第七十五話 一部始終を見ていた者!? 黒幕の正体!?

「クエッション、何をやっているんですか?」

「……っ!?」


 クエッションの目の前に、誰かが現れた。クエッションは、ハッとしたように声の方を振り向いた。その声の主は、地面に落ちたアスタリスクを拾っている。そして、持っていたビンに仕舞い、そのままバッグの中に入れた。


「ガーリックとパフェットとアヒージョに、何をやっているのかと言っているんです」

「ど、どうして、ルーウェル様がここに居るんですか?」


 クエッションは焦っている。喉がカラカラに乾いているような声だ。しかし、ここにルーウェル様がいる理由が分からないようだった。ルーウェル様は、クエッションを特に咎めているようには見えない。だからか、クエッションは少し落ち着いたように見える。


「この石板は、懐かしいですね」

「えっ? 懐かしい?」


 クエッション顔に、疑問の笑みが浮かんでいる。


「ガーリックがこの石板の暗号文を解いて、私は目覚めたんです」


 クエッションは、まだ合点していない。石板の暗号文を見やる。解いたはずの暗号文は、再び暗号文に戻っていた。そう。ここは、暗号の森。暗号文を解いても再び暗号に戻る。何時、ガーリックが暗号文を解いたのか。そして、このひとは何を言っているのか。


「ガーリックは、私を目覚めさせて笑っていました。ガーリックは私を目覚めさせて、生き返ってよかったな! と言いました。どこまでも幸せそうな人です」


 クエッションの笑った顔が固まった。


「でも、その後に、アヒージョとクエッションが、ガーリックを異世界に送ったのです。パフェットの記憶は私が消しました。可哀想で見て居られませんでしたからね」


 クエッションの顔が恐怖で染まる。


「まさか、ルーウェル様は、支配者コード様……!?」

「だから、私がガーリックとパフェットとアヒージョを陰で見守っていたというのに、クエッションはまた余計なことをしたようですね」


 しかし、クエッションの目に石板が目に留まったようだ。隙を窺ってクエッションは、自ら石板の方に走って行った。


「クエッション、どこへ行くのです!」

「支配者コード様! 私は、楽しい場所で暮らします! だから、あなたには捕まりません!」


 コード様の手がクエッションの体に伸びる。クエッションの体に手を突っ込んで、何かを取り出した。不思議なことに、クエッションの体には傷一つ付いていない。


「クエッション。これは、貰っておきます」

「そ、それは……!」

合印あわせじるしに執着するよこしまな心です」


 コード様の手のひらには、クエッションの闇の塊が握られていた。

 コード様は、それを手でパリンと握り潰した。

 クエッションは、つきものが取れたようにすっきりした表情になった。


「生まれ変わった気分です、コード様! もう、合印あわせじるしに未練はありません!」


 そして、クエッションは一礼して石版から異世界に転移して行った。

 コード様は、それを無表情で眺めていた。

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