第4話 愛美露出手
舞台ステージから始まる。
「清く! 正しく! 勇ましく!」
ステージには渋谷塚歌劇団部の部員たちが煌びやかでファンシーな衣装を着て歌と踊りを始める。
「勇ましい、それは戦い。勇ましい、それは強さ。勇ましい、勇ましい、勇ましいって、何~!」
ステージはセットを変え、男性と女性を残して他の団員は舞台から消えていく。
「刃覇夢徒、あなたはどうしてバハムートなの!?」
男の名前は最強の竜バハムートが擬人化した刃覇夢徒。
「さくら、君こそどうして巨大ロボットなんだ!?」
女の名前は地球防衛隊の巨大ロボットが巨大化する前の女子高生の佐藤さくら。
「バハムート!」
「さくら!」
ステージ中央で抱き合う2人は歌劇団部のトップスターである。
「や! きゃあ! や! きゃあ!」
ステージは回転して2人を下げる。そして代わりにバニーガールの衣装をした歌劇団部の部員が横一列に並び足をあげるラインダンスをする。
「パチパチパチパチ!」
美しいダンスに、お客さんの盛大な拍手が送られる。
「う!」
セットが大階段に代わり黒い燕尾服を着た男役が階段を降りて配置に着く。
「う! う! う!」
ピシピシっと燕尾服を着た男役たちがポーズを決めていく。
「清く! 正しく! 勇ましく!」
ステージの真ん中に大きな羽を背中に背負った刃覇夢徒と佐藤さくらが現れる。
「陽が出た出た、陽が出た。」
「よいよい。」
最後に歌劇団部の部員で大合唱をして、ステージの緞帳が降りてきて幕を閉じる。
「パチパチパチパチ!」
お客さんの盛大な拍手で歌劇団部の舞台は終わった。
どうしても最初にアニメ的に華やかな絵が必要になる。これでも巧と望は学校に登校中だった。
「どうだ? おかしいだろ? うちの高校は生徒も部活動も、みんな変だろう。」
これも巧が学校を嫌いな理由の一つである。
「そう? 歌劇団部のステージを見てみたいな。最近はアイドル部、軽音部、ブラスバンド部、吹奏楽部、オーケストラ部とか同じ内容ばかりだし、人気声優をメンバーに入れとけば失敗はないし、そこに歌劇団部も入れていいんじゃないかな。女性ファンが増えるよ。」
望は自分の学校に歌劇団部があることが嬉しくなった。
「そ、そうか。歌劇団部を認めたとしても、うちの高校には爆弾部、野菜部、献血部とか変な部活動ばかりあるんだぞ。」
巧は渋谷塚高校の部活動はゲテモノばかりだと言う。
「巧くん、まともな部活動はないの?」
望は巧に気を使って聞いた。
「名前だけまともなのは、図書部やバスケットボール部があったはずだが、どっちも魔法使いや妖精と小人に支配されているという。みんな変だろう。」
巧は部活動の全てが変だという。
「まあまあ、巧くんだって帰宅部じゃないか。」
望は巧を落ち着かせようとする。
「そうです。妖精と小人を怒らせてはいけません。大変なことになりますよ。」
なぜか巧の家に現れた妖精が話す。
「そうホビ。妖精も小人も気性が荒いホビ。
同じく小人も話す。」
「おまえたちはどうして、僕の後をついて来るの?」
巧は妖精と小人に疑念を抱いている。
「それが妖精と小人の知り合いに会いに行こうとしたら道に迷いました。」
「そうホビ。だから主になってもらって知り合いの所に連れていってもらおうと思ったホビ。」
妖精と小人は仲が良かった。
「巧くん、私というものがありながら浮気するなんて酷い!?」
望は妖精と小人に嫉妬する。
「あのな!? こいつらが勝手についてきているだけだ!」
巧は浮気を否定する。
