第13話 覚醒と成長

光の大精霊様とお友達になるべく、急遽、光の中央庭園の特異点に来ることになりました。

瑠璃様に中央への直接転移門ダイレクトゲートを召喚して貰い、門を潜るとあっという間に見たことのない景色が広がる場所に。


「無事、転移できたみたいね。」


「ここが中央の特異点なんですか?」


「えぇ、アニス様、ここが中央管理局で直属の管理している光の特異点と呼ばれる場所です。」


「つまり、中央管理整備室の管理下では無い為、室長の父は知らない場所と言うことですか?」


「一応、そういうことになるわね。実際にここに来れるのは、一部しか存在しないけど。」


「しかし、この特異点という所は、すごく変わってますね。精霊がここの整備を行っているんですか?」


「えぇ、そうなのよ。だから、精霊以外の他種族全員を拒否されてる感じが強いのよ。」


「光の大精霊様は、そんなにも人見知りなのですか?」


「まぁ、実際に会ってみなければ、解らないこともありますよ。」


そういうとルーシェ様は、私を特異点の中央まで案内される。

これって、転移扉ドアだよね?


「この先は、アニス様だけで行って頂けますか? 私の気配を感じれば、すぐにどこかに行ってしまわれると思うので…。」


「はぁ、まぁ、別にいいですけど。」


「申し訳ありません。光の大精霊様には、我々は嫌われているみたいなので…。」


「では、行って参りますね。でも、この転移扉ドア、特殊な力で起動できないようになってますね。この力は…。」


私は少し考えてから、一旦、静かに両眼を閉じる。そして、ゆっくりと両眼を開き、精霊眼を解放して、転移扉ドアをよく見る。

複雑な精霊術式で、扉が封じられてるけど、この眼があるから問題なさそうな気がする。


転移扉開門ドアオープン、我を汝が主の元へと導け。」


「流石、精霊眼の持ち主。本来、後天的に精霊眼が目覚めることはないのに、アニス様は、あの丘に来てから、精霊眼に目覚めたのよね。先天性のものならば、あの丘に来た瞬間に発現してもよいのに、それは無かったらしいし…。クラルテ様曰く、幼少時にこの丘の査察に来た際に開花させた精霊との絆。そして、記憶の封印が解けてから、両眼共に開眼したと言われる精霊眼。様々な可能性を秘めているから、人という種は素敵に思えるのよね…。あとは、無事に戻ってくることを願うのみですわ。それまでは、私はお茶でも飲みながら、待ってますか…。」


ルーシェ様はどこからか、ティーセット一式を取り出して、アフタヌーンティータイムを始めようとしているのを見つつ、複雑な術式を解いて、転移する。


転移扉ドアの向こう側には、新たな景色が現れ、様々な精霊の力が凄まじく解放されている。

その影響なのか、私の精霊眼や大精霊師エレメンタルマスターの力が強くなっている感じがする。

そして、この精霊の力が強くなってる為か、私の影の中の何かが目覚めた様子。

私が感じたことのない凄まじい精霊の力が顕現させている感じ。

この影の中とこの先に居る精霊。さて、どちらを優先させるべきなのだろう。


とりあえず、私に匿ってもらうように影の中に入ってきた方からの治療が先ね。


「我が影の中で眠り傷つきし、大いなる精霊よ。我が力によって、汝を癒さん。精霊高位治癒エレメンタル・ハイヒール!」


影の中に眠っていた精霊の傷が全て治り、衰弱していた力も回復していく様子が見える。

これで影の中から出てきてくれれば、いいんだけど、まだ、無理そうね。

私の影って居心地がいいのかしら? とりあえず、先に進みましょう。


この特異点という場所は、光だけでなく、様々な精霊が整備をしているみたいね。

その中心的な存在、この特異点の管理官がが光の大精霊様になるのかしら?


しかし、ここの精霊さん、私の姿が見えているのに襲ってくる気配はないし、驚いてる様子も全くない。

わざと無視していると言うことなのかしら? でも、ここから立ち去れと無言の圧が発せられてる。

卑下に私を見ているということはないけど、ここの精霊さん達、何故か、どこかしら一箇所だけに傷があるのよね。自らの力では治せない傷を負って整備してるのが解る。

うーん、お節介だとは思うけど、見て見ぬ振りをされるのも嫌な感じだけど、何よりもこの傷を治したい。

文句言われようが何だろうが、こんな傷を見ていたいと思わないわね。

この傷を支配や恐怖の印にしてる感じが気に入らないのよね。

別の強力な術が使える方が精霊術という便利な術を覚えて、精霊を自分の支配下に置いたって感じかしら?


