第十四話 第五区域の合印様にパフェット踊らされる!
俺は仕方なくパフェットと一緒に、スキュエア様の後ろを付いて行く。スキュエア様は、人だかりができている合印邸の前を通り抜けた。そうして、パフェットと俺を合印邸の扉の前まで案内した。
「実は、暗号が、私の屋敷を暗号の森と繋げてしまったのです! パフェットさんとガーリックさんなら何とかできるはずだと思ったんですよ!」
「えっ? 暗号? えっ? 懸賞金は?」
パフェットがすがるように俺を見てきたので、俺は静かに首を横に振った。ようやく、パフェットは嵌められたことに気づいたようだ。哀愁の漂うパフェットの目が捨てられた子犬のようだ。ゴメンな、パフェット。俺の自宅はアパートだからパフェットを飼ってやれないんだ。そういう気分で、パフェットの肩に手を置いた。パフェットに面倒を見てもらっているのは俺の方なのに、薄情な俺の妄想だった。
「勿論、懸賞金はこの難問を解いてくれた方に差し上げようと思ってますよ!」
「汚いやり方だな! 帰るぞ、パフェット! こんな奴を助けてやる義理はない!」
「そ、そうですねっ!」
俺はパフェットの手を取り、踵を返そうとした。しかし、スキュエア様が声を張り上げた。俺の背中でスキュエア様の罵声が震えるように届く。
「もしかして、あの暗号文を解いたというのは嘘! じゃあ、暗号なんて解けるわけがないか! ああ、こんな雛や青二才に解けるはずがない! そうだ、その通りだな!」
「……」
俺は、虚ろな目でスキュエア様を振り返った。
絶対に、俺たちを怒らせて暗号を何とかさせようという魂胆だ。こんな手に引っかかる俺ではない。こんな手に引っかかる俺ではないが――。
「見くびらないでほしい、ですっ! 暗号の森の暗号なんて、パフェット様が簡単に解いてあげます、ですっ!」
しっかり、パフェットがブチ切れていた。
俺は、スキュエア様の方を見て啖呵を切っているパフェットに、本心から涙目になった。
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