「じゃあ!? 浮気していないんだね!? やった! 巧くんは私のものだ!」
望は巧の浮気疑惑が晴れて抱きつこうとする。
「抱きつこうとするな! 男のクセに! 僕にその趣味はない!」
巧はホモではなかった。
「残念・・・。」
望は少し拗ねる。
「おまえたち、面倒臭いから望に自己紹介しろ。」
巧は妖精と小人に望に挨拶させる。
「初めまして。私は闇の妖精ドヴェルグと申します。以後お見知りおきを。」
妖精の名前はドヴェルグで属性は闇らしい。
「おはようございますホビ。ホビットのホビちゃんですホビ。」
小人の名前はホビちゃんで語尾にホビとつく。
「こちらこそ、愛神望です。もしも巧くんに手を出したら殺すからね。」
望は最初が肝心と妖精と小人を脅す。
「ご安心ください。巧様には主として仕えるだけで恋愛感情はありません。」
ドヴェルグは巧に恋心はなかった。
「ホビちゃんも、友達の国が滅ぼされたから、お見舞いに行きたいだけだぞ。」
ホビちゃんも巧には興味すらなかった。
「よろしい! 2人を巧くんの護衛に任命します!」
ちなみに望には何の権限もない。
「勝手に決めるないでよ!?」
これから巧はトイレに行く時も妖精と小人に監視される。
「ホビちゃん、友達の国が滅んだって、どういうこと?」
望はホビちゃんに質問する。
「実は・・・渋谷の駅の地下にあったドワーフ王国が渋谷駅の再開発で人間に破壊されたホビ。」
ホビットの友達はドワーフだった。
「なんだって!? 可哀そうに。ドワーフにも生活があっただろうに・・・。」
巧はドワーフに同情する。
「まさかと思うけど、ドワーフの友達の名前は何て言うの?」
望はホビちゃんに尋ねる。
「ドワちゃんホビ。」
ドワーフの名前はドワちゃんだった。
「・・・やっぱり。」
望は予想通りだったが後味が悪かった。
「ドワちゃんは語尾にドワをつける癖があるホビ。」
ホビちゃんも語尾にホビがついている。
「学校に遅れるドワドワドワドワ!」
その時、1人のドワーフが学校に向けて走っていく。
「あんな感じかな?」
望はホビちゃんに尋ねる。
「そうですホビ。あんな感じ・・・ドワちゃんホビ!?」
ホビちゃんは探していた友達のドワーフのドワちゃんを見つける。
「学校に行きそうだね。」
望はドワーフの去って行った方向に学校があるとホビットに伝える。
「主! 早く学校に行くホビ!」
ホビットは巧にせがむ。
「おお!」
何がなんだか分からないが巧たちは駆け足で学校に向かったので遅刻しなかった。
教室。
「いないホビ・・・。」
ホビットの友達のドワーフはいなかった。
「はあはあはあ・・・。」
巧は走って来たので息がきれている。
「大丈夫? 巧くん。」
望は巧を心配する。
「ああ。それにしれもなぜ望は走って来て息がきれないんだ?」
巧は望に質問する。
「私、女神の化身ですから。イヒ。」
望は愛と美の女神アプロディーテーの化身であった。
「ただの女装癖だろ。」
巧は望の言うことを信じていなかった。
「キーンコーンカーンコーン!」
始業のベルが鳴る。
「愛美露出手先生だ!? 席に着け。」
「うん。」
巧と望は席に着いた。
「おはようございます。今日は・・・。」
担任の愛美露出手先生がやって来た。教壇の前に立ち朝の挨拶を始める。
(ムムムッ!? どうして教室に闇の妖精とホビットがいるの!?)
愛美露出手には闇の妖精ドヴェルグとホビットのホビちゃんが見えた。
(時神に憑いているということは・・・また、あいつの仕業か!?)
妖精と小人は巧に憑いていた。
(アプロディーテー様! イヒ!)
