第13話「試練なのかも知れん」

「わかりました、ぜひ向かいましょう。」

 おれはホノカ姫の誘いに乗ることにした、お礼もあるっていうし…。


「それでは、早速町の外に向かいましょう。」

 そうやって、俺ら3人はホノカ姫の国に行くことになった。


 町の外には、立派な馬車が用意してあった。

 さすがは、お姫様だ、なんとも高級仕様だぜ。なぜか、謎のファーが乗ってたり、ぬいぐるみがたくさん置いてあるのは彼女の趣味なんだろう。


「あら、大変です。この馬車は4人乗りでした。運転手と護衛のもの、それから従者のイセリアと私で4人だわ。どうしましょう。」

 ホノカ姫がいまさらそんなことを言い出した。


「お前の席ねぇからっ!!」

 イセリアがすごい気持ちよさそうに言う。


「はっ、そうだわ。確かここに素敵な乗り物が。」


 そういって、ホノカが差し出したのは、三輪車だった…。あの幼児が乗る用のやつね…。


「…これで50㎞運転しろと?」


「はい!」

 ホノカは無邪気な笑顔で肯定した。


「あの、正直4人乗りなら、5人乗っても…。」


「過積載は違法ですよ!」


 そ、そんな法律この世界にもあるのかよ!


「これなら、正直走ったほうが楽なんですけど。」

 というか、こげねぇよ…俺の体格じゃ。


「でも、せっかくあるのにつかわないと、もったいないじゃないですか…。ねぇイセリア?」

 天然なのか、なんなのか、悪気なさそうにホノカ姫様は言っている。

 いや、そもそもなんで三輪車買ったんだよ。


「そうですよぉ、ふぇっ、ふぇっふぇっ。」

 こいつは、嫌みがこもった笑い方をする。


「とにかく冗談じゃない!俺は客だ!そんな扱いなら・・・・!!」


「城なんか行かねぇ」って言おうとしたとき、


 こ、言葉が出ずに意に反した言葉が口から出た。


「…よ、喜んで三輪車で向かわせていただきます!」


 な、なぜだ。さっきから時折身体が勝手に動くことがある。

 あぁ、勝手に体が三輪車に向かって、しかも立ちこぎの態勢に!

 これはかなり無茶な体勢だ。

 脚と手だけはものすごい低い位置に置かなければいけないので、上にケツを突き出して背中をグイっと曲げなければいけない。見ようによってはモンキーターンしてるようにも見えるが。


「超つらい!!」


 なんとか、こぐことができる様だ…。

 時速1km出せるだろうか…。


「それでは私たちは先に行ってますので、頑張ってくださいねー。」

「途中でくたばってもいいぞぉ―」


 そういって、さっさとホノカ姫たちは馬車で悠々と出発した。


「おい、お前ら行先教えてねぇぞ‥‥。」


 50km三輪車の旅…


 異世界転生ファンタジー史上が始まろうとしていた。


 どうする?


 いやどうするって聞かれても困るかもしれないが…。


 本当にどうしよう…。(読者の呪いで、3輪車で目的地に着くまでは降りられない。

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