第15話 新入生獲得大作戦
あとはここが正念場!ずばり、部員数を増やすのみ!新入生獲得の時期がやってきた。
新学期が始まった放課後、私達リーディング部員は御馴染みの図書館で‘新入生獲得緊急ミーティング’を開いていた。
「クラブ見学が命なのよ!」
私が、春休み中考えていたアイデアを早速披露する。
「新入生なんて、まあ普通クラブ見学で図書館なんてやって来るわけないじゃない。皆興味がある部があって、でもどんな雰囲気だか分からないから見学に来るんでしょ?図書館で読書やってますなんて言っても、そのまんまだから誰も来るわけないわよ。ここで、趣向を凝らしていつもと違う事をやって宣伝すれば、なんだろうって興味を持ってやって来てくれるっていうワケよ!」
「まあ、言われて見れば確かにそうだが。何か妙案があるのか」と巧が尋ねる。
私は、ふふん、と胸を張った。
「クラブ見学に期間限定男子の日を作るの!! つまり男子しかその日は入れないの!女子バージョンもやるわよ!」
全員、はあ!?と言う顔をした。巧がものすごく馬鹿にした顔で言う。
「女子は置いておくとして、同性しかいなかったら男子は余計来ないんじゃないか?」
「汗臭そうだね」と圭ちゃん。
「私、ちょっと怖いかも・・・」美鳥が不安そうに首をすくめる。
「あんた達、人の話は最後まで聞きなさいっておとーさんおかーさんに言われなかったの!?
「いい、作戦はこう!美鳥にあこがれてる男子はごまんといるのよ。最初の勧誘スピーチで美鳥を出せば、新入生にだって即効ファンが出来るわ。それを捕まえない手はない!!図書館で本を読んでいて、ふと気が付くと、美少女がティーポットを運んできて、その場で紅茶を注いでくれる・・・。そしてここでにっこり笑顔ととどめの一言!!‘読書、頑張って下さいね’これよ、これ!!!これで、新入生だけでなく在校生もゲットぉぉ!」
「ま、待ってよ、真琴ちゃん」
頬を赤らめ、もじもじしながら美鳥が切り出す。
「にっこり笑うなんて、は、恥ずかしい・・・!そんな、知らない男の人に私そんな事できないわよ~」
「レースクイーンの格好をしろと言ってるわけじゃないんだから楽勝でしょ。それともレースクイーンやる!?」
「えっええええ~!?そんなの、無理よ、無理!!」
「じゃ決まり。ウェイトレスやってね。あ、同じ理由で、女子の日のウェイターは勿論、圭ちゃんって事でよろしく」
ええ~!?と困っている美鳥を見ながら、圭ちゃんはこそっと巧に耳打ちしていた。
「藤堂さん論点ずれてない?」
そういう事で、数日後のクラブ紹介の日に向け、慌ただしく準備が始められた。限定二日間と言う事で、図書館を即席カフェにするのも先生から許可をもらった。
ティーカップとポット、たくさんのティーパック。新入生は限られた時間でクラブ見学をしていくから、まともに読書する時間はないだろうと言う巧の意見で、活動内容を紹介した冊子を閲覧用に作ったり、図書新聞をまとめたり、見学に来た在校生向けに、超短い話が載っている短編小説を多数用意した。
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