Episode_12.18 北の沼地Ⅱ


「ダレス! 後ろだっ!」


 ユーリーはそう叫ぶと握っていた「蒼牙」に魔力を叩き込む。そして得意の「火炎矢フレイムアロー」をほとんど反射的に発動し掛けるが、寸前で思い留まった。


(ちっ! 森の中じゃ無ければ!)


 内心の舌打ちが示す通り、森人達にとって、集落以外での森の中での火の使用は禁忌だったのだ。確かに足元を覆う下草の類には葉先を黄色く変じて枯れかかっているものが多い。魔術による火力で簡単に火が付いてしまうだろう。仕方なく、ユーリーは術を先ほど同様「雷撃矢ライトニングアロー」に切り替えると、術陣の念想段階から取り掛かる。しかし、


「ダレス、逃げろ!」


 使い慣れない術は失敗することこそ無いが、発動までに時間が掛かる。その間、ほんの数拍だが、ダレスを見下ろす二頭のドレイクの内右側の一頭は両前足を振り上げると、鋭い鉤爪をダレスに叩き付けようとしている。そんな状況に思わずユーリーは叫ぶ。一方のダレスは後ろを振り向いた状態で固まっていた。腰が抜けたというよりも、自分に降り掛かる運命に茫然と成す術が無い様子となっているのだ。


ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン!


 その瞬間、窪地の中に潜んでいたマーシュ率いる十人の兵達が弩弓クロスボウから矢を放つ。更に、窪地の周囲の木立に潜んでいた森人達も質素な丸木の長弓ロングボウから矢を放っていた。放たれた矢の内、兵士達の発した短く太い矢は殆どが的を外し堅い鱗に弾かれてしまった。しかし、森人の放った矢は、最初の一本がダレスを狙ったドレイクの左目を貫く。


 ギャァァァ!


 耳をつんざくような絶叫が上がると、そのドレイクは上に仰け反る。そして、続く矢が、ガラ空きの喉元を中心として魔獣の正中線上に集中して突き立つ。合計十本以上の矢を急所に受けたドレイクは仰け反ったまま横倒しに倒れていた。これが偶然だとすれば幸運だが、狙ったのだとすれば神業のような森人の射撃術である。


 一方、森人の矢がドレイク一頭を屠る間にユーリーの「雷撃矢」が展開を終えて発動に移る。


バチンッ


 と空気の爆ぜる音と共に、ユーリーの間の前に現れた青白い火花を発する六本の雷の矢が現れる。そして、ユーリーが「蒼牙」の切っ先を残った左端のドレイクに向けると、文字通り雷光の勢いでそれら六本の矢がドレイクに殺到する。


バシィン、バシィン、バシィン――


 ユーリーの放った雷撃の矢は、残った一頭の顔面、鼻先付近で次々と青白い火花を発して炸裂する。通常ならばこの術の習熟が進んでいないユーリーは雷の矢を三本展開するのが限度だが、「蒼牙」の持つ増加インクリージョンの力を利用することでは倍の六本を展開することが出来る。因みに、どれだけ習熟度が進んでも通常限度の魔力であれば五本同時展開が「アロー系」投射攻撃術の限界である。しかし、ユーリーは蒼牙の増加インクリージョンを用いてこの限界を突破出来る。習熟しきった「火炎矢フレイムアロー」ならば十本展開できるのはこういう理由だからだ。


 六本の矢が殆ど同じ場所を狙い炸裂する。


ジャァァァァッ!


