どちらにしても死ぬのでせう
1
ヂギヂギヂギ……ヂギヂギヂギ……
カッターの刃を出し入れする音。
とても心地よい音。
音を響かせながら、呼吸をあと3つ。
ひとーつ。ヂギヂギ。
ふたーつ。ヂギヂギ。
みーっつ。ヂギ。
持っていたカッターを振りかぶる。
待っていた痛みはやって来ない。代わりに振りかぶったはずの右手が固定されている。
見上げるとあなたが微笑んだまま私の右手を掴んでいる。
「あ」
「なにしてるの」
「これは、その、」
スッと手から抜けていくカッター。
「だめでしょ」
「ちょっとのつもりでした、よ?」
「だめ」
その微笑みは恐ろしく冷たい。
「殺してあげるって言ってるでしょ」
「……はい」
私はその日を夢見て待っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます