第8話
僕は情報戦と共に飛行訓練も行った。
ある程度両方の業務補佐ができるようになったが、未だ連絡係という仕事についてはよく分からない。
今日はアレックスとのペアだった。アレックスも最初は狭いだのと文句を言っていたが、今はアオヒがいると仕事が楽だと僕とのペアを歓迎していた。
「祭りはカンナミといくのか?」
「そのつもり。何か頑張るから見ててくれって言ってた」
「今年はイバをするから、カンナミも気合入ってるもんな」
「イバをする?」
「あぁ、イバになって躍りを捧げるんだ」
イバとはここの海岸付近に多く生息する大きな鳥のことだった。この地域の人々は昔からこのイバという鳥を先祖として大切に扱う習慣があった。イバの前で悪さをしてはいけない、ご先祖様は見ているよと小さい頃には言われてきたらしい。
「ほら、あれだよ」
丁度イバが一羽飛んでいた。確かに大きいし、よく見る鳥だ。赤褐色に少し寸胴な感じのお世辞にも綺麗とは言い難い鳥だった。
カンナミがあれに扮装するのかと思うと少し笑えた。
うっかりというか、普通に考えれば鳥の扮装といっても多少はお祭り仕様というか、踊れるような格好だろうと想像できたはずだった。
「どうかしましたか?」
僕はカンナミを直視できずにいる。
いつもカンナミはパイロット用の制服を着ている。だぼっとした上着に、ごわっとしたパンツ、膝下ほどのブーツを履いている。ところが今日のカンナミはどうだろうか。
鳥を模しているのだろう、腰と腕にはヒラヒラと赤い布を付けている。腕も脚も露出していて、銀色のインクでペイントしてある。一応マントを羽織ってはいるが、近くで見ればそのきらびやかさは隠せていなかった。
「お祭り用の服?」
「あぁ、これですか。」
カンナミはピラピラとマントを広げ中の衣装を見せてきた。
「格好いいですよね。私も今日初めてフル装備になったんですけど、ちょっと身が引き締まります。」
こちらを見てニコニコするカンナミは化粧のせいか普段以上にきれいに見えた。
祭りの場所に近付くにつれて段々人も増えていた。
空飛ぶ未来 生花円 @kapipan_taxi
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