 一本の威力はドレイクにとっては対した物ではないが、それが六回襲い掛かると流石に頑丈な鱗に覆われた竜の頭部も鱗が捲り上がり肉が弾ける。鮮血は体外に出た瞬間蒸発し焦げ付くと、次の雷によって肉と共に弾けるのだ。そして、六本目の雷撃が炸裂した時、ドレイクは上顎の一部を失っており、焦げた肉の切れ目から白い顎の骨が覗いていた。その深手の痛みと、雷撃が持つ短時間の麻痺効果を受けて魔獣の動きが目に見えて鈍くなった。そこへ、


「ダレェースッ! 一度下がれー!」


 大声と共に突進してきたのはマーシュだった。普段馬上から振るう槍を両手に持ち、深手を負ったドレイクの頭部に穂先の狙いを定めている。


「マーシュさん!」


 一方ダレスは、その声を受けると、窪地の斜面を転がるようにユーリーの元へと逃れてきた。


「大丈夫か!」

「ああ……助かった」


 ユーリーはうのていで逃れてきたダレスに声を掛けるが、その視線は手負いのドレイクとマーシュの戦いに向けられていた。ダレスもその様子を察してそちらへ視線を向ける。その先では――


「くらえ!」


 マーシュの突き出した槍は、下顎からドレイクの頭部に突き刺さる。しかし、槍の穂先は分厚い上顎の骨に阻まれ脳髄へ達することは無かった。そして、手負いの魔獣は頭を振り回すと、その槍を穂先ごとへし折る。鮮血がふりまかれるが、急所に届かない攻撃では、頑丈な魔獣の動きを止めることが出来なかった。


 一方槍をへし折られたマーシュは止むを得ず腰の長剣バスタードソードを抜き放つと、渾身の力でそれを前足へ叩き付ける。


ガシィッ


 という手応えと共にマーシュの剣は魔獣の左前足を深く斬り付けるが切断するまでには至らない。威力の大部分が固い鱗によって減衰されたせいだろう。


「チィッ」


 逆に、剣を持つ手に痺れを感じたマーシュは軽い舌打ちと共に再び剣を振り上げるが、その横っ面に魔獣の頭部が襲い掛かる。大人でも抱えきれないほど大きな頭による横殴りの頭突きを喰らったマーシュは不安定な足場に姿勢を崩すと窪地の斜面を転がり落ちる。弾みで兜が跳ね飛ぶが拾う隙は無かった。深手を負って凶暴化した魔獣が、マーシュにトドメを刺そうと斜面を駆け下りてきたからだ。


 マーシュからは、自分に突っ込んでくるドレイクの姿が見えていた。爬虫類の目で自分を睨みつけ突っ込んでくる魔獣。その頭部には下から途中で折れた槍が突き刺さったまま、さらに口先の下顎は肉が吹き飛び骨が露出している。正に凄惨で恐ろしい形相である。このまま体当たりを喰らえば、如何に重装備の板金鎧を身に着けた自分でも、容易に跳ね飛ばされてしまうだろう、と思えるほどの勢いで迫って来る。


(っ!)


 危機に陥った騎士マーシュは、しかし状況を諦めない。そんな彼は咄嗟の思い付きで右手に持った剣をドレイクに投げ付ける。


ガキィン


 その剣は、回転しながら飛ぶとドレイクの鼻先に当たり、金属音を発して弾き飛ばされる。結果としてその攻撃とも言えない行為はドレイクの突進を弱めるだけだったが……マーシュにはそれで充分だった。


「うおぉぉ!」


 突進の勢いが止まったドレイクに、逆にマーシュが突進する。あぎとと左足の自由が利かないドレイクはその突進を頭突きで払い除けようとするが、同じ攻撃を二度喰らうマーシュでは無かった。横殴りの頭突きを地面に殆ど倒れるように躱すと、そのまま右足で押し上げるように蹴りを放つ。狙いは下顎に突き立ったままの自分の槍である。


「っ!!」


 ブーツの踵で槍の切れ端を捕えると、全身のバネを使ってそれを押し上げるように力を籠める。ズブリ、という感覚と共に槍の穂先が一段深く食い込むと堅い感触を返してくる。そこで、ブーツの踵を槍の切れ端から離したマーシュは