愛美露出手は望を見た。望は笑顔で答える。
(あの・・・ダメ化身め・・・。)
愛美露出手は自分の化身ながら苛立つ。
「それでは美術の授業を始める。愛神、脱げ。」
絵のモデルは化身の仕事である。
「ええ!? また私ですか!?」
これが愛美露出手先生の授業スタイルであった。
授業中。望をモデルに生徒たちは絵を書いている。
「おい、妖精と小人。」
愛美露出手は小声で巧みに憑いている妖精と小人に声をかける。
「え!? 人間に私たちの姿が見えるんですか?」
「すごいホビ!?」
妖精と小人は愛美露出手に声をかけられ驚いた。
「私は化身の望を生み出した女神。愛と美の女神アプロディーテーである。」
愛美露出手は自己紹介をする。
「ええー!? あの第3次トアル異世界戦争を終結させたという伝説の女神様ですか!?」
妖精はアプロディーテーだと聞いて驚いた。
「私の名声はどこまでも広がっているんだな。」
アプロディーテーは自画自賛で喜んだ。
「ホビちゃんは知らないホビ。」
アプロディーテーの名声は地底には届いていなかった。
「・・・分かった。今度、ホビット王国を破壊しに行ってやる。」
屈辱を受けた愛美露出手の言葉は冗談のつもりだろうが冗談に聞こえなかった。
「この女神は本気だ!?」
ドヴェルグはホビット王国は歴史から消えると感じた。
「それにしても夜行型の妖精や小人が午前中から活動しているとは珍しいな。」
愛美露出手は質問する。
「時差です!」
妖精と小人は昨夜、巧の家に現れ一緒に眠ったので体調は万全だった。
「それよりもお聞きしたいことがあるホビ。友達のドワーフを探しているんですがどこにいるか知りませんか?」
ホビットは愛美露出手に質問する。
「ドワーフ? 知らないな。」
愛美露出手はホビットを邪険に扱う。
「ホビちゃん、こういう時はこう聞くんだよ。お美しい女神様、ドワーフがどこにいるか教えてください。」
ドヴェルグは愛美露出手にお美しいと付けて願い事をする。
「OK! ドワーフは高校の地下に新ドワーフ王国を建設中だよ。」
愛美露出手は美しいと言われて機嫌が良くなった。
「恐るべし!? 闇の妖精!?」
ホビットは闇の妖精の頭脳に恐怖した。
「背霊寝! 背霊寝!」
愛美露出手は新任教師の雑用係の月の女神セレーネーの背霊寝を呼ぶ。
「はい! 愛美露出手お姉さま!」
颯爽と背霊寝が現れた。
「背霊寝、地下に潜ってドワーフがどこにいるか調べてきて。」
愛美露出手は背霊寝にミッションを与える。
「ええ!? 私は月の女神ですよ!? せめて地下探索ぐらいは大地女神の外野に頼んでくださいよ!?」
背霊寝は抵抗する。
「分かった。外野が変わってくれるなら変わってもらっていいよ。」
愛美露出手は寛容であった。
「ありがとうございます! 愛美露出手お姉さま! やった! 変わってもらうぞ!」
背霊寝は喜んで大地女神ガイアを探しに去って行った。
「なんて扱いやすい女神なんだ。」
愛美露出手は自分も妖精に扱われていることに気づかなかった。
高校の上空。
「私は帰って来た!」
高校の上空に、邪念から進化した悪夢の黒い馬のナイトメアがいる。
「あのオカマ女神の化身に悪夢を見せてまくって倒してやる! ワッハッハー!」
ナイトメアの目的は望だった。
「それにしても暑いな。」
真夏以上の陽射しがナイトメアの背中を焼き付ける。
「アチチチチ!?」
火が背中に発火して、ナイトメアは暑くて駆けずり回る。
太陽光パネルが敷き詰められている学校の屋上。
「あれれ? おかしいな。」
太陽女神天照大神の尼寺須が不思議がっている。
「どうしたの? 尼寺須。」
守護女神アテーナーの宛名が尋ねる。