「我が周囲に存在する全ての傷つきし精霊よ。我が力を持って、その全てを癒さん。精霊範囲全治癒エレメントエリア・フルヒール!」


私の精霊眼によって、感知できる全範囲の支配の傷を治せず、整備を続け働いている精霊達に対し全ての傷を完全に癒す。

無視を決め込んでいた整備をしていた精霊たちが驚き、手が止まる。

そして、一部の高位精霊達が、私の前に顕現し跪き、代表と思われる精霊が私に話しかける。


「我々全ての支配を無効化し、その傷の全てを回復させるとは、貴女様、一体何者なのですか? 」


「私は、アニスと申します。一応、人の子です。ここで働いている全ての精霊さんが自身で治せない傷を背負いながら、働いていたので、それが嫌で傷を治しただけのことです。」


「ただ、それだけの理由で、傷を治したというのですか?」


「ええ、そうですよ。あの傷を見ていると、すごく不快に感じてしまって、見ていられずに治してしまっただけです。」


「あの傷は、支配の傷と呼ばれるもので、精霊術士が我々と不条理な契約を結ぶために我々を傷つけ、支配した印なのです。傷つけた本人もしくはそれ以上の精霊術士でなければ、治すことはできないので、我々としては、とても感謝をしております。アニス様、ありがとうございます。」


「お礼を言われることをしたつもりは無いのですが、無理矢理に支配するというのは許せませんね。えっと、ところでここには、光の大精霊様がいらっしゃると伺って、会いに来たのですが…。」


「光の大精霊様に会いに来たというのですか…。でも、あの方は今は…。」


「何か事情があるのは、現状で大体の理解は出来ています。それでも、私を光の大精霊様の所へ案内して頂けますか?」


「わかりました。それでは、あの方の元へ転移させますので、我々の中心に立って戴けますでしょうか?」


精霊眼で改めて、私に跪いた精霊さん達を見ると、「火」「水」「風」「土」の四大の高位精霊さん達。

でも、この高位精霊を支配するなんて、どれだけの術師なんだろう。力を誇示したいとでもいうのかしら…。

精霊と共存し、友であり続けることを無視して支配するなんて、絶対に許せない。


「四大の精霊よ。我が名において命ず、四大の中心に立ちし、愚かなる者を永久に封印せよ!四大霊封陣!」


どこからか、声が聞こえてくる。私を封印しようとしているみたい。

でも、無駄なのよね。私がこの声の主が施した支配の全てを解き放っているし、もし封印されても絶対に解除してやるんだから。

そして、傷が無くなったことで、新たに支配をしようするかもしれないけど、無駄なことだと知るがいいのです。


「四大の精霊さん、聞こえますか? 私のこの精霊眼りょうめに誓って、貴方達の再支配は決してされません。ここの精霊さん達全て、私の大切な友達です。私の友を害するものは、例え何者であろうと容赦はしません。だから、今はこの声の主に支配された振りを続けてください。そして、私を封印した振りをして、転送させてください。」


念話テレパシーで、周囲の四大の高位精霊に話しかける。


「その眼は…。解りました。傷に関しては我々の幻想術で同じ傷らしきものを幻として作り、全ての精霊に対し、支配された振りを続けておきます。光の大精霊様を宜しくお願い致します。」


「何かあれば、私に念話テレパシーで伝えてください。その前に全て終わらせるつもりですが…。」


封陣の真逆に四大転移陣を作り出し発動させ、逆転移する。


何、この真っ暗な空間は? 光が全く持ってない空間みたいね。ここも一種の特殊封印結界の中みたいね。

精霊眼で光の大精霊を探すと微かな光がこの奥に見える。

この空間に転移されたと同時に私の影の中で顕現した精霊が、さらに活性化していることに気付く。


「我が影の中で眠りから目覚めし精霊よ。今こそ、我が前に顕現せよ。」


すると、周囲の真っ暗な空間の一部を吸い込み、一体の精霊が顕現する。


「はぁ~、助かったよ。本当にありがとう。強制転移をしたはいいけど、まさか、魔族長と魔天の片翼の大喧嘩の真っ只中に転移するなんて思わなかったからね。あの時は、生きた心地がしなかったよ。でも、あの場に君が居てくれて、とても助かったよ。必死に君の影の中に逃げ込んだんだけど、とても居心地が良かったから、そのまま隠れ蓑にさせて貰ったけど、僕のこと、いつから気付いていたの?」


「あの時から気付いてましたよ。ただ、何者か解らなかったですし、害するものでは無いと判断したので、放置してただけです。ここに来て、私の影の中にいる存在が精霊だと気づいたので、念のために治癒術を施しただけですよ。ところで貴方は、何の精霊さんなんですか? 失礼ながら見たことも、この力も解らないので、失礼を承知で伺っております。」


「あぁ、そうか、君はこの空間の呼び名を知らないんだね。ここは闇の空間。そして、僕は、闇の大精霊と呼ばれるものだよ。」


「これが闇というのですね。光の世界で生まれ育ったもので、真の闇を知らなかったので、失礼しました。しかし、不思議ですね。本当に光の刺さない空間を作り出せるんですね。」


