第五十四話 合印決定選、二ノ選! 選ばれた四人!

 二日目も、第三区域の合印邸のだだっ広い庭には屋台がたくさん出ていた。二日目なので、屋台も一新していた。違う区域の珍しい料理やお菓子がたくさん出ている。俺は、屋台の料理に舌鼓を打ちながら、二ノ選の開始を今か今かと待ちかねていた。


「今日は、気分がいいなァ」

「私は、知らないですよっ」

「いや、俺は勝てる気がする! なんせ、この腕輪が付いているからな!」

「足元をすくわれても知らないですっ!」


 パフェットが何を言おうが、俺は良い気分で浮かれていた。この腕輪をくれた人はきっと良い人だと決めつけていた。


 暫く屋台の料理を楽しんでいると、開始のファンファーレが鳴って、アナウンスが響き渡った。


『二ノ選を始めます! 一ノ選を適格した方、合印邸の前にお集まりください!』

「始まったな!」

「行くですっ!」


 一ノ選が適確になった俺とパフェットは、合印邸の前に集合した。

 しかし、集まったのはほんの数人だけだ。数百人居た解読使いは、あっという間に四人に絞られていた。


「あれ? 適格になったのはこれだけ?」

「一、二……たったの四人だけですっ?」


 知り合いばかりフォイユとアヒージョ。それと、俺とパフェットだ。

 アヒージョがこちらに駆けて来た。


「ガーリック様も適格になったんですの? 私もですのよ!」


 あまり会わなかったアヒージョなのに、一ノ選を易々と適格になっていたようだ。


「おめでとう、アヒージョ!」

「ありがとうございます! あれ? 綺麗な腕輪ですわね、ガーリック様?」


 アヒージョは、目ざとく俺の腕輪に気づいたようだ。腕輪に意識が戻り、嬉しさが蘇ってくる。欣然としてアヒージョに腕輪を見せる。


「良い腕輪だろ? 貰ったんだ!」


 俺の笑顔が止まらない。

 そんな俺に、パフェットが冷静な目を向けている。


「ガーリックさんは、罠だと知らずにラブレターとプレゼント貰って浮かれているですっ」

「多分、足下救われますわね?」


 アヒージョの顔が怖くなった気がするのは気のせいだろうか。

 俺の頬に冷や汗が滴る。そっと目線を外せば、フォイユと目が合った。

 しかし、フォイユは俺の何かに気づいて、ニヤァと嫌な笑い方で、俺を上から目線で見降ろしていた。


「な、なんなんだ?」


 流石に、あのフォイユの笑みには嫌な予感を禁じ得ない。また何か企んでいるのだろうか。

 決定人が、にこにこ顔で頷いた。


『はーい、二ノ選に適格した方、おめでとうございます!』


 観客から拍手喝さいが送られる。


『二ノ選は、三ノ選までに二人に絞り込みます! そして、三ノ選で決勝となります!』


 決定人は、ビンを開けた。

 すると、暗号の記号があふれ出る。あっという間に、暗号の記号は俺たちを取り囲む。


「なっ!?」

「ですっ?」


『安心してください、合印決定選用の暗号です! これを沢山解除できた一位と二位を二ノ選適格とします!』


 ワァッと歓声が沸き起こった。

 二ノ選、開始だ!

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