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 左腕から振動が伝わる。やはり口ではどう言っても、体の反射は苦しんでしまうものらしい。


 5秒。それがルール。


 沈めていた頭を掴み上げる。荒い呼吸。噎せる彼女の髪を引っ張る。


 更に5秒。これもルール。


 束の間の休息に安らぎはない。再び彼女を水中へ押しやる。もがき苦しむ姿を見下ろしながら、痺れたような脳内は快感で満たされる。


 繰り返すのは7回まで。


「はい、おしまい」


 噎せている癖に妙に未練がましい眼差しで見詰める彼女の前髪を掴む。


「ルール、だろ?」

「う、ん……」


 死なないように、殺さないように。


 いつか来るその日まで。望み通り嬲り続けてあげるよ。

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