「ここは、奴が、我が眷属たる闇と影の高位精霊を使って作り出した特殊結界だからね。不覚にも僕も狙われてしまって、ある人物の元で匿ってもらっていたんだよ。」


「ということは、その匿っていた方が同調シンクロを発動され、それに併せて強制転移を行ったら、あの場に出てしまったということですか?」


「そういうことになるね。君の名前は、アニスだっけ? やっぱり君がいいな。ねぇ、僕と友達になってくれない?」


「えっ、いいんですか? こちらこそ喜んでお願いします。」


「じゃあ、アニス、精霊眼で僕をしっかり見て、僕の真名をしっかりと覚えてね。でも、安易に真名は使っちゃダメだよ。君のことだから大丈夫だと思うけど、普通に僕の力を使う分には、真名は必要は無いからね。」


闇の大精霊の瞳を見る。すると精霊眼を通じて私の心に一つの名前が刻まれる。闇を司る大精霊の名を、私の新たな友人の真名を覚える。


「改めて宜しくね。闇の大精霊さん。早速なんだけど、光の大精霊様を助けたいから、力を貸してくれますか?」


「了解。僕の力を持って、この空間、全ての闇を僕の元へ。」


闇で支配されていた空間を大精霊の力を借りて、全て闇で支配されていた空間の闇が一点に収束され、闇の大精霊に吸収される。

闇が無くなった後に光輝く精霊の姿が見える。


「はじめまして、光の大精霊様。お助けに参りました。アニスと申します。」


挨拶すると同時に精霊高位治癒エレメント・ハイヒールを施す。


「ありがとうございます。アニス様。闇の大精霊様もありがとうね。まさか闇の大庭園ナイト・ガーデンから来てくれるとは思わなかったわ。」


「僕も、まさか闇の大庭園ナイト・ガーデンから光の大庭園ライト・ガーデンに来るとは思ってなかったよ。」

 

「えっ、そうなんですか? 闇の大精霊さんは、闇の大庭園ナイト・ガーデンから来たんですか?」


「うん、そうだよ。一時的に瑠璃の元に匿ってもらっていたんだけど、今日、急に同調シンクロしたから、それに便乗して強制転移したら…。」


「あんな素敵な場所に出てしまったということですね。」


「そうなんだよ。あんな所に転移するとは思っても無かったから、ビックリしたよ。あんな思いはもう二度とゴメンだよ。」


闇の大精霊は、思い出しただけで顔色が一気に変わっている、

やっぱり、あんな場所に急に出たら、誰でも恐怖するでしょうからね。

しかし、まさか私の影に闇の大精霊様が逃げ込んでいたのは、違った意味で驚きだったけど…。


「アニス様、水を差すようで申し訳ありませんが、私とも是非、お友達になって頂けますか?」


「えぇ、無論、大歓迎ですよ。」


しかし、思っていた方と大分、違うわね。光の大精霊様は、かなりの人見知りだと思っていたのだけれど。

うーん、何だろう、人で言うと箱入り娘かしら?

他の種族との接点がほぼ無いのと、間違った教育でも受けていたのかしら?。

可憐な深窓の令嬢って感じだけど、私に対しての好奇心が強いみたい。


「では、アニス様、失礼しますね。」


光の大精霊様は、頬を赤らめながら、私に近づき、私の右の精霊眼に口づけして、私の心に直接、真名を伝える。

この行動にすごく驚いて、一瞬にして顔が真っ赤になってしまう。


「あの大精霊様によって、方法が違うんですか?」


「いいえ、本来、その精霊眼で私を見て、真名を覚えて貰えればいいのです。でも、親愛や敬意を払える相手には、直接、真名を刻みこむのです。これでも、あの場所から、この特異点の状況を見ていたのです。そして、ここの全ての精霊を解放し、癒しと敬愛を与え、友としてくれた。私に出来ることは、真の友として、アニス様をお助けすることです。真名で読んで頂ければ、どこにいようと喜んで馳せ参じます。」

 

「ありがとう。でも、貴女達、真名を呼ばずとも、私と一緒に行動するつもりでしょ? なら、真名ではなく、別の名前を付けてもいいのかしら? 精霊の真名を私以外の者に知られれば、束縛されたり、支配される可能性がとても高くて危険でしょ。だから、友達に別の名前を付けるのは、本当は違う気もするんだけど、支配や束縛の意味とかではなく、純粋に親愛のつもりなんだけど、ダメかしら?」


