第十一話 特殊な暗号? 暗号解読スキルで、暗号文を解け!?

「もしかして、スマホがないから懸賞金が獲得できないのでしょうか?」


 アヒージョは、本心から落胆しているようだ。俺も同じ気持ちだった。あの時に、スマホを手に持たなければ、今頃一攫千金だったはずだ。

 しかし、パフェットは手をビシッと上げた。


「ガーリックさん、質問ですっ!」

「なんだ?」

「スマホとは何ですかっ!」

「平たく言うと遠くの人と通信する小型の機械だ。俺の国だと大抵の人は持ってる」


 パフェットの目がキランと光った。再びパフェットがビシッと手を上げる。


「待つですっ! 元々、そんなものはこの国にはないですっ!」

「パフェットさんの言う通りですわ! 魔法はありますけど、そういう魔法はないですし!」


 二人のはっきりとした言い方には、自信が満ち溢れている。ということは、おそらくスマホは異世界にはないのだろう。俺は、矛盾していることに気づいた。


「……スマホがないのに、QRコードはあるのか?」


スマホがなければ、QRコードは開発されない。開発されないということは、存在しないということだ。ということは、スマホがないのにQRコードなどあるわけないのだ。しかし、ここにはQRコードがある。いや、待ってほしい。元々、これは暗号文だった。ということは……。


「ということは……、これは暗号の一種か?」

「もしかして、二重暗号ですかっ!?」


 パフェット様のミスかと思ったが、そうではなかったようだ。俺は、こっそりパフェットに謝った。なるほど、二重暗号か……。


「ということは……さっき一つ解きましたから……」

「パフェット!」

「やってやるですっ!」


 俺が再び用紙を広げて持つと、パフェットが構えた。精神統一するように呼吸をしている。そして、手をパンと叩いた。


「解読!!」


 振動の波が俺の持っている用紙を揺らす。用紙に書かれているQRコードを模っていた点が一瞬光り、用紙からあふれる。その点が、宙を舞うと再び用紙に戻って行った。


「できたか?」


 アヒージョに尋ねると、俺の方に回って用紙を覗き込んでいる。

 目を凝らしていたアヒージョの表情が明るくなる。


「できてますわ!」

「やってやったですっ! うらぁっ! って感じですっ!」


 パフェットが喜んで、こっちにやってきた。アヒージョの横からパフェットが覗いている。


「地図になってますっ! 良い感じですっ!」


 どうやら、ちゃんとできているらしい。俺も確認するため、用紙を俺の方に向けて見た。


「確かに、地図だな!」

「あれ? ちょっと待ってくださいな、ガーリック様!」


 アヒージョが、俺の横から覗き込んだ。どうやら、地図をチェックしているようだ。アヒージョが地図を注視しているので、俺も右に倣った。先ほど見た通り、新聞広告の隅に載っているような地図が描かれてある。


「ここって……!?」


 顔をあげると、アヒージョが驚愕していた。


「なんだ?」


 不思議に思い、俺は再び地図に目を落とした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る