第12話「僕の名は…(my name)」


 …‥‥‥

 ‥‥‥‥。





「名乗るほどのものではありません。」

 僕は名乗らなかった。


「ず、ずいぶん時間がかかりましたね。なんか二日くらい待った気がします。」


「…えぇ…。当面の間は名無しとお呼びください。」


「ナナシーさんですね。素敵なお名前です。」

 ホノカと呼ばれる女性はあくまで俺をほめてくれるようだ。


「それでは、私はこれで…。」

 半はげ、アフロの海藻人間である僕は一刻も早くこの場を離れたかった。


「お、お待ちください。蹴ってしまったお詫びをしたいのです。ぜひ、あのうちへ来ていただけませんか。」


「ひ、姫様、何を!」


「あの海藻を出す能力といい、ニワトリになれる能力といい…、ただものじゃありません。もしかすると伝説の…。」


「このキ〇ガイがそんなわけありません。姫落ち着いてください。」


 ずいぶん失礼な言い方をするが俺は、この従者の意見が正しいと思うよ。

 大体なんだよ、「伝説の…っ」て、続きを言ってくれ。


「私の屋敷はここから50km先の北にあります。是非来ていただきたいのですが。」


 50㎞も先か、俺にはワカメ探しの任務もあるのだが、果たしてどうしよう。






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