第7話 リッチナイトと魔女の黒猫と仲間
「わー、SA-TOじゃん。おひっさー。戦友のプロフで見たけど実際で見るとすごいナイスバディーですごいマントとドレスだね」
純がニヤニヤじゃなくてニコニコして近寄ってきてサトコを抱きしめようとした……が、セイの結界でサトコに近づけなかった。
「いてっ、結界持ちのカード? どんなカードなんだ? 俺の相棒はSRリッチナイトで~す」
骨の馬に乗った黒いマントを着た骨の騎士が大鎌サイズと反対の手には小鎌シックルを構えて現れた。対してサトコの前にはセイが聖剣エクスカリバーを持って立っている。
「うわー、あれってレジェントじゃん?」
「嘘だろ~」
「純さんや健一さんもすごいカードを持っていると思ったけれどレジェント級だなんて。神界からのカードキャプチャーって半端ねー」
「あっ、安心して私、あんなすごいカード持っていないよ。ギルドもDランクだし。
SA-TOさんって言うの。私はルビー。仲良くしてね」
現地の見習いたちとルビーさんが次々にサトコに挨拶した。アリサやミキちゃんのような嫌らしさを感じなかった。
「よろしくお願いします」
「SA-TOの従えている聖騎士は、ハイレジョンだよな。鑑定していいか?」
健一さんが奥の部屋からミーティングルームへ入ってきた。同盟はギルドの敷地内の建物を借りていて二百年たってまた新規に借りたらしい。純君が挨拶している時にせっせっと説明してくれた。
「うん。セイはハイレジェンドだよ。鑑定レベルはなに? レジェンド級だと鑑定レベルも上級じゃないとほとんど分からないよ。
それとも鑑定スキルを持っている幻想生物持っているの?」
サトコ自身、鑑定できる魔法は習得していなかった。習得には時間がかかるから、それよりは鑑定スキルを持つ幻想生物を捕らえた方がいい。サトコはS幽霊海賊を持っていてで鑑定できる。
「ああ、R魔女の黒猫だ。先月の深海の魔女イベントで狩ったんだ。でもハイレジェントだったら無理か」
サトコも魔女の黒猫を狩ったけれどドリちゃんの餌にした。
「このまま、ミーティングをする。その前にみんな、こいつがSA-TOだ。
俺や純やマサの長い間の戦友だ。今回は俺たちを助けてくれるために同盟に入ってくれた。仲良くするように」
メンバーたちが次々と歓迎の言葉を言っていく。サトコは近くにある開いている椅子に座る。
「無カードは購入すると高くつく。レノアードでは無カードの職人たちから買っていたが、本来カードキャプチャーたちは自分でカードを製作する。
俺と純とルビーは箱庭、土地を失って栽培、製作場所を失った。今後土地を開拓するか購入するかしなくてはいけない。
それまでSA-TOとマサの箱庭を借りることにする。ルビーと新人三人はマサの箱庭で、俺と純と新人三人はSA-TOのところで世話になる」
「マスターと副マスは普通別れないのか?」
「マサはベテランだ。俺以上にしっかりしている。それにSA-TOは人見知りですぐにぼっちになりたがるから俺や純がいた方がいい」
「いや、人見知りじゃないし……」
サトコが否定しても健一さんたちは信じていない。
「ギルドからうちに依頼が来ている。強制依頼で断ることができない。東のチュリー地方の港町でセイリーンが大量に現れて、彼女の歌によって海の怪物たちが暴走しているらしい。
今回はセイリーン狩りを頼まれた。他のBランク以上の同盟も参加するらしいから、俺たちは早めに狩りに行きたい。
新界組は明日、土曜日の夜この時間はどうだ?」
「それでいいです。セイリーンはSランクの幻想生物で海にいますから、空から攻撃しなければいけないですねえ」
マサが返事した。
「あの、地球で明日の夜だったらこっちの人たちの時間はどうなっているの?」
「ああ、それか、あさってくらいの昼頃じゃないか? ギルドに合わせ時計があって大体の時間が分かる。でもきちんと計算されるわけでもない。
