学生が教官を評価する裏システム
今回は前期課程の講義について。
前述の通り、前期課程(正確には2年生の前半まで)の成績によって志望学科に行けるかどうかが決まる。だから、必修科目でどんな教官に当たるか、選択科目はどんな講義を取るか、っていうのは行きたい学科がある東大生にとっては死活問題。
講義を担当する教官は東大の教授だけじゃなくて、他の大学の教授だったりすることもあるんだけど、自分の経験上そういう講義はけっこうキツいことが多い。「東大生だからこれくらいのスピードでもついてこれるだろ」みたいに学生を過大評価してるのかもしれないけど、講義がめちゃくちゃ早いの。
もし、それが必修科目だったりすると、学生達はかなり悲惨な目に遭う。もちろん追試験はあるけど、追試の場合は点数の上限があるので進振には不利になっちゃう。
自分もね、一度だけそういう教官に当たったことがある。必修科目にも関わらず、その講義ではほとんどの学生が赤点になるという事態に。
その教官がかなり厳しいってことは前もってみんな知っていて、全員がそれなりに頑張ってたにも関わらず、だよ。シケプリ担当者ですら講義に付いていけなかったってことだね。
あ、一つ疑問に思った?
初めて講義を受ける一年生なのに、なんで教官が厳しいとか前もって知ってるのかって。
東大ではキャンパスマガジンを発行するサークルが学生にアンケートを取って、講義の難易度や単位の取りやすさ、面白さなんかを一覧にまとめたものがある。このシステムの通称は“逆評定”。
教官は[
このキャンパスマガジンは大学生協でも普通に売ってるので、間違いなく大学側も目を通してるから、公然の秘密って感じなのかな。
ちなみに筆者と言うと、ねじ曲がった反骨精神を発揮して、その逆評定表を見ずに講義を選んでた。だから、成績は……まあお察し。
ちなみに講義の内容自体については、他の大学とそこまで変わらないと思う。普通に必修科目と選択科目とがあって、必修科目は基本的に一つでも単位を落としたらアウト。選択科目も、いろんなジャンルの科目をバランスよく取らないといけないようになってる。“教養”学部だからね。
たまに『座禅を組む』だけとか、『美しく歩く』ことを実践するだけとか、珍しい講義もあるけど、そういうのは人気が高くて抽選になる。
必修科目では体育もあって、テニスとかソフトボールとか選べるんだけど、運動が苦手な人のために“スポーツサイエンス”っていう座学を選択することもできる。おかげで運動音痴な筆者は非常に助かった。まあ、体育は出席さえしていれば、どれだけ運動ができなくても【優】が取れるって言われてるけど。
(東大での評価は上から【優】【良】【可】【不可】の四段階評価ね。【不可】だけが赤点。)
最後に、今でも覚えている試験が一つあるから、その話をしよう。
筆者が取っていた“大鬼”の教官の講義があったんだけど、試験の前日に、不幸にも筆者は失恋してしまいましたとさ。
そして自暴自棄になった筆者は、何を考えたのか解答用紙に「昨日、好きな人に振られたので、今は何も考えられません。落としてください」って書いて出したのさ。(自暴自棄にも程がある。)
でね、後日成績表を見たとき、その教官はなんと【可】をくれていた。
まさに、鬼の目にも涙ってやつだね。(うん、上手いこと言った。)
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