幼稚な。」

「うるさい!!!」

キレる現代っ子の築は、電子機器の画面ばかり見ているので、生きた人間とのコミュニケーションの取り方が分からなかった。

「例え女神でも、この攻撃からは逃れることはできないぞ! ノー・ワールド&ノー・ワールド!」

無の世界の入り口が2つも開いてしまった。そのため空間が歪み2つの無の世界に吸い込もうとする吸引力が衝突し合い、空間の人や物に亀裂や引き千切ろうとする力が働く。

「どうだ? 無の力は偉大なのだ! ワッハッハー!」

築は調子にのって、もう勝った気になっていた。

「クックク。」

体が2つに引き裂かれようとしている愛美露出手は不敵に笑う。

「何がおかしい!?」

「残念だよ。その絶対的な自信のある無の力が、私の愛の前では無意味ということを教えてやろう。」

「なんだと!?」

そう言うと愛美露出手は一本の口紅を取り出した。

「愛と美の女神アプロディーテー・ルージュ・リップスティック!」

これは人気が出れば、ブランド名アプロディーテーで化粧品業界に大手と協賛して参入して、ガッチリ儲けようというグダグダな計算である。

「カキカキ。」

愛美露出手は無の世界への入り口に、口紅で化粧をし始めた。

「できた!」

無の世界の入り口は、愛美露出手のグダグダな口紅で化粧することによって、愛ある美しい世界の入り口に変わってしまった。

「わ、私の無の世界が・・・私の無の世界が消されるなんて!? そんな・・・バカな。」

築は絶対的な自信を持っていた無の世界が、意図も簡単にかき消されて自信を失ってしまう。

「愛に勝るものはない。おまえの無など、愛の前には意味はない。」

説明しよう。愛美露出手は第3次異世界大戦も敵対する人間、武器、花や空気に至るまで口紅で落書きをし、争いの世界を愛ある美しい世界へと変え、戦争を終結させたのであった。

「孤独を吹き飛ばして、みんなと仲良くしよう。そして校則を破った罪を償って生きるがいい!」

あくまでも許す気はない愛美露出手であった。

「だが私も、そこまで鬼ではない。私のハイパー・メガー・パーティクル・ウェブ・カノンのラブ・アンド・ビューティーで吹き飛ばすと、全宇宙まで吹き飛んでしまうのでやめてあげよう。」

女神の慈悲である。

「巧、望。」

「了解です! 愛美露出手様!」

「チャージ1000パーセントでお待ちしていました!」

巧と望は黄金のバスターランチャーを構えて、黄金の女神の化身オーラを充電して待機していたのだった。

「撃て!」

「当たれー!!!!!」

愛美露出手の指示で巧は黄金のバスターランチャーの引き金を引き、黄金の女神の化身オーラのエネルギー破を放つ。

「あ、逸れた・・・。」

しかし、グダグダしているので黄金の女神の化身オーラのエネルギー破は築に当たらなかった。

「え? うわあ!?」

愛美露出手に命中してしまい、彼女は黄金の女神の化身オーラのエネルギー破の中に消えていき、黄金のバスターランチャーに1000パーセントも女神の化身オーラを充電したために、ずっとエネルギー破は出っ放しであった。

「な、なんだ!? 脅かしやがって!? 味方の攻撃に当たって消滅したのか!? ハッハッハ! 結局、勝つの無の力なのだ!」

築はグダグダな展開にバカ笑いをした。

「それはどうかな?」

愛美露出手の化身の望は余裕の表情でグダグダしている。

「なに!?」

築は嫌なプレッシャーを感じる。

「巧くんと私は別におまえを狙った訳じゃない。」

「そうなの!?」

巧はしっかりと築を狙っていた。

「どういうことだ!?」

築の嫌な予感は現実のモノになろうとしていた。

「愛ある美しい黄金の女神の化身オーラのエネルギー破を愛美露出手様が浴び続けたらどうなると思う?」

「まさか!? 最初から愛美露出手を狙っていたというのか!?」

「その通り。」

1000パーセント分の黄金のバスターランチャーに充電された黄金の女神の化身オーラのエネルギー破が、ゆっくりと全て放出しきり、光の中から愛美露出手が・・・いや、愛と美の女神アプロディーテーが黄金に輝きながら現れる。

「美しくない者には死あるのみ。」

グダグダしている愛美露出手とは違い、愛と美の女神アプロディーテーは、美しくないものには冷酷非情であった。

「私は美しいだけでなく優しいから、最後のチャンスをやろう。無駄な抵抗は止めて反省するというなら許してやるぞ?」

「フン! 誰が反省なんかするもんか! 女神がなんだ! 教育委員会にチクってやる!」

「そうか・・・消えるがいい。」

愛と美の女神アプロディーテーは黄金の女神オーラにより片手を作る。

「な、なんだ!? これはサイコキネシス!?」

そして、そのまま築の頭を、脳みそを黄金の片手で掴む。

「ア・ラビィング・ビューティフル・フラワー・ガーデン!」

築に何も言う間も与えずに、脳みそを地面に叩きつけた。

「私は触れていないので教育委員会や警察に言っても、私を懲戒免職や遠方に左遷することはできない。」

愛ある美しいお花畑。愛と美の女神アプロディーテーの必殺技であった。

「ぼ、僕、絶対にアプロディーテー様には逆らわない!?」

「わ、私はアプロディーテー様の化身で良かった!?」

改めて巧と望は、愛と美の女神アプロディーテーの偉大さを知り、おしっこが盛れそうなほど震えあがっていた。

「・・・。」

地面に突き刺さった築くの周囲には、築中心にきれいなお花畑が咲き誇っていた。

「君の欲しがっていたグダグダ星人のコスプレ衣装をあげるね。もし、君が略奪や誘拐、僕の友達の渉をいじめたりせずに、素直にグダグダ星人のコスプレ衣装がカッコいいから欲しいですって言ってくれたら、僕たちは友達になれたかもしれないのに・・・。」

碧はグダグダ星人のコスプレ衣装を、地面に頭の突き刺さっている築の側に、そっと置いて去って行った。


グダグダ(⋈◍>◡<◍)。✧♡


翌日の学校。

「築です。よろしく!」

転校生として堂々とやって来た築くの頭にはグダグダの花が咲いていた。

「・・・。」

巧たちは鳩が豆鉄砲を食ったよう顔をして、ただ茫然とした。

「また美しものを作ってしまった。」

その様子を見ていた愛美露出手先生は、愛ある美しい花を今日も咲かせ続けるのであった。


つづく(⋈◍>◡<◍)。✧♡








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