第2話 夏休みの宿題
僕は、初めて同い年の友達ができてとてもうれしかった。
初めて会った時、僕はマリーと、マリーの保護者のプゥラスカーが魔女という事がよくわからなかった。
しかし、魔法の文字で火を出したり、箒が自分で床掃除をしたり、ティーカップが宙を舞って紅茶を用意してくれたり……。
それはまさに絵本の世界の魔法だった!
ある日、僕はマリーの家に、育てているアサガオを持っていった。
「きれいな花だね。ウェイダーがそだてているの?」
「この花、どんな魔法にできるかしら……。煮てみましょうかしら……」
マリー達は、すごく不思議な物をみるような目つきだった。
「ウェイダーの家にさいてるの?」
「ウェイダーって、僕は上田」
「ウェイダー?」
「ウェダ?」
「まぁ、いっか、そっちの方が、外人みたいでかっこいいからいいや」
僕は、マリーの質問に答えることにした。
「アサガオはいっぱい咲いてる。でも、これは僕の夏休みの宿題だよ」
「あら?お利口さんね。マリーもお勉強したら?」
「う、うん。一緒にする」
「なら、僕も宿題をするよ!」
マリーはプゥラスカーが描いた物を氷で作るという不思議な魔法の練習をしていた。
「……工作の時間だね!」
僕は、お菓子の箱で、預金箱を作る宿題に取り掛かった……。
マリーの魔法は、まだ少し歪だったけど、お花を作るのはとても上手だった。
*
「二人とも、ごはんにしましょうか?」
「うん!」
「……あ~はかどったなぁ」
午前中、プゥラスカーに教えてもらいながら、算数の宿題もやってしまったので、だいぶ宿題がはかどった。
「ウェイダー……アサガオつくってみた」
「!うわぁ!きれいだね~!!」
「……でも、すぐ溶けちゃうけど……」
「素敵だね!綺麗だなぁ……」
「きれいって……いってくれてありがとう」
マリーは氷魔法専門のようだった。他は練習中との事……。
「マリーは天才だね。こんな魔法使えるなんて」
「……」
マリーは首を振った。
「私、魔女じゃないの」
「え?そうなの?」
僕は、異国の人なので、まぁ、エスパーみたな能力なんだろうと、勝手に解釈した。
「それでもすごいよ!友達がこんな力を持っているなんて僕は幸せだよ!」
「本当?」
「だって、マリーにしか、できない事だよ?」
「!!」
「それって、素敵な事だよ」
「わ、わたしも」
「?」
「私も、ウェイダーと友達になれてうれしい!」
僕はとてもうれしくなって、マリーが大好きになった。
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