「食らえ、トカゲ!」


 という罵声と共に、槍の切れ端を再び踏み抜く勢いで蹴り上げる。


ガキィッ


 鋭い鋼の穂先が、魔獣の上顎の骨を突き破り脳髄に達した感触を伝えて来る。そして、ドレイクは糸の切れた操り人形のように、その場で力なく崩れ落ちたのだった。


***************************************


 群れに六頭いるといわれた雌のドレイクは、六頭全てが囮となった森人の狩人の後を追っていた。更に母親に付いて狩りの練習をするまで成長していた子供のドレイク達五頭もそれに続いていた。


 それらは、集団で狩りをする術を心得ており、獲物を追う二頭とその横を突く二頭が先に仕掛け、退路に当たる場所で残り二頭と子供の五頭が待ち受けるという狡猾な布陣を敷いていた。そんな魔獣達にとって誤算だったのは、獲物と思われた狩人が実は囮だったことだろう。既に四頭の仲間が葬られた状況に、慌てて残りの二頭と五頭が姿を現すが、彼女達の前にいたのは追い詰められた獲物では無く、待ち構える狩人達だった。


 先頭を走っていた一頭が落とし穴に嵌まり込む。そして、その様子を見たもう一頭は大きな跳ね上げ式の網罠によって捕えられてしまった。残りの子供達五頭は突然の出来事にどうしていいか分からず、罠に掛かった二頭の周囲に留まるのだが、そこを森人の狩人に狙われた。


 雨のように降り注ぐ矢はどれも狙いが正確で、残酷なものだった。まだ鱗の柔らかい子供のドレイクは、降り注ぐ矢の雨によってあっと言う間に地面に縫い付けられてしまう。そこへ、十人の兵士達が剣や槍を持って殺到していくと、勝負は直ぐに決していた。跳ね上げ式の罠に掛かった一頭は最後まで悲しげな咆哮を上げていたが、それも兵士達の槍が突き入れられる度に弱くなり、やがて消えてしまった。


****************************************


 人と魔獣、友好的に土地を分け合いお互いの領分の中で暮らしていくことが出来ない者同士は結局殺し合うことでしか問題を解決できない。そして、魔獣であっても死んでしまえば、自然の恵み。せめて余すことなく活用することが、奪った命にたいする報いとなる。その事を良く心得ている森人達は魔獣の死体を整理している。しかし、慣れない者にとって、その光景は何処と無く感傷的にさせるものである。


「仲良くやるって訳にはいかないんだな」


 とは、そんな感傷に浸ったダレスの言葉だ。


「出来る訳ないだろ……同じ人間同士だって争うことを止められないのに」


 それに対するマーシュの言葉は真理だろうか? その言葉を聞いていた三人の若者は自分達の業の深さを思い、口を閉ざす。しかし、


「感傷的になっていても、始まらない。私達の役目をこなそう」


 そう言うマーシュの言葉に、全員は再び動き出す。この先にある沼地にはドレイクの群れのリーダーが残っているのだ。


****************************************


 一団は、森の中から眼下の沼地を伺っている。森人達の話では、随分昔からこの沼地には狗頭鬼コボルトの集団が住み付いており、その時に彼等が作った横穴が沼地近くの崖に在るのだという。ドレイクの群れはコボルトの集団からその場所を奪い、横穴を巣穴にしたのではな無いか? と言う話だったが、その通りのようだった。


 一行から見える沼地の反対側は小高い丘のようになっており、その切立った崖の下に出来た横穴の場所付近に一頭の大きなドレイクが居座っていたのだ。一行から丁度百メートルほど離れた場所である。


「ユーリー君や」


 そのドレイクを遠巻きに見ていたユーリーに声が掛かる。声の主はアグムという老魔術師だ。オークによるトトマ襲撃の際に、木人形二体でトトマ街道会館に避難した人々を守りきった老魔術師は、今やちょっとした街の英雄になっている。しかし、一方で若い女性を中心に「お尻を触られた」だの「腰を触られた」だのといった苦情も寄せられている少し問題のある人物でもある。今回の任務に同行を命じられた・・・・・のは、それらの苦情に対する懲罰的な意味があるのだという。


