第九話 指令!? アヒージョの暗号文を解読しろ!?
アヒージョは、三十分ぐらい後に帰ってきた。アヒージョは俺たちを見つけると、駆けてきた。手に何かぴらぴらしたものを持っている。
「アヒージョさんこっちですっ!」
「お待たせしましたわ!」
「早かったな!」
俺とパフェットの両手には紙袋が持てないほど提げられている。
「アヒージョさんは、これから買い物するんですかっ?」
「いいえ、しませんわ?」
アヒージョは、きっぱりと否定したが、顔には笑みが浮かんでいた。
せっかく、街に来たのに買い物をしないのだろうか? 確か、ここに来る前は、買い物をすると言っていなかったか? だから、ついでに俺たちが来たのではなかったか? まあ、女心と秋の空というし……。不可解なアヒージョの、手にはぴらぴらしたものを持ていた。何かの用紙らしい。何か活字らしきものが透けて見える。
「アヒージョ、その手に持っている用紙は何だ?」
俺が指で示すと、アヒージョは、良くぞ訊いてくれました! とばかりに首肯した。
「これは、実は運送屋に解読済みの手紙を手渡しに行ったときに――」
アヒージョは、運送屋に行った時の経緯を俺とパフェットに話して聞かせた。
職員さんに大量の手紙をアヒージョは手渡したそうだ。
すると、職員さんは笑顔になっていたという。
『アヒージョさん、今日はすごく沢山暗号文が解けたんですね~!』
『そうなんですの! ガーリック様という新入りの方が一度に解いてしまったんですわ!』
『新入りの方が!? ちょ、ちょちょちょ、ちょっと待っててくれますか!』
職員さんは、アヒージョを制止すると、大慌てで奥に消えて行った。
アヒージョは、首を傾げたらしい。確かに、大慌てする理由がサッパリ分からない。
「マズいことを言ったかしら~、と思ったのですけど、暫くするとその職員さんが戻ってきましたの――」
職員さんは、アヒージョに一枚の用紙を渡してきた。
「これなんですの……!」
「何だよ、これ?」
アヒージョが、その持っている用紙を手渡してきた。
俺は、ウッと呻いた。
「またかよ……?」
不可解な記号の入り混じった文章を見ていると拒絶反応が出てくるようだ。
俺は、目頭を押さえて、その文章が入った用紙を隣にいるパフェットに手渡した。
「見たところ、暗号文ですっ。しかも、これはかなり難解な暗号文ですっ!」
「分かるなんて、流石は、パフェットだな。で、これが何か?」
アヒージョは笑顔になった。ええ、と頷く。
「職員さんがパフェットさんとガーリック様のことを高く評価してくださったんですの!」
「高く?」
「評価ですかっ?」
全然話が見えてこない。
アヒージョは、ええ、と頷いて続けた。
「ふふふのふですの! この暗号文を解いた者に懸賞金を出すとのことですの!」
「懸賞金?」
「百万エスです!」
「百万エス?」
「家が買えるほどの大金ですわ!」
「ふーん! 興味があるな!」
「一攫千金ですっ! 絶対やってやるですっ!」
かくして、俺とパフェットは、暗号文を解くことになったのだった。
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