第五十三話 世界がうらやむほどの超絶美形な俺へ!

 疲労困憊の俺だったが、宿屋で一夜明ける頃には、すっかり回復していた。食堂で朝食を摂りながら、俺とパフェットは楽しく駄弁を弄していた。


「今日も頑張るですっ! 二日目は違う屋台が出るらしいですっ!」

「じゃあ、軽く朝食を摂って、屋台を回って食べまくるぞ!」

「おー! ですっ!」


 パフェットと一緒に朝食を摂っていると、ウェイターがやってきた。


「ガーリックさん、プレゼントが届いています」

「プレゼント……?」


 ウェイターが俺に小箱を差し出した。

 用が済んだウェイターはそのまま戻って行った。

 綺麗なリボンでラッピングされてある、野球のボールが一つ入りそうなぐらいの小箱だ。


「なんだ? これ?」

「メッセージが入ってますっ!」

「ええと……。『世界がうらやむほどの超絶美形なガーリック様へ。一ノ選、適格、おめでとうございます! あなたを恋い慕う者より』……」


 リボンを解いてみると、中には腕輪が一つ入っていた。男物の綺麗な腕輪だ。しかも、センスの良い俺好みの、男心をくすぐりそうな腕輪だった。


 しかし、パフェットは、そのプレゼントをいぶかしんでいた。


「ガーリックさん、どう考えても、その腕輪はアヤシイですっ! 昨日から変なことが立て続けにあったですっ。これは、どう考えても罠じゃないですかっ?……って、ですっ!?」


 文面から顔を上げたパフェットは、俺を二度見した。

 俺が、イケメンモードで輝いていたからではない。


「何、腕輪をつけているですかっ!」

「いや、べつに、良い腕輪だぞ?」

「罠じゃないですかっ!?」

「罠じゃないって。何ともないから」

「そ、そうですかっ? 明らかにアヤシイですよっ?」

「そんなことナイって! それに世界がうらやむほどの超絶美形なガーリック様というところが良く分かっている! うん!」


 パフェットは、ポカーンとした目で見ていた。

 俺は、ニヒルにフッと笑った。


「もしかして、嫉妬?」

「絶対に違いますっ。絶対に罠だと思うですっ」


 俺は、すっかりイケメンモードでハハハと笑っていた。


「ハハハ、絶対に俺のファン。良い事もあるもんだなァ!」







 その頃、フォイユはヤンデレモードでハハハと笑っていた。


「ハハハ、絶対にあたしの罠でガーリックは二ノ選失格だァ!」


 早朝。二人の笑い声が、各々で楽しそうに響き渡っていた。

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