第五十二話 合印決定選、一ノ選! 俺! 2

 部屋一面が強い光で明滅した。俺を束縛して取り巻いていた暗号は震えていたが、パシッという音共に砕け散った。


「やった……!」


 辺りが一瞬静まり返った。俺の荒い呼吸だけが部屋に響いている。

 その後で、決定人の一人がハッと我に返っていた。


「あ、ガーリックさん、一ノ選、適格です!」


 パラパラと拍手が起こる。

 俺とトリオン様はにらみ合っていた。

 しかし、先にトリオン様が俺から視線を外した。


「……まあ良い。二ノ選が楽しみだ、ガーリック」


 トリオン様はそのまま部屋を退室した。

 俺の肩から力が抜けるのが分かった。


「ガーリックさん、やったですっ! スカッとした感じですっ!」


 パフェットは大喜びだった。俺も自然と笑顔になる。

 けれども、これは十中八九フォイユが勝つための出来レースだ。

 でも、俺は決心した。

 このまま勝って、トリオンとフォイユの陰謀を打ち砕いてやる!



 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る