第2話始まり
俺はサービスが始まった瞬間にログイン出来るよう布団に横たわっていた。頭にはヘッドギアが有った。
政府が作ったゲーム【ライフ オンライン】はまさかの年齢無制限。なのでまだ高校一年である〈秋 悠馬〉でもゲームに参加できた。奇跡的に百人に無料プレゼントキャンペーンでこれを手に入れた時は正直驚いた。
「よし!」
と悠馬は気合を入れた。
「アイ、あと何分だ?」
「はい、後一分程です。」
と少女の声をしたのは人ではない。VR機品は脳とのやり取りを行うため一人一人の脳波を撮ってたらきりが無いという事で全VR機品にはAIが内蔵されてある。
それを使い成長に伴って脳に送る電気信号を調節したりする。だが更に凄いのは人との会話を不自然さを全く感じさせない程の自然な対話にケータイに登録すればそのAIを外に持ち出す事も可能なのだ。
このAIである〈アイ〉と出会ったのは約二年前。
VRマシンを買って初めて仮想世界にログインした時に出会った。
その時既に自然対話は可能だったが言語の種類が増え、たまに胸に刺さるような事を言ってくるようになった。
「開始十秒前!」
と声が響くとフルダイブスタンバイのスイッチを入れた。すると目の前数字が浮かび上がる。数字はアイの言葉と同時に五から始まり数を減らしていった。
「・・・ん、にい、いち、ぜろ!」
とアイが言うと目の前が真っ暗になる。すると一筋の光が見えそれはどんどん強くなり現実の俺の体の感覚が遠くなっていった。数秒の浮遊感が終わると硬質な地面に足が着くのを感じた。
するとアバター作成画面が出現しアバターネーム入力画面が浮かび上がった。
悠馬は〈YUU〉と入力した。次は武器のマークが出現した。武器の種類は全七種類。その中で至極一般的な片手剣のマークを押した。そして画面は消えアナウンスが流れる。
「アバターの容姿は自動生成です。
このままゲームの世界に行きますか?」
と聞こえると丸バツのマークが浮かび上がると悠馬は迷わず丸を押した。
「では【ライフ オンライン】の世界お送りします。」
そして再び浮遊感が訪れ柔らかな地面を踏みしめる。
そして草木の匂いが漂って来た。
「ここが【ライフ オンライン】の世界・・・。」
そこには無限と思える程の草原が広がっていた。少し周りを見渡すと近くに大きな街があった。
その光景を眺めていると大きな光点が目の前に出現した。小さな妖精が出現した。
「無事ログインできたみたいですね。」
「アイ、なのか?」
「はい、この世界ではこの姿みたいです。
可愛いからってイタズラはダメですよ。」
とウインクありの上目で行って来た。容姿が可愛い過ぎるあまりドキッと来たがなんとか平常心を保った。
「しないよ。じゃあまずあの街に行ってみるか。」
と良い悠馬は歩き出すと後方で次々とプレイヤーが出現し始めた。数はドンドンましぱっと見百人以上はいた。だがそれでも出現エフェクトは止まる事なく次々と出現する。
「うわぁー。」
と言いながら街の方に視線を向け悠馬は再び街に向かい歩き出した。
街の門に足を積み込むと街の名所が目の前に現れた。
〈オリジン〉それがこの街の名前だった。何人ものNPCが店を構えていた。
「アイ。メニュー画面ってどうやって呼び出すんだ?」
「メニューと唱えれるみたいです。」
アイにありがとうと言いアイに教えもらった通りコマンドを唱える
「メニュー!」
するとメニュー画面が出現した。画面右には0Gの文字があった。これが今の所持金なの一目でわかったがその他のメニューに目を通すと全て英語表記ではあったが比較的簡単な英語が並んでいるだけで特に困る事はなかった。試しにskillと書かれた文字をクリックしてみると悠馬は停止した。そこには何もなく白紙の画面が広がっていた。
「アイ。これはどういう事だ。スキル画面に何も書かれてないぞ。」
「ちょっと待ってください。」
と目を閉じて一秒、二秒、そして目を開けた。
「スキル取得は数あるクエストをクリアをして行く必要があるようです。」
「じゃあ、まずはクエストをクリアして行ってスキル取得を優先して行くか。アイ、スキル取得クエストを受けられる場所はわかるか?」
「はい。クエストボードが設置してあるようです。ここを真っ直ぐいくとあるようです。」
しばらく歩くと大きな木製の板が建っていた。
そこにはいくつもの紙が張り出してあった。
だが内容は全く読めない。試しに悠馬がその板に触れるとクエスト画面が出現した。一番上にあったクエストをクリックすると内容と報酬が書かれた画面が出現した。
【内容】
モンスターの討伐
サージウルフ5体
【報酬】
500G
HPポーション 1本
EXP200
悠馬はスキル取得が無い事をみると画面を閉じた。
スライドしていくと〈片手剣の心得〉の文字を見つけクリックすると画面が出現した。
【内容】
モンスターの討伐
ソードゴブリン3体
【報酬】
片手剣スキル取得
EXP150
「よしこれだ。」
と言い丸ボタンをクリックするとクエストを受注の文字が浮かび上がる。
そして悠馬はメニューと言いメニュー画面を出しquestの文字をクリックし〈片手剣の心得〉をクリックする。
すると内容の横に地図のマークがあった。
そしてそれをクリックするとマップが出現し赤い光点が点滅していた。
「じゃあ、行くか。」