「太陽光発電システムの調子がおかしいんだ。発電しなかったと思ったら、急に炎が燃えるように発電し始めたんだ。」
もちろん原因はナイトメアである。
「それは確かにおかしいね。・・・まさか!? 上空に不法侵入者が!?」
宛名、大正解。
「ないない。女神が7人もいるうちの高校にケンカを売ってくるバカはいないでしょう。」
尼寺須は間違い。ナイトメアはバカだった。
「そうだね。」
納得する宛名。
「最近、撃ってないから対空砲の試し撃ちでもやっとくか。」
そう宛名が言うと、屋上に無数の対空砲が現れた。
「発射! う~ん! 気持ちいい!」
守護女神として、迎撃訓練は快感だった。
「対空ミサイルも撃っちゃうよ! 追尾システム搭載だよ!」
宛名は絶好調だった。
「撃て! 撃て!」
尼寺須も宛名を後押しする。
高校の上空。
「よし! 火傷の薬も塗ったし、これで大丈夫!」
ナイトメアは太陽光線で火傷した傷口に傷テープを貼って治療した。
「見ていろ! クソ女神共! 悪夢に怯える女神たちの顔が目に浮かぶわ!」
ナイトメアは今度こそ復讐を誓った。
「うわあ!?」
その時、地上から対空砲の弾丸が飛んで来る。
「ギャア!? なんだこれは!?」
無数の弾丸が上空に飛んで来るので、ナイトメアは必死に避け続ける。
「な!? ミサイル!? なな!? 追って来る!?」
ナイトメアはミサイルを発見したので避けようとするも、ミサイルは目標をホーミングした。
高校の屋上。
「たまや! かじや!」
ミサイルが命中し、真昼間だが花火が上がった。
「昼間にお茶と団子のおやつタイムも良いですな~。」
宛名と尼寺須は休憩していた。
「授業中のお茶は最高ですな。これも教師の特権ですな。」
生徒たちは授業中である。
「あれれ? でも上空で命中したということは不法侵入者がいたということでは!?」
尼寺須はいい所に気がついた。
「カラスか飛行機でしょう。気にしない。気にしない。」
宛名は始末書を書くのが嫌だった。
「そうですな。気にしない。気にしない。」
尼寺須も連帯責任を取らされるのが嫌だった。
「オホホホホ!」
2人は美味しくお茶と団子を堪能した。
職員室。
「外野先生。」
月の女神のセレーネーの背霊寝は職員室で大地女神ガイアの外野を見つけた。
「なに? 背霊寝。」
外野は尋ねる。
「実は小人さんが高校の地下にできた新ドワーフ王国を探しているんですけど、愛美露出手お姉さまが外野先生に手伝ってもらいなさいって。」
これは背霊寝は嘘をついて、外野を巻き込んで楽をしようと企んだ。
「ええ!? テストの採点とか仕事がいっぱいあるのに・・・。」
学校の先生はすることが多くて忙しい。
「そんなことを言わないで手伝っておあげないさよ。」
そこに大母女神のキュベレーの九兵衛がやって来た。
「愛美露出手お姉さまの要請だ。仕方がない手伝ってやるか。」
外野は背霊寝を手伝うことにした。
「やった! 外野ありがとう!」
背霊寝は楽できると思って喜んだ。
「良かったね。背霊寝。」
九兵衛も心から喜んだ。
「はい! ありがとう! 九兵衛も来てくれるのね!」
背霊寝は九兵衛にもお礼を言う。
「え!? 私も!?」
九兵衛は予想外の展開に驚く。
「もちろん!」
背霊寝と外野は背霊寝を睨む。
昼休みの教室。
「望、暇だね。」
巧には昼休みは昼ご飯を食べてしまえば退屈だった。
「そうだね。でも私は巧くんの側にいられるだけで楽しいよ。」
望は巧と昼休みをのんびりと過ごせて嬉しかった。
「オカマか!?」
巧は茶化して望に言う。
「オカマだよ。」
望も巧に言われる分には嫌な気持ちにはならない。
「なんでこんな人たちを主にしたのやら。」
闇の妖精ドヴェルグは少し後悔していた。
