「ただ今帰りましたー……って!」

「おふぁえりー」

「あなたはまた勝手にカップ麺など食べて!」

「らってうみゃいんらもん」

 ズルズルと麺を啜る彼女の姿に脱力。

「お腹がすいたら自炊してくださいよ!」

 冷蔵庫を開ける。

「ほら! 食材だけはあるんですから!」

「えー面倒臭いし出来ない」

 ふぅと麺を平らげ、スープまで飲み干した彼女は気持ち良さそうに伸びをする。

「じゃあ要らないんですね? 美味しい鶏肉の料理を作ろうと思っていたのに、残念です」

「食べる食べる! 別腹だってば!!」

「デザートか」


 数時間後。結局晩ご飯もぺろりと食べてしまった彼女。

「いやぁ! やっぱお前の料理が一番だよなぁ!」

「ほんと調子いいですね……」

「本当のことだぜ?」

「大体、うちに来るまでどうやって生活してたんですか!」

「え、」

 固まったまま唸り出した彼女は、百面相しながら考え込んでしまった。

 数分後。死にそうに泣きそうな顔して。

「そんなに聞きたいか……?」

 それがあんまりにも悲惨すぎてこちらが申し訳なくなってしまう。

「いいです黙っててくださいごめんなさい」

「だ、大体なぁ!」

 ゴホンと大袈裟な咳払いをして彼女は私を見下ろす。……ソファの上から。

「な、何ですか」

「お前だって友達出来たのかよ、どうせ毎日毎日真っ直ぐ帰宅してんだろ。たまには友達と遊んで帰ってみろよ!」

 痛いところを突かれた。

「そ、それくらい……私だって……うっうぅっ……」

「んなっ!?」

 不覚にも涙が出てきた。

「わ、悪かったって! 泣くなよ! 分かるよ! ボッチってなかなか抜け出せねぇんだよな! 無視とかな! 陰口とかな! うぜぇっつーんだよな! コソコソ笑うなってんだよな! な!?」

「……うああー!!」

「なんで余計に泣くんだよー!!」


 彼女は慰め方が下手くそすぎる。

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