summer friend

@ronn

第1話 夏のある日

 夏休み……。

 田舎の僕の学校も、日本の小学校だったので、夏休みがやってきた。

 ……やってきたのだけれども……。

 毎日、一人で遊ぶしかなかった。

 僕は孤児だったが、何人もの子供を育てた経験のある里親が僕を引き取ることになって、こんな田舎に住む事になった。

 冬だって、めったに雪が降らないその街は、田舎だけど、とっても住みやすい街だった。

 しかし、過疎化が進んでしまい、僕は夏休みだというのに、同い年の友達がいなかった……。

 そもそも、僕は同学年の子供と遊んだことがない。

 遊び相手はいつだって年上ばっかりだった。

 一番年が近い子供は、中学生の兄貴達……。

 なんでも外国へ遊びに行くとかで、家族で旅立っていった。

 高校生の野球の兄ちゃんと、茶髪の姉ちゃんは、部活とか、バイトとかで忙しかった。

 野球の兄ちゃんは、僕くらいの歳から、ずっと野球をやってきたので、この辺では、野球の兄ちゃんと呼ばれていた。

 茶髪の姉ちゃんは、中学生の時に茶髪に染めてから、茶髪の姉ちゃんというニックネームがついていた。

 まぁ、とはいえ……誰一人として僕の相手をしてくれる人はいなかったのだ。

 なので、一人で今日も山を、海を、散策する事にした。

 一人遊びにはもう慣れっこだった。

 絵だけは一人でかけるので、絵の具と色鉛筆とスケッチブックと、僕の背丈には似合わない水筒をもって、僕は今日も大自然を遊び相手に、夏を満喫する。

 そんなある日、見たこともないトンネルを見つけた。

 僕はそのトンネルに興味をもって、その中へと入っていった。

 「!!」

 そのトンネルは長くて暗い。

 そのまま進んでいくと、不意に、光が差し込んだ!

 「!」

 その場所は、見たこともないような花が咲き乱れていた。

 こんな場所は知らない!

 花に触れると、それは一瞬だけ冷気をおびたかと思うと、すぐに溶けてしまった。

 「すごい……」

 見た事がない花が咲いていて、絵本でしか見た事がないような鳥が空を飛んでいた。

 雄大な山脈の間から、入道雲がもくもくと湧き上がっている。

 「!?」

 目線を下げていくと、小高い丘があり、そこには山小屋のような丸太の家がたっていた。

 その家の庭に、人がいた。

 「!」

 「……?」

 その人は、風に吹かれていた。

 僕と同じくらいの歳の少女だ!

 白いワンピースと、白い帽子。青色のリボンをつけていて、透き通るような白い肌。白い髪、まるで色が抜け落ちたかのような白。

 藍色か、青か……なんとも言えない深い深い色の瞳………。

 瞳の色で、すぐに日本人ではないという事が分かった。

 長い髪を風になびかせる少女は、僕を見つけたようだった。

 「?」

 「こ、こんにちは~」

 僕が大声で彼女に挨拶すると、彼女は、ほほえんで僕に手を振った。

 「……」

 僕が彼女に近寄ったら、彼女は少し驚いたようにしていたが。

 「こんにちは」

 と、言ってくれた。

 「うわぁ!日本語わかるの!?」

 「うん」

 彼女は、まるで日本人のように日本語であいさつした。

 「上手だね!!」

 「ありがとう。あなた、お名前は?」

 「僕?僕は、上田太郎!」

 「ウェイダー??」

 「君はなんていうの?」

 「マリー」

 「やっぱ、外国人みたいな名前なんだね!」

 そういうと、まるでどこかから湧いて出てきたように……。

 「あら?マリー新しいお友達?」

 紺色のドレスに、紺色の帽子……。

 まるで魔女のような姿かたちをした、綺麗なブロンズの髪を持つ女性が現れた。

 彼女は、胸が大きく、こりゃぁ、子供の僕にもわかる!美人というヤツなんだ!等と、確信した。

 「!!」

 ぬるりと沸いてでた……女性に、僕は挨拶する。

 「こ、こんにちは、僕、上田太郎です」

 「あらご丁寧に。私は古い魔女のブゥラスカー。お利口さん、よろしくね」

 「魔女?」

 そりゃぁ、見た目は……魔女以外の何でもないんだけどさ……。

 「?あら?貴方の世界には、魔女はいなかったの?」

 「…………びまじょしかいなかった」

 「あらそう?びまじょ??どんな魔女かしら……」

 こうして、僕のちょっとした冒険心で、マリーとプゥラスカーに出会った。

 

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