「ドワーフの新王国が見つかれば、それでいいホビ。」
ホビットは女神様が探してくれているので安心だった。
「あれはなんだ!?」
背霊寝たちが地中を掘っている入り口に黒い馬がいる。
「ああ!? 入り口から穴の中に入っていく!?」
巧たちは黒い馬が穴の中に入って行くのを見た。
「あの黒い馬・・・邪念と同じ気配がした!?」
望は女神の化身なので邪念の気配に気づく。
「なんだって!? とりあえず後を追ってみよう!」
巧たちは穴に向かう。
地下につながる洞窟の入り口前。
「さっきの太陽光線や対空ミサイルはなんだったんだ!?」
悪夢の黒馬ナイトメアは、まだ懲りていなかった。
「よし! 仕切り直しだ! 女神たちが地下につながる穴を掘っているには何か企みがあるに違いない! 今度こそ悪夢を見せてやろうじゃないか!」
ナイトメアは地下に恐怖が待っているのに地下の洞窟に入ろうとする。
背霊寝たちの穴掘り洞窟。
「外野、まだ?」
背霊寝が顔を土だらけにして聞く。
「そう言うなら自分で掘りなさいよ!」
基本、穴掘りは大地女神ガイアの外野が担当していた。
「まあまあ、2人とも。ケンカしないで。」
おまけの九兵衛も何もしなかった。
「まさか海とか山とか火とかでなく、地底から物語が展開していくとは思わなかったな・・・クスン。」
外野は貧乏クジを引いた。
「そうか!?」
外野は閃いた。
「何も手で地面を掘らなくても、私は大地女神! 地震を起こして道を作ればいいんだ!」
自分が大地女神だということを、うっかりさんな外野は思い出した。
「やめろ!? 洞窟が崩落する!?」
背霊寝は外野を注意する。
「そうですよ。地震だなんて、物騒な。」
九兵衛も外野を制止する。
「問答無用! アースシェイカー!」
うっかりさんな外野は洞窟の中にいるのに地震を起こした。
「キャア!?」
「崩れるぞ!?」
「逃げろ!」
洞窟の天井が崩れていく中、背霊寝たちは命からがら地上を目指した。
洞窟の侵入したナイトメア。
「女神たちはどこに行った? 今度こそ、やっつけてやる!」
ナイトメアは打倒、女神に燃えていた。
「あれ? なんだろう? 頭上から土が降ってくる?」
外野が地震を起こしたのが原因だった。
「ギャア!? 急げ!? 逃げろ!?」
洞窟の奥から背霊寝たちがハイスピードで洞窟の出口を目掛けて走ってくる。
「出たな! 女神共! ここであったがおまえたちの運の尽きだ! 覚悟・・・!?」
背霊寝たちはナイトメアの口上を無視して突撃してくる。
「ギャア!?」
背霊寝たちはナイトメアを吹き飛ばして、洞窟の出口を目指す。
「クソ!? またしても女神たちに負けた!? 悔しい!?」
ナイトメアは女神に敗北したのを悔しがる。
「ギャア!? ・・・。」
頭上から洞窟の天井が崩落してきて、ナイトメアは土で生き埋めになった。
洞窟の入り口の地上。
「ふう、危なかった。」
背霊寝は無事に崩れた洞窟から脱出できて安堵する。
「はあ・・・はあ・・・こんなに走ったのは学生の頃以来だわ。」
九兵衛は息を切らすほど一生懸命に走った。
「あ!? 私は大地女神だから、生き埋めになっても助かったのでは!?」
どんどん外野がうっかりさんキャラに設定されていく。
「そういえば何かを蹴っ飛ばしたような・・・まあ、いいっか。」
背霊寝は愛美露出手たち先輩教師にこき使われ過ぎて細かいことは気にしない女神になっていた。
「先生!」
そこに巧たちが駆け付けてきた。
「みんな、どうしたの?」
背霊寝は何事もなかったかのように尋ねる。
「ドワーフの新王国は見つかったんですか?」
巧は尋ねた。
