第6話 戦友と同盟とチャット

 昨日のようにベットに横になってゲームのアイコンを押した。

「主様、待ってた~よ」

 パックがフワフワして近づいて来た。地球では夜なのに、レノアードは昼間だった。やっぱり時間の経ち方は地球と違うらしい。


「こんにちは。今日はギルドへ行ってみようと思うの」

「こんにちは、お待ちしておりました。それはよい案です」


 はあ、このキラキラしたセイを見るだけで、いちゃもんつけて愚痴を一時間言って帰ったお客さんのことを忘れられるわ。


『ピコン、チャット』


 チャット着信の合図が聞こえた。同盟に入っていないから同盟チャットじゃないけれど、戦友同士でのチャットだ。戦友リストには誰がインしているか分かる。

 サトコの戦友は四人しかいない。一人はゲームをはじめた時にランダムで戦友申請してきた女の子だ。でも彼女はレベル10になってから一度もインしていない。ゲームをすぐに辞めたのは明らかだ。


 他の三人は同盟に入っていた時に戦友になった。

 マスターの健一さんと副マスの純君。もう一人は大学受験生と言っていたマサだ。

 戦友リストに三人がインしていた。

<SAーTOだよな。久しぶりって言っても、俺たち、毎日ちゃんとおまえがインしているの確認していたけどよ。

 ところでSAーTOも異世界レノアードに来ているんだよな? 

 大事な話があるんだ。返事をくれないか?>


 健一さんからのメッセージだった。ここで無視するのも後味が悪い。同盟辞めてなにも言ってこなかったのに。たまにイベントとかで幻想生物のキャプチャーをしている時に魔力不足などで戦友に助けをもらって、幻想生物の生命力を削ってもらう連絡ボタンを押したことがあるけれど。


 もちろんサトコも戦友たちからの協力依頼には手助けをしていた。

 イベントの幻想生物は特別で、キャプチャーできない。数体の同じ幻想生物を倒したポイントで最終的にキャプチャーできたり、または運営から賞金でもらったりする。


<健一さん、お久しぶりです。同盟のメンバー全員この世界に来ているのですか?>

<いや、全員じゃない。俺と純とマサともう一人ルビーと言う最近ゲームをはじめた新人でうちに加入して来た子だ。

 一応伝えようか悩んだんだけど、アリサやミキちゃん、SA-TOが去った後しばらくして他の同盟に移転したんだ。

 やっぱりおまえが抜けて、課金組ってそんなにいなくて同盟戦でもあまり懸賞もらえなくなったんだ。それに二人は新しく入ってくる女の子たちの諫めて結局他のメンバーで追い出された。

 それで今更だけど、うちの同盟に戻って来てくれないか?>


 すぐに返事がきた。アリサやミキちゃんが同盟から追い出されていたなんて。


<私、いままでのように一人でいい>

 たしかに健一さんや純君やマサはいい人で、一緒にバトルするは楽しかった。

<えとさ、それがこの世界に来たカードキャプチャーって百人にも満たないんだってさあ。トップ同盟からランダムで二十チーム。それとソロプレイヤーで二十人。

 神界から来て同盟やカードキャプチャーは、現地人を数人カードキャプチャーに育てないといけない決まりがギルドで発表されたんだ。

 もし神界出身のカードキャプチャーが新人育成しないと、ギルド加入断られる。そうなると町の施設を使うことができなくなるんだ>


 そんな決まりができているなんて。まだギルドへ行っていないサトコは知らなかった。


<わかった>


 知らない子の世話なんて一人では気が重い。同盟でみんなで面倒を見た方がいい。

<ありがと、SA-TOに同盟の加入申請送るよ。後で時間があったら同盟に寄ってくれるか? あっ、それとSA-TOは箱庭は大丈夫だったか?>


<うん>

<そうか。図々しいと思うが俺におまえの箱庭を貸してもらえないか? 俺も純もルビーも箱庭を失っていた。ルビーと純の箱庭は現地人の土地になっていて、俺の箱庭は魔物に荒らされていて復興不可能だ。

 まじインしてこの世界に来てビビった。いきなりワーキャットが飛びついて来たんだぜ。

 俺の危機のダークナイトが出てきてくれて助かったからよかったものを>


 詠唱なしに一つのカードを護衛に選べる仕組みになっている。サトコの場合はセイだ。


<うん、いいよ。同盟に転移した時に私の箱庭のコードをあげるよ>

<あっ、それともっと図々しいけれど、純や新人の子を何人か箱庭使えるようにしてもらえないか?>

 はあ、ため息が漏れた。でもサトコは健一の頼みは断れない。


<ちゃんと使用料払うから。土地も少し使わせてくれ。俺の魔力も渡すし、俺のカードたちも使っていいから>

 すぐに返事をしいなかったから健一が慌てて書き込みしてきた。


<うん、別にいいよ。じゃあ、同盟に飛ぶね>

<ああ>


 SA-TOは自分の恰好をチェックして、パックにみんなに新しい同盟の人たちが箱庭を使うことを告げた。パックは賑やかになるねえ~と喜んでいたけれど、セイはなにも言わなかった。


 メニューバーで同盟加入ボタンを押す。すぐに『同盟星の見える町』の扉が目の前に出た。同盟を選ぶ時に地元の町のスローガンを見つけてこの同盟に入った。

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