「アニス様に新しい名を戴けるなら光栄の至りです。」


「僕も構わないよ。新しい名前を貰えるなんて思ってなかったし、君はやっぱり凄い子だね。」


光の大精霊様は、顔赤らめて、すごく嬉しそうにしている。

闇の大精霊様は、面白がっているけど、嫌な感じはしてない様子。

ちょっとの間、二人の姿や意味合い等を考えて、名前を付ける。


「なら、光の大精霊の真名があれだから、貴女の名前はレムね。闇の精霊の真名はあれだから、そうだ、君の名前はシェイドにしよう。」


「「新しき名を有難く、拝命いたします。」」


二体の大精霊は、新しい名前を気に入ってくれたらしく、大変、喜んでくれている。

名前を新たに付けて、支配や束縛をするという方法もあるらしいけど、親愛と敬愛を込めて、名付けたから問題ないと思うのよね。

他の者に名前を知られたとしても、支配や束縛されることは絶対に無いし、他の種族とも自然と接して欲しいし、友達になって欲しいから。


「さて、そろそろ、ここを支配していた奴がここの状況に気付くと思うんだけど、レムちゃんやここの精霊さん達、シェイド君を狙ってるのも同じ奴かしら?」


「はい。闇の大精霊様を狙ってるのも、私を支配しようとしたのも、ここの精霊達全てを支配したのも、天族の精霊術士の仕業かと思います。」


「今、ここに戻ってはいるのよね?」


「はい。四大の霊封陣を解いて、アニス様の力を手に入れようと目論んでいるようです。」


やっぱり、精霊さんをこんな目に会わせるなんて、絶対に許せない。

だから、二度と精霊さんに手を出せない位にしないとダメよね。

やるからには、徹底的に畏怖を与えてあげよう。容赦はしないわ。私の友達を傷つけたことを絶対に後悔させてあげるわ。


四大の高位精霊に念話テレパシーで光の大精霊を助けたことを報告し、天族の精霊術士の場所を確認する。

この特異点の端にある旧管理整備棟にいるみたいね。

ここは、闇の大庭園ナイト・ガーデンとの直接転移門ダイレクトゲートを開けるのかしら?

そうだ!「光の書」さん、出番ですよ。


「ここは光の特異点だから、どの大庭園とも直接転移門ダイレクトゲートが開けるよ。でも、各大庭園の特異点からという場所の制約とかなりの術者が必要になるけどね。ここの転移門ゲートが開けたのは、一時的な偶然の産物だから、気にしなくて大丈夫だよ。逆に奴は帰れなくて、困ってるみたい。そして、光の大精霊の存在に気付き、ここの精霊を全て支配して、無理矢理、精霊独自の転移門ゲートで帰ろうとしていたみたいだよ。」


ということは、この事件を起こした奴は、私がここに来たことで、大精霊さん達を解放したから、元の庭園には帰れないということになるのかしら?


「結果的にそういうことになるね。一人の力で元の庭園に戻ることは出来ないよ。精霊独自の転移門ゲートを使えば帰れたかもしれないけど、あれは、精霊以外の者が使えば、降りかかる代償が大きい。認められたものでなければ、使いこなすことは出来ないよ。あとは、精霊のみならず、大精霊をも支配しようとしたことは、大事件なので、この件は、解決後に特別管理顧問官にもお知らせした方がいいと思うよ。」


解決後って、私に解決させるつもりなんですね。


「いやいや、解決させるつもりも何も、スッキリする為に一撃を喰らわせるつもりだったでしょ。」


まぁ、確かにそうだけど。

一撃を喰らわせるというよりも主に脅威を植えつけるつもりだけなんだけどなぁ~。

それよりも、早速、行動に移すとしましょうか…。


「レムちゃんにシェイド君、他の精霊の皆さんも同じだからね。私が願ったら、手を貸してね。やられたことをやり返してもいいけど、絶対に殺しちゃダメだよ。そして、自殺に追い込んでもダメだよ。死よりも恐ろしい恐怖を与えるだけだからね。」


「アニスちゃん、笑顔でとても凄いことを言ってますけど、大丈夫かな?」

「そうね。アニス様が笑顔で怖ろしいことを言ってるのは変わらないわね。」


「やられたらことは、倍返しにするのが、当たり前のことでしょ。」


とりあえず、時間も限られてるし、面倒だから、正面突破で行きましょうかね。

転移扉ドアを使って、特異点の旧管理整備棟の真正面まで行く。

旧管理整備棟内に、まだ解放されてない精霊がいるみたいね。

一気にこの棟内の精霊を全解放してもいいんだけど、とりあえず、様子を見ながら行くことにしようっと。


「天族の精霊術士さんに警告します。ここの精霊さん達は私が解放したわ。この棟内に残った精霊さんに命令して足掻いてもいいけど、無駄な抵抗はせずに出てくることをお薦めしますよ。今から一分間、待ってあげるけど、それ以上は待たないからね。時間が過ぎたら、一気に制圧するので覚悟してください。」