「この状況を見て分からないか? 洞窟の中で外野が地震を起こして崩落して、命からがら逃げてきたんだよ! こんな状況で見つかる訳ないだろう!」
背霊寝は逆ギレした。
「酷いホビ! 約束を破るなんて許せないホビ! 愛美露出手先生に告げ口してやるホビ!」
ホビットのホビちゃんもキレた。
「それだけはお許し下さい! ホビット様!」
背霊寝はホビットに泣いてしがみつくほど、愛美露出手が怖かった。
「ドワドワドワドワ!」
その時、地面から小人が飛び出してきた。
「誰だ!? 新ドワーフ王国を破壊したのは!?」
小人は新ドワーフ王国の住人だった。
「ドワちゃん!?」
小人はホビットが会いたかったドワーフのドワちゃんだった。
「ホビちゃん!?」
ドワーフも友達のホビットを見つけた。
「わ~い!」
2人は抱き合って喜んだ。
「ほら、見ろ。私が地震を起こして大正解じゃないか。」
外野は自信を取り戻した。
「よかったね。ホビちゃん。友達に会えて。」
望たちは小人たちの再会に喜んだ。
「よくない!? 誰だ!? 新ドワーフ王国を破壊したのは!? 殺してやる!」
ドワーフはせっかく作った新ドワーフ王国が壊されて怒っていた。
「ジー。」
全員が犯人の外野を見る。
「ええ!? 私なの!?」
外野はとぼける。
「こら! クソ女神共!? よくも生き埋めにしてくれたな!」
その時、地中からナイトメアが現れる。
「ドワーフさん! あいつです! あいつがドワーフ王国を破壊したんです!」
闇の妖精ドヴェルグは咄嗟の判断で嘘を吐いた。
「あの馬ズラがドワーフ王国を・・・許しません!」
ドワーフは単純だった。
「許さないのはこっちのセリフだ!」
ナイトメアは怒っていた。
「おまえ! 邪念だろう!」
巧はナイトメアに問う。
「その通り! 邪念であった私は、邪悪なるある方のお力でナイトメアに進化することができたのだ! おまえたちオカマに受けた屈辱を晴らしにやって来たのだ!」
ナイトメアは復讐に燃えている。
「誰がオカマだ!?」
巧はツッコミを覚えた。
「なになに!? お馬さんと知り合いなの? 困るわ! 学校に馬なんて持ち込んだら! 愛美露出手先生に怒られるのは私なんだから!」
背霊寝は愛美露出手に怒られないかビビっていた。
「まあまあ、ケンカしないで。」
九兵衛は優しい喋り方で説得力はなかった。
「私、地面から浮いてる敵には弱いからパス。」
外野はナイトメアに興味がなかった。
「ご安心ください! この愛と美の女神アプロディーテー様の化身の私にお任せください! 今までの話は私を通してアプロディーテー様にも筒抜けです!」
望は本性を現した。
「ええー!? 愛美露出手お姉さまに愚痴を聞かれた!? 殺される!?」
絶句したのは背霊寝だった。口は災いの元である。
「許さいないドワ! 国を滅ぼされた恨みを思い知るがいいドワ!」
小人ながらもドワーフは戦うつもりだった。
「ドワちゃんはドワーフのクセに、ブラックスミス・オブ・ナイトと言われている騎士の鍛冶屋で戦闘に長けているホビ。」
ホビットがドワーフの説明をする。
「くらえ! 我がミスリルソードの餌食にしてくれるドワ!」
ドワーフは剣を抜きナイトメアに斬りかかろうとする。
「そうはいくか! 悪夢を見せてやる! バッド・ドリーム!」
ナイトメアは攻撃される前に悪夢を見せてくる。
「zzz。」
ドワーフは一瞬で剣を振り上げたまま気持ち良さそうに熟睡していた。
「ああ!? ドワちゃんが眠ってしまった!?」
巧はドワーフの眠りに落ちる速さに驚く。
「巧くん!? 妖精と小人も眠ってるよ!?」
「zzz。」
闇の妖精ドヴェルグとホビットのホビちゃんも眠ってしまった。
「どうしましょう!? 女神様!?」
望は困って女神たちに救いを求めた。
