第6話 お土産

「みゃ、みゃ」

うーん、家の人がドアを開けてくれない。

口で獲物を咥えたままじゃあ声が小さいから、聞こえてないのかもね。

仕方がないから、ぺってして、足で押さえてっと。


「にゃあ、にゃあ」


「あら、はーちゃん、おかえり。ん?……げっ」


ドアを開けてくれたのは、ママだった。

うちの人は獲物を見ると、ギャーとか、キャーとかいうけど、ママだけは、げって言う。

多分、スゲーって意味だと思う。ママ大好き。

見て見て!


あ!獲物逃げた!


追いかけたけど、逃げられてしまった。残念。

モスよさらば。


「はーちゃん、ずいぶん綺麗な模様の蛾を捕まえてたねえ。さ、もう諦めて、入っておいで」


ママが言うので、今日はもう家で寝ます。

猫は夜行性だと言うけれど、最近すっかり昼行性でござる。

あっちでは、モスも少し食べたけど、もちろん出されたカリカリはしっかり食べます。

今、うちにあるのは、カツオ風味だけれど、僕はちくわ風味のが欲しいです。

いつかママに伝わるといいな。


にゃあ(おやすみなさい)


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