「貴様、一体何者だ!あの封印からどうやって出たというのだ。」


「別に最初から封印なんてされてないし、ついでに貴方が無理に支配しようとしていた光の大精霊様は私が助けたわよ。」


「何をバカなことを言っている。貴様のような小娘にあの結界を壊せるわけがあるまい。」


「えっ? あの結界を壊すのなんて、簡単なことよ。ある方の力を借りたから、簡単に済んだわ。」


「あの方? 貴様、ホントに一体何者なのだ? 苦労して支配した四大の高位精霊は解放されているし、再支配も不可能にするとは何者だ。」


「貴方、さっきから何者だって繰り返すしか能が無いの? ちなみにもう30秒は経っているけど…。」


「警告など聞くわけないだろ。ここには居ない精霊の力で貴様を恐怖を与えてくれよう。」


「闇の精霊さんの力で、何かしようってつもりかしら?」


「なぜ、闇の精霊の存在を知っている。この庭園に住まう闇の精霊の存在は限られているはずだ!」


「警告の拒否は受諾しました。でも、一応、時間だけは守ってあげるわ。残り15秒で何ができるのかわからないけど…。」


「本当に貴様は何者なのだ!」


「名乗りたくはないけど、一応、教えてあげるわ。私の名はアニス。光の大庭園ライト・ガーデン所属、特別管理整備補佐官にして、大精霊師エレメンタルマスターよ。」


「特別管理整備補佐官にして、大精霊師エレメンタルマスターだと…。」


「さて、一分が経ちました。私は別にその建物の中に入るつもりは毛頭ありません。これより、貴方が自らが支配した精霊さん達から報いを受けるといいです。この特異点に住まう全て精霊よ。我が名、我が力を持って、その全ての支配より解き放つ。我が友よ。汝らの力を解放す。」


旧管理整備棟内で、支配されていた全て精霊を解放する。


「何が起こっている。まったく精霊が言うことを聞かん。あの小娘が大精霊師エレメンタルマスターだと、私の精霊支配を解いたと言うのか…。」


「だから、精霊さん達を全て解放したって言ってるでしょ。ついでに貴方が思ってることでも言ってあげましょうか? 『有り得ん、たかが人の小娘如きが天族の私に勝てるとでも思ってるのか!』とか、思ってるのでしょう。貴方の相手は、私ではなく、この特異点に住まう全ての精霊さん達ですよ。私如き小娘に構ってる暇はないかと思いますよ。精霊さん達は、私との約束は出来る限り、守ってくださいね。」


「小娘が、精霊術が使えずとも私には天術があるのだ。そう簡単に負ける訳には…」


天族の元精霊術士が何かを叫んでるみたいだけど、精霊さん達の報復が始まったみたい。

うーん、上位精霊は両手はいるし、中位以下の精霊もかなり多いから、どれくらい持つかしら?

天術か、精霊を支配する程の威力はあると思うんだけど、私が解放したから、精霊さん達はきっと普通ではないと思うのよね。


それにしても、精霊さん達をかなり怒らせてるけど、まったく気づいてないみたいね。

支配されて、充分な力を出せない状況の精霊さんと友として解放されて、真の力を使える精霊さん、どちらが強いかなんか一目瞭然なのに。

しかし、何をしてるのかしら、天術で防御に徹しつつ、何度も支配術を試してるみたいだけど、余計に怒らせてるのがわからないみたいね。


「精霊さん達を怒らせて、何がしたいのかわからないから、そろそろ終わりにしましょうか?」


「小娘が何を言っている。この卑怯者が、悔しければ、我と一対一で勝負しろ。」


何を言ってるのかしら? 負けそうになってるから、挑発して、私を倒せば、起死回生の道が開かれるとでも思ってるのかしら?

精霊さん達に任せて、なるべく手は出さないで、終わらせようと思ったけど、気が変わったわ。初志貫徹で行きましょう。

一撃喰らわせて、スッキリしよう。うん、これ以上、ムカつくことを言われるのも腹立たしいだけだしね。


「わかりました。一体一の勝負を受けてあげますわ。でも、私は、その建物の中に入るつもりはありませんし、建物の外から攻撃させて頂きますね。」


「小娘が、我が最大天術を喰らうがいい。天に輝きし、大いなる極星よ。我に力を貸した前、極星の数多の光にて、全てを貫け!」


極星光槍多閃撃メテオ・ライトニング・ランサーズ!」


「闇の精霊よ、我が願いを聴き給え。極星の数多の光を吸収したまえ。」


天術による30本位の巨大な光の槍が私を目掛けて、貫こうと飛んできたので、あえて言葉に出して、放たれた全ての光の槍を闇の精霊さんに吸収させる。

本来ならば、その槍を全てお返しすることもできるのだけれど、そんなことはあえてしない。


「バカな闇の精霊を使役して、私の槍を全て吸収させただと…。」


「使役なんてしてないわよ。私の友たる精霊に願っただけよ。精霊術の基礎中の基礎すらできてない愚かな方には、もっとお仕置きが必要なんだけど、時間も無いし、勿体ないけど、一撃で決めてあげるわ。」