「愛美露出手お姉さま・・・それはパワハラですよ・・・zzz。」
背霊寝は眠ってしまった。
「この俗物が・・・zzz。」
九兵衛は眠ってしまった。
「内野っていう女神はいるのかな・・・zzz。」
外野は眠ってしまった。
「それでも教師か!?」
巧は3人の女神教師に憤慨した。
「まったく役に立たない女神様たちだわ・・・。」
望も3人の女神教師を諦めた。
「どうだ! 邪悪なるある方から頂いた悪夢の黒い馬、ナイトメアの実力は? これであとは、おまえたち2人だけだ!」
ナイトメアは勝利を確信していた。
「そうはさせない! いでよ! 化粧箱! コスメティックボックス!」
望は煌びやかな化粧箱を呼び出す。
「まさか!?」
巧は嫌な予感しかしなかった。
「ヴィーナス・ゴールド・メイクアップ!」
望は巧に口紅やファンデーションにアイシャドウなど手際よく化粧を施していく。
「金色の女神の化身オーラをまとった巧くんの完成です!」
巧は望の手によって黄金の戦士に生まれ変わった。
「くらえ! 邪念! 金色のバスターランチャー!」
巧は金色の女神の化身オーラを集約させバスターランチャーを描き実態化させる。
「当たれ!」
巧はバスターランチャーの引き金を引こうとした。
「そうはさせるか! バッド・ドリーム!」
ナイトメアは巧に悪夢を見せる。
「バキューン! ・・・zzz。」
巧は悪夢を見せられ眠ってしまい、バスターランチャーの黄金のエネルギー破はナイトメアには当たらず彼方に消えていった。
「た、巧くん!?」
望は巧まで眠ってしまい絶体絶命のピンチに陥る。
「女神の化身よ! 心配しなくても、おまえも悪夢の世界に誘ってくれるわ!」
ナイトメアは望にも悪夢を見せようとする。
「ここまでか!?」
望はナイトメアの猛攻に諦めようとした。
「ポイズン・ウェーブ!」
毒の津波がナイトメア目掛けて、どこかからか飛んできた。
「ギャア!?」
ナイトメアは毒の津波に呑み込まれて毒に汚染される。
「うちの学校の生徒には手を出させません!」
勇ましく現れたのは海と毒の女神ティアマトの手矢的だった。
「手矢的先生!」
望は頼もしい手矢的の登場に喜んだ。
「不意打ちとは卑怯だぞ! おまえは何者だ!?」
ナイトメア邪念は恨み言を言う。
「私は水泳の教師、手矢的だ。どうして私の出番が最後なんだ!? 尺が無いから私の活躍が少ししかないじゃないか!? 馬の分際でちょこまかちょこまか登場しやがって、私の恨みを思い知らせてやる!」
手矢的は自分の出番が遅いことを怒っていた。
「そんなこと馬なんだから知る訳ないだろうが!?」
ナイトメアの邪念は逆ギレした。
「死人に口なし! ポイズン・ワールプールズ!」
手矢的は毒の渦潮を発生させた。
「さようなら!」
ナイトメアは渦潮に呑み込まれて消えていった。
「私がもっと早く出ていれば、もっと早くに邪悪なる者を退治できたのに。」
手矢的は自分の不運を悔しがる。
「手矢的先生! ありがとうございます! 本当に頼りになるのは手矢的先生だけです!」
望は巧を助けられただけで良かった。
「こいつらをどうしよう? 全員、溺死にすれば私の出番が増えるよな。」
手矢的はのんきに寝ている女神たちを殺していいか確認してきた。
「巧くんが無事なら、他は煮ろうが焼こうが構いませんよ。イヒ。」
望は巧が全てであった。
おまけの保健室。
「zzz。」
これだけの騒ぎでも愛美露出手は出てこなかった。なぜなら愛美露出手は授業を自習にして保健室のベッドで気持ち良さそうにお昼寝をしていた。
つづく。
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