第五十一話 合印決定選、一ノ選! 俺!
「待たせたな、パフェット!」
「ガーリックさんっ! 良かったデスって――え゛っ?」
パフェットが目を丸くして、俺の有様に驚いている。
パフェットが震える手で俺を指さした。
「もしかして、もしかして、ガーリックさん……っ! 解読できてないんですか……っ!?」
「そうだ! 尻に暗号椅子をくっつけたまま飛び跳ねてここまで来たッッ!」
パフェットがゴクリと喉を鳴らした。
「す、スゲェ……!」
俺は偉業を成し遂げたようだ。本当にすごかったらしく、パフェットは『です』の助動詞をつけ忘れている。
「何事ですか!」
「それは暗号椅子では!?」
決定人が俺の暗号まみれのザマに、驚愕してこちらに駆けよってくる。
「俺は、フォイユに嵌められたんだ! それで、こんな強力な暗号椅子に!」
決定人がざわめいている。
傍で見ていた一人の男が頷いた。
「では、その暗号椅子を解読出来たら、一ノ選適格だ。良いな?」
「トリオン様、それはいけません! この暗号椅子、どう考えても強さがマックスになっています! そんなことをしては――」
「構わない」
「トリオン様!?」
流石に、それにはパフェットもギョッとしていた。
「それは駄目ですっ! 不公平ですよっ!」
「本当だよな! こんな暗号椅子じゃフェアじゃない!」
しかし、トリオン様は動じた様子はない。笑顔すら浮かべている。
「ガーリックは、合印の、スキュエア様とマルネス様を助けたらしいが? それなら、それぐらいできて当然じゃないか?」
「えっ……?」
何だろう? トリオン様は、俺を試しているのか?
いや、違う――。
そもそも、フォイユが一ノ選で使う暗号椅子を手に入れていたということ自体変だ。
ということは――。
俺は、疲労困憊の顔でフッと笑った。
なんだ、そういうことか。フォイユとトリオンはグルということか。
「当然です。やってやるッッ!」
俺は、カッと開眼して、手を打ち鳴らして開いた。
「解読!」
暗号が明滅した。しかし、それだけだ。
トリオンが、がっかりしたように言った。
「やはり、無理か」
「どいつもこいつも! うるあああああああああああ!!」
俺の絶叫する声に、トリオンはビクッと震えた。
俺は、手を打ち鳴らして開いた。
フォイユのムカつく台詞が蘇ってくる。
「解読ッッッ!!」
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