「願っただけだと、精霊に願って叶えられることは、限られているだろう。それを何故、あのようなことが出来る。」


「真に精霊と向き合わず、友とも想えない輩には一生、出来ないことよ。精霊を支配し、その力で何をしようとしたのか、知らないけれど、私の友達を傷つけた報いは受けて貰うわ。」


「精霊を友だと、何を言っている。精霊と契約し、支配してこその精霊術であろうが、貴様のような小娘の戯言に付き合ってられるか、次の天術でおわらせてくれる。」


「次の天術を放つ必要は無いわ。その前に全てが終わりますから。この地に連れられし精霊達よ。この地に住まいし精霊達よ。今一つとなりて、全ての精霊を支配した愚かなる者に怒りの鉄槌となりて、終焉の一撃を与えよ。」


私の言葉に呼応し、精霊達の力が一つとなり、天族の愚かなる者に怒りの鉄槌が大いなる一条の光となって降される…。

私に対して、何か叫び、天術で抗おうとしたみたいだけど、その程度の術で、精霊さん達の怒りを止められるはずは無いのよ。

格下の者に対して、強大な力を行使するというのは、虚しいものなのね…。


そして、天族と共に立て籠もっていた旧管理整備棟が無残にも崩壊していく。


一応、死んでないのは確認したけど、再起不能なのは確定ね。

心身ともにボロボロだし、このまま放置しておけば、死は確実ね。

まぁ、あの一撃を喰らって、生きてるだけでも精霊さん達に感謝しなさいよね。

でも、死んで許されるなんて、思わないことね。


「精霊さん達の力を借りて、怒りの一撃を持って、この者を既に再起不能にしました。このまま、放置しておけば、死が訪れるでしょう。しかし、私は出来ることならば、このような愚かな者であっても命を奪うつもりはありません。どうか、生かす機会を与えてください。その為の力をお貸しください。」


精霊高治癒エレメントハイヒールで、身体の傷のみ癒し、念話テレパシーで、この愚かな天族に一言だけ、冷淡に言い放つ。


「決して、愚かな貴方でも殺しはしない。でも、このようなことを二度とすれば、全ての精霊の力を使って、次は死ぬことよりもツラい目に会わせてあげるわ。」


天族の身体の傷は完全に癒えたけど、精神的には畏怖を植え付けてみたつもり。

まぁ、半分は嘘だけど、充分な効果はあると思うんだけど。

一応、スッキリはしたけど、これを見たら、ルーシェ様は何と言うのだろうか…。


しかし、この大精霊の力を解放する必要は無かったわね。

この子達の力まで使ったら、ドン引きされるというか、ここが消失しかねないかも。

それでも、お二方には結界として、頑張って貰ったから、あとでお礼を言っておかなきゃ…。


さて、とりあえず、ルーシェ様に報告しないと。


「アニス様、これは一体、何が起こったんでしょうか?」


後ろから、ルーシェ様の声が聞こえてくる。

言い訳を考えてるよりも、今は冷静になって、適切かつ簡易的に状況報告をしないといけないわね。


「あぁ、えーっと、簡単に説明するとそこにいる愚者じゃなくて、天族の元精霊術士がこの地に住まう精霊を全て支配下において、光の大精霊様をも支配下に置こうとしていたので、それを阻止して、裁きの鉄槌を降したまでのことです。」


「私の魔眼で状況把握をしようとしたのですが、大規模な精霊結界が張られ、結界内で何が起こっているのか解らず、待機してたのです。結界の方は調べさせて頂きましたが、相変わらず、規格外の方ですね。光と闇の大精霊の力を結界に使用するなんて、どれだけのことがあったのですか?」


「なんで、光と闇の大精霊さんのことを知ってるんですか?」


「これだけ大規模な結界が急に発動したのですよ。アニス様お一人で発動するとすれば、精霊結界の一択になります。なので、その精霊結界の力の根源を調べるのは基本となりますよ。光の大精霊様が力の干渉をしているのは、何気に解りましたけど、結界にもう一つの力があって、調べてみれば、闇の大精霊様の御力。この庭園に居るはずのない闇の大精霊様の力を使われてるなんて、こっちの方が驚きでしたわ。」


まぁ、そうよね…。気付かない訳が無いわよね。

とりあえず、この天族をどうにかして貰わないと。


「ルーシェ様、この天族、この特異点の大規模精霊支配犯です。四大の高位精霊を支配していたのも確認してあります。また闇の精霊と影の精霊と天術による合成結界内に光の大精霊様を拉致監禁し、精神支配しようとしていた犯罪者です。この庭園での裁きも可能かと思いますが、一応、闇の大庭園ナイト・ガーデン内でも、何かしてるかと思いますので、お調べくださいませ。一応、ここのほぼ全精霊の力による裁きの一撃は与えてありますので、黙秘等するのならば、私の名前を出せば、全部話してくれるかと思いますけど…。」


