第18話
「.....」
「.....」
「.....」
翌日。
俺は街の総合病院。
つまり、咲が、陽子などが搬送された病院に呼び出されて居た。
何でこうなる。
因みに呼び出した奴は。
凛と、咲だ。
どっちが先か?
スマホに電話がかかってきたのは同時だ。
そして現時点に至る。
「オニイチャン?私はオニイチャンにお話が有るよ?えっと、お姉さんもどき?さんは立ち退いて下さい。然もなくば殺しますよ?」
「立ち退かないよ。私ね。決めたんだよ。私の誇りにかけて、咲ちゃんをその考えなどを訂正や改心させるって」
「.....」
総合病院西棟6階。
ICUから出たばかりの咲。
その病室。
火花を散らして覇気を叩き出している2人。
あのさ、一言、言って良いか?
俺、完全にモブになってますよね?
「.....ハァ.....」
誰か助けてクレメンス。
怖いよー。
凛が怖いよー。
咲が怖いよー。
これじゃまるで風神と雷神じゃねーかよ。
いや、異能力バトルでも始まるの?
異世界でもあるまいし。
「ああもう。本当にウザい。.....殺しておけば良かった」
「咲ちゃん。言葉使いから始めようか、ね?」
凛は叱責する様な感じで話して。
それから早く足を動かして。
咲のベッドに近ずく様に踏み出した。
その事に、咲は身構えた。
だが、次の瞬間。
「.....!!?」
凛は咲の身体を思いっきり抱きしめた。
言葉と行動が合ってない。
まさかの事に、咲は見開いて。
俺も驚愕した。
だが、直ぐに咲は。
凛を床に勢い良く突き飛ばした。
「気持ち悪いな!何するんだ!テメェ!!!!!」
激昂した、咲。
かなりの勢いで突き飛ばされた凛は床から起き上がる。
俺はそれを支えた。
「.....咲ちゃん。人はね。抱きしめられると安心感を持てるって知ってる?だから先ず初めに私は咲ちゃん。貴方を安心してから土台は完成する。そして.....咲ちゃん。貴方を変えていくよ」
「.....凛.....お前.....」
俺は驚いていた。
抱きしめられた咲は激昂した感じのまま、凛に殺意を向けている。
「.....ゆーちゃん。このまま咲ちゃんを大人にしたら駄目。このままじゃ.....咲ちゃんは社会から排除されてしまうから。だから絶対に.....変えさせないと。ね?ゆーちゃん。貴方も.....思うでしょ?」
「.....!」
凛は起き上がりながら、俺に真剣な顔付きを見せる。
いや、まぁ。
確かにそうだけど。
急激に変わる様なもんじゃねーよ。
咲は。
「.....咲ちゃんの事をお兄ちゃんならもっと考えてあげて。そして咲ちゃんは過去にどの様な事があってこうなってしまったのか.....もっと考え.....」
ドゲシッ!!!!!
凛が崩れ落ちた。
正確には、咲が点滴を全て抜いて。
立ち上がって、凛の腹を思いっきり蹴っ飛ばしていた。
凛は唾を吐いて。
その場に土下座する様に踞る。
まさかの出来事に、俺は咲を睨む。
しかし、咲は。
瞳孔が開き、腕を出血させながら。
真顔で怒りを露わにして居た。
「.....きっつい.....一撃.....だね.....」
「.....本当に何様のつもりだ?オマエ。殺すだけじゃ足りないな。甚振ってやろうか」
拳を振り上げる、咲。
このクソ馬鹿野郎!!!!!
凛に謝らせようと、止めようと俺は立ち上がる。
だが。
咲の顔を見て。
俺の怒りは完全に消滅した。
まさかだ。
いや、ある訳無い。
そう、咲が。
他の女の話を聞いて、涙を流すなど。
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