こればっかりは難しい。いまは大体二倍の早さでレノアードが過ぎているらしい」
「そうなんだ。みんな空を飛ぶ幻想生物を持っているの?」
マサの説明は分かったようで分からなかったが、もともと説明や論理など深く考える方でもなかった。
空から攻撃できる人は健一さん、純君とマサとサトコと一人の新人だけだった。ルビーは水のカードを使って海上にいる水の幻想生物を捕まえることになった。
他の子たちは海岸から、陸上に上がってくる幻想生物を捕まえる。
他にも魔獣などの物理的な敵は、冒険家同盟の人たちが殺害するらしい。
セイレーン狩りの話し合いの後に、新人の子たちに無カードを安くで売った。みんな喜んでくれた。新人たちにとってカードキャプチャーは自分たちの生活を守るための大事な仕事だ。
サトコのように遊びでしていたのと違って、みんな必死だ。だからサトコは新人たちが強い幻想生物を狩れるようにしたい。
でも強いカードを持っていても魔力が必要だ。魔力に関してはそれぞれが地道に伸ばしていかないといけない。
ミーティングの後に健一さんたちを連れて箱庭へ移転した。サトコの箱庭に来た新人三人は綺麗な少女と二人の男の子だ。三人とも幼馴染だった。
「なんだ、これ? 城じゃん?」
箱庭で屋敷の玄関に移転した途端に純君が言った。
「孤独なヴァンパイアのイベントで、上位50に入ったら、ヴァンパイアの屋敷もらったの」
「いやっしゃ~い」
ボーッと突っ立ている健一たちの前にパックが出てきた。
「えっ、パックが喋った」
新人の子が驚いた声を出した。
「ああ、パックでNランクだけど。私のパックは他のNパックをたくさん合成してSRにしたの」
「いや、Nイタズラ妖精パックをSRまで育てようと思う人は普通いないぞ」
健一さんがため息を吐いた。
「あっ、あのー。Nランクの幻想生物をSRまでするのはどうしたらいいのですか?」
「大量のNカードを餌にして大量の同じパックを捕まえて。HNにした後に限界突破のカードを使う。ここで失敗する可能性もある。そしてRのパックを何枚も用意して、餌あげて。後はまた同じように限界突破カードを使う。
限界突破カードもすごく高価なものだ。このカード買うんだったら普通にRカード買った方がいい。
つまりSA-TO以外にパックをSRにしないってことだ」
なんかバカにされたような説明を健一さんがした。
「屋敷の空いた部屋を好きに使っていいから。後、森の横に空いた土地があるから。後は分からないことはパックに聞いて。
私のカードの管理はセイがしているから。もしなにか必要なカードがあったらセイに言って。でも魔力は、自分の魔石を使って駆使して」
みんなに説明した。
「セイにカードの管理権を与えているのか?」
純君が驚いた声を出していた。頭のいい上位幻想生物は、他の幻想生物を従わせることができる。カードの幻想生物は契約者のカード保持者にしか駆使はできない。でも保持者が権利権を他と共用できるようにすることも可能だ。ただ幻想生物が自我が過大な場合に暴走したり、囚われた幻想生物のカードを壊し逃す場合もある。
「セイと私は一心同体なの。じゃあ、私はそろそろログアウトするね。また明日の討伐で」
きっとサトコがいるとみんな自由に箱庭を使うことができないと思いさっさと現実世界へ戻った。
「ちょっと、まだ話がある」
健一の声が聞こえたけれど無視した。やっぱりレノアードには十五分くらいしかいなかったようだ。あっちでは三十分くらいいたのかな? 急いでリッチナイトと健一さんの絵を描いた。どんどん自分の作品が増えて嬉しくなる。異世界バンザイ!
次の朝はゲームを開かなかった。癒しの箱庭に他の人がいると思うと、朝から面倒だった。
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