「一応、確認致しますけど、この天族の名前は?」


「知りません。傲慢と偏見の塊に私の名を晒すのも嫌でしたけど、聞きたくも無かったので…。警告と時間の猶予等も差し上げましたが、全て拒否されたので、制裁の為に一撃を降したまでのことです。」


「アニス様、話の経緯を聞く限り、かなり、やり過ぎていると思われますが?」


「私の大切な友人たる精霊さん達に自己治癒が出来ない傷を負わせ、支配して無理やり、働かせされていたのですよ。私に気付かぬ振りをして、ここから立ち去るように配慮までしてくれました。そんな姿を見せられたら、久しぶりに本気で怒ってしまい、事の顛末がこうなった訳です。力あるものが格下の者を力で捻じ伏せることは、愚の骨頂だとは理解しているつもりでした。でも、怒りが抑えられなくて…。」


「わかりました。これ以上の言及は止めておきます。それにしても、さすがは、アルとニナの娘様ですね。怒らせると怖いのがよくわかりました。アニス様自身は力の行使と言うよりも、支配からの解放、そして、力の援助をされたのでしょう? さすがに加減されているとはいえ、どう見ても、その者は精霊術士としての再起は不能でしょう。これだけの精霊達の怒りを一身に浴びたのですからね。」


泣きそうな私に対して、ルーシェ様は擁護してくれている。


「でも、力を使うということの意味が理解できていて、良かったと思いますわ。アニス様は支配から解放せし精霊達に対し、この者の不殺を願ったようですね。本来なら、この者は精霊達の怒りのままに、殺されていたと思われます。肉体も魂も何もかも残らずに塵となっていたでしょう。これだけ高位精霊やこの地の精霊ほぼ全てを力によって支配していたのですから。でも、殺さずの願いを全ての精霊が応じ、それ相応の一撃を持って、アニス様を含め、支配されていた精霊達全ての怒りは晴れたのでしょう。アニス様は心より精霊達全てを友とし、それを害するものがあれば、何があろうと絶対に止める。制止出来なければ、完全に屈服させるという信念を見せて頂きました。それに、このお二方の精霊王がアニス様の傍に付き添っているということは、絶対的な友として、信頼されている証拠ですからね。」


擁護してくれてはいるけど、先程、両親に対して、同じような圧をかけているのが解る。

でも、私に対しての圧力プレッシャーは無効化されているので、全然、効果が無い。


「ルーシェ様、私に対して、物凄く冷静に威圧をかけて、話しをされてますよね?」


「それはそうですよ。冷静になって尊厳をもってお話しないと、私の身が持ちません。この異様とも言える成長速度とか、たった一日でここまで能力開花をするなんて、前代未聞のことなんです。少しは…いえ無理ね。あの両親にして、この娘様が大人しくしてるなんて、想像できない。私の予想以上の存在で、正直、頭が上がりませんよ。」


「あの両親にして、この子あり…っていうのは、出来ればやめて欲しいのですけど…。私なりに色々と頑張っているのですから。それと成長速度が云々とは、どういう意味でしょうか?」


「これを見て確認して頂ければ、すぐ解ることですから。」


そうして、一枚の紙が手渡される。


     アニス:人種 性別:女性 年齢:17歳 

      身長:157㎝ 体重:54㎏ スリーサイズ:B85W57H86

      職種:特別管理整備補佐官(期限付き)

         一般整備士(大樹の丘所属) 

         大精霊師エレメンタルマスター

一般職種別ランク:整備士B+ 管理官A- 管理整備補佐官A 管理整備官B+

    所持耐性:精神耐性S+ 物理耐性C+ 全属性耐性A 術系耐性A 

         魔力耐性S+ 天力耐性S+ 竜耐性S++ 精霊耐性SS 

         (精霊加護時:全所持耐性SSS)

    所持能力:精霊眼(後天性・両眼) 四大高位精霊加護 

         大精霊(光・闇)の守護 「光の書」による選定者

         精霊同調エレメンタルシンクロ 全精霊術

         精霊治癒・強化術 精霊召喚・使役術

         (心友となりし大精霊及びその全眷属…etc.)

         中級治癒術 身体強化術 中級整備術 

         上級管理術 中級管理整備術 転移扉移動術 

         読心術 交渉術 畏怖+ 気配無効化 

         精霊支配無効化 全精霊攻撃術・封印陣無効化 

         幻惑、魅了等の精神系攻撃無効化 

         畏怖、恐怖、威厳等の心身的な全圧力プレッシャー無効化…etc.


精霊召喚に使役術か…。さっきやったのが使役術ってことかしら?

