時のうつろいとともに、自らの力を顕わす血の薄まりに悩む妖怪たち。
そのような状況の中、彼らはなにかのはずみで生まれ出でる“先祖返り”を求め、そして彼ら同士の婚姻によって血と力とを繋ぎ止めようとしていた――。
というわけで。このお話は“先祖返り”した鬼の少年と少女がしくまれたお見合いの場で出逢い、政略結婚させられないため結託するという内容です。
少年は鬼ながらごく普通の少年で、少女は鬼のお嬢様ながら芯が強くて礼儀正しくて。設定はファンタジーなのですが、それはあくまで彩りなんですよね。
メインストーリーはあくまでもふたりの心情と行動に焦点があてられていて、「別れる」ためにがんばってるはずなのにその関係性はどんどん近づいていく……雰囲気はやわらかく、それでいて気持ちよくまっすぐな恋愛譚が綴られていくわけですよ!
タグの「きっとラブ」はフェイクです。むしろ「王道ラブ」なお話ですので、ほんわり甘いの好きな方はぜひともご一読を。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)