Act.27 キミの隣に
階段を上って購買部へ。自販機でコーラを買う。
夕方、まとすけにいっぱい飲ませたっけ。思い出し笑いしながら、缶を開けて口をつける。
ふう、落ち着いた。うん、やっぱりコーラはうまい!
「風見先輩」
「おお、あさみん!」
あさみんがゆっくり歩いてきた。
「さっきは、ホントにすみませんでした。イライラしちゃってて」
「眠いときはみんなそうだって! アタシもちょっと怒りすぎたし! ごめんね」
「風見先輩、あの……」
「うん?」
あさみんが少し目線を上に向けながら、口を開く。
「違ってたらごめんなさい。その、ひょっとして的野先輩のこと……」
…………ちぇっ。これだから頭の良い子は好きじゃないぜ。
「いいのいいの。今はいいんだ」
一口飲んで、1回深呼吸。
「まとすけが、みゆ姉のことどう思ってるか知らないけどさ。アタシは、ミスコンやってるまとすけがいいの。アタシがいっぱい振り回しても、笑ってツッコミながらちゃんとついてきてくれて、一生懸命ミスコン作ってるまとすけがいいんだ。それを隣で見るのは、みゆ姉にもできないアタシの特権だからさ」
あさみんは、黙ったまま自販機でアイスティーを買った。
「もう5年も一緒だけど、何があるか分からないじゃん? 今日のミスコンみたいにさ。今日は何もなくても、明日どっちかの気持ちが変わってるかもしれない。先がどうなるか分からないけど、そうなるまでは一緒にミスコン作りたいんだ」
「……風見先輩らしいですね」
笑いながらあさみんが言う。
「でしょ?」
今はアタシらしく、隣にいられれば。
「よしっ! 残りの作業片付けるか!」
「はい!」
飲み終えた缶を捨てて、ブラウスの袖を捲る。
頑張ってるまとすけの隣に、早く戻ってあげなきゃ。
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