この補足って、大精霊及びその眷属全て、あと他の一部を召喚できるって…。

精霊治癒は、何気に使っていたけど、元々、覚えていた中級治癒術とは別物だったのね…。

あと耐性関連が一気に上がってるわね。


「その紙は差し上げますわ。能力ステータスの更新は自動でされますので、ご安心ください。虚偽はありません。無くしたりしたら、言って頂ければ差し上げます。では、一足先に大樹の丘にお戻りください。私は、この後始末をしてから、大樹の丘の方に戻りますので。」


「あのルーシェ様、私の耐性の向上速度や能力の開花速度は、変だと思うのですか?」


「いえ、アニス様が望んで成長しているのです。意地の悪い言い方をしますけど、色々と厄介事に首を突っ込んだりすれば、耐性や能力は上がりますよ。そして、友たる精霊との絆が深まれば、大精霊師エレメンタルマスターの力は開花していく。それは当たり前のことです。」


「だから、少しは大人しくしろってことですか?」


「えぇ、あの二人の娘にしては、大人しいとは思っていたのですが、今日一日でそれも見方が変わりましたよ。」


「普段は大人しいつもりなんですけど…。ただ、私の周囲が急に慌ただしくなってるだけなんですけどね。何なら、「光の書」さんに聞いてみますか?」


「押し問答しても、私が勝てる気がしないので、アニス様は、直接転移門ダイレクトゲートで早々にお戻りください。」


「はーい。それでは、ルーシェ様、事後処理の方、宜しくお願いしますね。事の顛末は、四大の高位精霊さん達にお願いしておきましたので、何かあれば、その方たちから聞いてください。」


「協力、感謝します。なるべく早めに処理を終えて、そちらの方に戻ります。アルとニナ、瑠璃様にそうお伝えください。」


「わかりました。それでは、先に戻りますね。」


そう言って、笑顔でルーシェ様と別れ、直接転移門ダイレクトゲートを潜り、大樹の丘の地下に戻ってくる。

転移門近くで、読書をされていた瑠璃様が私に気付き、声をかけてくる。


「アニスさん、お帰りなさい。夕方まに戻るとのことでしたが、少し早めのお帰りなんですね。気のせいではないと思いますが、かなり能力や耐性があがってるように思えますけど、何かあったのですか? それに叔母様は一緒ではないのですか?」


「特異点で色々とあったもので、今は、その事後処理をルーシェ様が行ってくれているのです。なるべく早くこちらの方に戻るとのことでしたよ。」


「アニスさん、その紙を見せて頂いても宜しいですか?」


「えぇ、いいですよ。」


私の持っていた能力ステータス用紙ガイドに気付いたようで、興味を湧いた様子。特に問題ないだろうと思って、瑠璃様に見せる。


「アニスさん、光の大精霊さまとお友達になったのは、わかりますが、何故、対となる闇の大精霊様ともお友達になっているのですか?」


「それは、僕から説明するよ。お久しぶりだね。こちらの瑠璃嬢。向こうでは、お姉さんに匿ってもらっていたんだよ。」


「闇の大精霊様、お久しぶりでございます。姉は元気でしたか?って、何で本当にここにいるんですか?」


「君たちが同調シンクロした時に一緒に強制転移して来たんだよ。そしたら、地獄絵図とも言うべき、真っ只中に放り込まれて、アニスちゃんの影に隠れていたのさ。」


「地獄絵図ってまさか、叔母様と私との喧嘩の間に来てしまったということですか…。」


「アニスちゃんが居なかったら、大変なことになっていたよ。」


「アニスさん…いえ、アニス様、とりあえず、この紙はお返ししますね。あと、闇の大精霊様とお話してても宜しいでしょうか?」


「私は別にシェイド君を使役してる訳ではないので、瑠璃様もいつも通りに接してください。とりあえず、今日も色々とあって疲れたので、自室で休ませてもらいますね。何かあれば、呼んでください。」


そう言って、基礎学校の図書館を後にし、宿舎の自室に戻り、ベッドにそのまま倒れ込み、その後、数時間の記憶がない。ぐっすりっと眠ってしまったみたい。

でも、眠っている間、夢の中で光の大精霊と沢山、会話をしてたのよね。

うーん、起きたはいいけど、まだ眠い。時間はまだ日は変わってないみたいね。


そういえば、近くに光の大精霊がいるみたいね。


「レムちゃんは、私と一緒に寝たいのですか?」


「はい。可能であれば、是非、一緒に寝たいです。」


「じゃあ、光はしっかり抑えて、寝てくださいね。あまり明るいと私が眠れないので。」


「わかりました。人と同じ明るさであれば、問題ないんですね。」


「そういうことです。そういうことも私と一緒に勉強していきましょう。」


「はい。宜しくお願い致します。アニス様。おやすみなさい。」


「おやすみなさい。」


とりあえず、しっかり休んで、明日に備えようっと。

明日は、交換研修開始前日、最後の準備をしっかりしないと。

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