第14話「サイクルを細工る。」

「きっ、きつい…。」


 あれから半日たったが、まだ2kmも進んでいない。

 このペースでは、20日以上かかるじゃねぇか。


『わっ、さっきの変なアフロ変態が今度は、三輪車こいでる。キモイー、シンジャエー!』


 また、先ほどの少年に、石を投げられた。こんどはさっきより大きい。


「ふんっ!!」


 またしても、海藻の力によって、その石攻撃を防いだ。


「おまえ、まじきもいよー!!こんな奴無視してはやく家に帰って『目が覚めたら魔王だったのでながれのままに魔王やってみた』って小説よまなきゃ―」


 少年は、そういって、今度は俺が乗った三輪車を蹴っ飛ばして、走って去っていった。


 どんがらがしゃーーーんっ!!


 俺は盛大にすっこけた!!


「グっ…」


 すっ転んだ瞬間に三輪車は遠くに弾き飛ばされた。


 それでも俺の体は、勝手に三輪車に向かって行き、またがってしまう。そして動き出そうと、自転車をこぐ体勢になる。


「くっそぉーーーーー、なんなんだよこの呪いは――!!」

 おれは思わず叫んでしまった。


 はっ、そうだ、この海藻の力を使って、海藻をペダルに引っ掛けて、これを伸ばしたり縮めたりすれば…。

 おぉ、おぉ、俺の説明でこのメカニズムが説明できたかわからんが、とにかくこれで俺は足を動かさずに進めることがっ、ぐっわっ!!


 なんてこったい、海藻が絡まってしまった。


 うわぁ、絡みついた海藻をほどくという作業まで加わってしまった。

 車輪とペダルに絡みついた海藻はしつこくて、全くほどけない。


「もうやだよぉ――――!」

 おもわず、子供のように泣き出してしまった。


 とそのとき、目の前に人影が現れた。

「あら、先ほどの変な人じゃないですか。どうしたんですか。」

 目の前には、俺をはじめに不幸のどん底に叩き落とした、アフロをよこせといった女がたっていた。


(て、てめぇのせいで…。)

 と口に出しかけたが、必死にこらえた。


「あの、海藻が絡まってしまって…。」


「…まったく状況がわかりませんが、これは切ってもいいんですか?」


「あっ、はい…。」


 その女は、持っていたはさみで、丁寧に海藻を切ってくれた。


 おかげで、体が自由になった。


 自由になった僕はすぐに三輪車にまたがる姿勢になる。


 女はきょとんとして、一連の動作を見つめていた。


「あははは、なんですかその行動、なんか意味あるんですか?」

 女は大げさに笑った。笑った顔がやはりかわいいとすこし思った。


「う、うるせーなんだか、こうしないといけない身体になってるんだよ。」


「なんだかよくわかりませんが面白いですね…。それで、どこまで行くんですか。」


「なんか、50㎞先までって…。」


「50km!?それは大変です。もしかすると私の力でお助けすることができるかもしれませんがどうしますか?」


 おっ、これは僥倖ぎょうこうだ。どうする?







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