○●○第三章○●○

第四十三話 俺とパフェットの弱点!? 合印決定選!?

 ここは、第何区域の内にある、どこかの室内のようだ。合印の屋敷のように豪奢ではない。しかし、かなり立派な屋敷で広々としている。その屋敷の中に一つだけ変わった部屋があった。どこか合印様の屋敷に似せて作っているような、背伸びをした感じのする部屋だ。小物もキャビネットも机も何もかも、手に入らない物は手作りをして似せてある。それほどに、この部屋の持ち主は、合印様に対するあこがれが強いようだ。


「それは、本当ですか!?」

「ああ、フォイユ《Feuille》。本当だ」


 部屋の持ち主、フォイユは陶酔したように天井に夢を馳せている。


「今度、第三区域の合印を決めるための決定選がある」

「トリオン《Torion》様の力であたしを第三区域の合印に押してくれると言うことですよね!?」


 フォイユは歓喜に胸を震わせている。夢の世界に飛んでいきそうな気分だったが、目の前にいる男、トリオンがかぶりを振った。


「いや、そうではない。合印決定選にはみんなと一緒に参加してもらう」


 天国から落とされたようにフォイユは衝撃を受けて、トリオンに言い募った。


「そんな!? みんなと一緒に参加したのでは、きっとパフェットとガーリックという人が第三区域の合印になってしまいます!」

「……パフェットとガーリック?」

「そうです! 新聞にも出ていました! 合印の、マルネス様とスキュエア様を、その方に匹敵する解読の力で助けたと!」

「ああ、そうだったな……」

「きっと、パフェットもガーリックも、この合印決定選に出るんだわ! あたしの合印になるっていう夢が! どうすれば良いの!?」


 絶望に打ちひしがれるフォイユは、まさに悲劇のヒロインだった。トリオンが、クスリと笑った。


「ペンと紙をくれないか?」

「え……? あ、はい!」


 一瞬、ポカンとしていたフォイユだったが、慌ててペンと紙を持ってきた、トリオンは、達筆で何ごとかを綴っていた。


「これを。これが、パフェットとガーリックの弱点だ」

「あ……アハハ、ありがとうございます!」


 フォイユは、笑ってそれを受け取っていた。

 これは、これらの人物による出来レース。

 ガーリックとパフェットは、そのことをまだ知らない。

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