 このアグムという人物がサーシャに文字を教えているというのだから、ユーリーは少し心配しているのだが、サーシャに言わせると


「触るだけだから、もう慣れたわ。それにしつこいと遠慮なく叩く事にしてるし」


 と笑いながら言っていたので、それ以上の害はないのだろう、と思うことにしていた。そんなアグムから声を掛けられたユーリーはそちらを振り返る。


「なんですか? アグム先生」

「あのドレイクじゃが……君ならどうする?」

「……」


 ユーリーは言葉に詰まる。実際、今の今までその事を考えていたのだ。先程の雌のドレイクに比べると、比較にならないほど大きな雄のドレイク。距離は離れているが目測で体高が三メートル以上ありそうだ。狩りをするのは雌だが、縄張りを守るのは雄ということで、雄のドレイクのほうが獰猛だということは養父メオンの著した本に書かれていた。しかし、これほどの巨体になるとは書いていなかった。そんな雄のドレイクはかつて山の王国で戦ったマンティコアと比較しても遜色が無い巨体と思われた。


「まともに戦うと、こちらの被害が大きいと思います。なんとか遠くから仕留めたいですが……」

「儂もそれを考えていた。しかし、遠くから矢を射てもアレの鱗は通らないだろう……」

火爆矢ファイヤボルトを使いたいところですが、駄目ですよね?」

「うむ、火は駄目だろう。それよりもな……ちと相談なんだが……」


 しばらく話し合うユーリーとアグム。そして結論に達したところで、二人のところにマーシュとベロス、そして森人の狩人の代表がやって来る。彼等も三人で話をしていたようだが答えが出ずに、アグムの所へ来たのだった。


「よし、仕掛けるぞ」


 そんな三人にアグムが言う。


「しかし、どうやって?」


 疑問を口にするのはマーシュだが、森人の狩人も警戒するような表情になる。火の魔術を使うと言い出すのではないか? と疑っているのだ。しかし、


「うむ、ユーリー君に協力してもらって魔術を使うのじゃ」

「しかし、火は……」


 やはり、といった表情で狩人が反論し掛けるが、それを片手で制したアグムは言う。


「火では無い、光じゃ」


****************************************


 ユーリーと老魔術師アグムは二人そろって、一番見晴が良い場所に陣取る。アグムの所持する二体の木人形は既に掌に納まる大きさから、二メートルを超える巨体へと姿を変じて、少し離れた場所で待機している。そんな二人の立てた作戦は、実際単純なものだった。


 老魔術師アグムが「光矢ライトアロー」でドレイクを攻撃する。これだけの作戦なのだ。側に控える二体の木人形は光矢一発で仕留められなかった場合に時間稼ぎをする備えに過ぎない。ただ、問題が無い訳では無い。それは、


「儂は魔力が普通の人間並みじゃ、光矢など放てば確実に回復不能の魔力欠乏症になりそのまま死んでしまうじゃろう……そこで、ユーリー君の有り余る・・・・・魔力を拝借する訳じゃな。しかも、変わった剣を持っているので、これも貸してもらうのじゃ」


 ということだった。


「ユーリー、大丈夫なのか?」


 とはヨシンの言葉だ。ユーリー同様アグムの評判を聞いているため、少し警戒したような声になる。しかし、


「分からないけど、これしか方法無いんだよ。俺は光矢を使えないし……」


 ということだった。それでも心配そうなヨシンは、少し離れた場所から二人の様子を伺っている。


「それじゃ、行くぞ」

「どうぞ」


 アグムは、ユーリーから借り受けた抜身の「蒼牙」に念想した魔力を送り込む。その魔力に反応した古い時代に造られたと思われる魔術具の剣は、アグムが送り込んだ以上の魔力を吸い込むように奪い取ろうとする。


「うぅぅ……」


 アグムは予想以上の量を「蒼牙」に吸い取られたことで、立ち眩みに似た症状を感じるが何とか立った姿勢を保つと、次に「魔力強奪スナッチングマナ」をユーリーに対して発動する。


「……ん」


 ユーリーは自分に対して発動された魔力を奪い取る負の付与術の効果を感じると、軽く顔を顰める。それほど多くの魔力を奪われた感覚はしないが、不意に体を抜け出る力の感覚は不快なものだった。一方、魔力を奪い取ったアグムは次の段階 ――「光矢ライトアロー」の発動段階―― へ移る。忙しく右手を動かし虚空に魔術陣を展開すると、みるみる内に額に汗が浮かぶ。そして、


ブォン……


 低い振動音を伴った光の矢が一本、アグムの目の前に現れた。アグムは、膝が笑うような感覚を堪えつつ、その光の矢を遠く離れた場所に居るドレイク目掛けて解き放った。


 光の矢が昼の日差しを引き裂いて沼地の上を飛ぶと、全く気付いていないドレイクに突き立つ。パッと光輪が花開き、少し遅れて爆音、更にドレイクの悲鳴がそれを追い掛けるように響いた。


ドォォンッ!

ジャァァッァァァ!


「アグム先生、大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫じゃ、それよりも、どうじゃ?」

「……駄目です、もう一回行けますか?」

「よし、ポルム、タバス、あのドレイクを倒せ!」


 ユーリーの目の前には、光矢の一撃をうけて転倒したドレイクがその巨体を起こす光景が映っている。術が命中したのは左肩。ごっそりと肉が吹き飛び、左前足も殆ど千切れかかっているが、それでも体を起こしたドレイクは、ユーリーとアグムが立つ場所を睨みつけると三本の足で地面を蹴ってこちらへ向って来た。そこへ、二体の木人形が行く手を遮るように挑み掛かる。


「撃て! ありったけ放て! 傷口や目、口を狙うんだ!」


 そこにベロスの号令が掛かると、弓兵五人と森人の狩人三十人、それに弩弓を持った兵士十人が夫々のタイミングで矢の雨を降らせる。弩弓の攻撃はイマイチ効果がないが、流石に森人の放つ矢は狙い鋭く、白い骨が覗くドレイクの肩口や顔面に突き立つ。そして、槍のポルムと木槌のタバスが、怯んだドレイクに打ちかかっていく。


ジャァァァァッ!


 対するドレイクは痛みに錯乱しつつも尻尾を振り回すとポルムを吹き飛ばし、次いで飛びかかって来たタバスの一撃を大きなあぎとで受け止める。その間も矢は断続的に降り注ぐが、この巨体には針で刺された程度のダメージしか与えないようだ。


 しかし、二体の木人形の恐れを知らない攻撃に、ドレイクの突進は止められる。そして、


「思った以上に……苦しいな……もう限界じゃ……」


 二度目の発動過程に取り掛かるアグムは目の前に浮かんだ魔術陣を忌々し気に見つめると弱音を吐く。一方のユーリーはアグムに魔力を奪われつつも、負の付与術「弱体化ウィークネス」を魔獣に掛け続けている。何度か効果が通った手応えを感じるが、ドレイクの巨体の前にどれほどの効果があるか自信は無かった。


「先生、早く!」


 そんなユーリーは、眼前で二体の木人形が叩き潰され、引き千切られる光景に焦りを覚える。そして、


ブォォォン


 二度目の光の矢がアグムの目の前に浮かび上がると、次の瞬間、同じように宙を切り裂きドレイク目掛けて飛んでいく。


ドォォォン!


 二発目の光の矢は、ちょうどユーリーとアグムの二人を正面に見据えていたドレイクの首元に直撃すると、パッと光の華を咲かせる。そして、爆風と共にドラゴンに似た頭部は胴体から引き千切られて空を舞っていたのだ。


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