とアイに言うとはい!と返事が返って来た。そして悠馬は街の門に向かうとたくさんのプレイヤーが街に入って来ていた。全員が入りきるのを待つと悠馬は門から街の外に出ると〈始まりの草原〉の文字が浮かび上がり消えた。
街を出てから道なりに歩いて行くと小さな洞窟があった。ソードゴブリンがいるのはどうやらあそこらしい。洞窟の中はほぼ真っ暗だったが僅かに奥で焚き火の様な光が揺らいでいた。足音を最低限消しながら近づき小さな岩に身を隠し首を覗かせると小さな人影が三体。耳が異様に大きく黄色い目をギョロつかせ、
肌の色は緑色。
どこのゲームでもいるゴブリンそのものだった。
片手には刃こぼれして鈍い光を放つ剣が握られていた。フォーカスするとゴブリンの頭の上に名前が浮かび上がる。
〈sword goblin〉その名前を確認し悠馬は背中にある剣を静かに抜いた。
そして、脚に力を入れ全力ダッシュで接近して一体目のゴブリンに不意打ちのバックアタックボーナス入りのクリティカルが入り一体目のゴブリンの体力ゲージがたった一撃で八割近く減った。更にもう一撃を頭部を捉えゴブリンは爆散した。その攻撃でゴブリン達は怒り狂った用に声を荒げた。悠馬の体力ゲージの横に赤い光点が光る。タゲを取られている事を知らせる物だ。
残りの二体は剣を振りかぶり飛びかかって来た。
悠馬は居合の構えをとった。
「ふっ!」
と小さく声をだし剣を抜き放つと二体のゴブリンの首を捉えた。首はクリティカルポイントだった様で二体のゴブリンの首が身体から分離すると空中で不自然な体制で停止し爆散した。そして目の前にクエストクリアの文字が浮かび上がる。後はもう一度クエストボードに行きクエストクリアとなる。
「お見事です!」
とアイが拍手しながらやって来た。
「前回やっていたゲームのお陰ですね。」
「まあな。じゃあもう一度街に戻ろう。」
と言い悠馬は街に戻った。
ちなみにソードゴブリンから得た経験値と金は
EXP60
ゴールド30
だった。それとドロップアイテムはゴブリンの目玉とか言う気色悪いものだった。しかも二つ。
街に戻りクエストボードに触れるとクエスト画面が出現した。だがクエストクリアはできなかった。
「あれ?」
「クエストクリア報告は別の場所みたいです。そこにいるお兄さんNPCに話しかければいいみたいです。」
わかったとアイに言いお兄さんNPCに話しかけた。
「すいません、クエスト報告しに来ました。」
するとクエストを画面が出現する。クリアしたクエスト〈片手剣の心得〉をクリックし報告ボタンを押すとクエストクリアと浮かび上がる。
そして盛大なファンファーレ音がなった。
レベルが上がったと画面が浮かび上がる。
更に片手剣スキル取得の文字が浮かび上がった。
すかさずメニュー画面を開きスキル画面を出現させた。
画面の右上には3pの文字があった。
おそらくさっきのレベルアップにより手に入れたスキルポイントなのだろうと思った。
スキル画面に新しく片手剣のマークがありクリックするとスキルツリーが出現した。
見るといきなりの分岐点があった。
分岐は二つ。
一つは片手剣装備時攻撃力5%上昇。
二つ目はスキル名だった。
〈スラッシュ〉
単発技 攻撃力120%補正。
悠馬は迷わずスラッシュをクリックし確認画面が出現し丸ボタンを押すと〈スラッシュ〉を習得しましたと文字が浮かび上がる。そして画面に発動する型が記された。
「じゃあ今日はここまでかな。」
時間を見ると一時を示していた。さすがに眠いと思いメニューを呼び出しログアウトした。
目を開けるとそこは一時間前に寝ていたベットの上だった。しばらく天井を眺めボーッとしていた。
「悠馬、少しいいですか?」
とケータイからアイの声が聞こえた。
「ん、なんだ。」
「これを見てください。運営が【ライフ オンライン】の細かい説明を公式ホームページにアップロードしました。」
【ライフ オンライン】は日本政府が作ったゲームだ。
今まで発売日が書かれていただけで細かな情報は一切記載されていなかった。ただ仮想世界のお金を十分の一単位で現実に持ってくると言う情報だけだった。
「なんで今頃。」
アイが呼び出した画面を見るとたくさんの文が記載してあった。
だが特に変わった物は無かった。何処でも見るゲームの世界観や武器の種類が書かれてあった。
これならもっと早く出しても良かったんじゃと思い文書の最後の行に目が止まった。
【ライフ オンライン】の通貨を現実側の通貨に変える事について。
通貨変換は十万円からですのでお気をつけください。
つまりゲーム内では百万ゴールドでやっと現実側に持ってこれると言う事だ。
悠馬はその文を読み何故こんな設定にしたのか疑問を持った。別にそんな事をする必要性は無いように思えた。
なので悠馬は気にせずページを閉じた。
「でも、これって相当キツくないか?一回やっただけだけどクエストやってもそんなにもらえそうに無かったよな。」
「はい、現時点最高入手額は六百ゴールドです。
ですが、エリアボスを倒し新たなエリアに行くと入手額も一気に増量するみたいです。」
「なるほどな。じゃあボスはどれくらい強いかわかるか?」
「レベルを上げて装備をしっかりと整えてレイドやパーティを組んだりすれば困る事はないと思います。」
「そこも普通のゲームなんら変わらないな。じゃあ、明日は次の村に向かいながらレベルアップに励むか。」
「それが一番だと思います。悠馬が寝ている間にある程度情報を集めといてあげますね。」
「ああ、頼む。じゃあ、おやすみ。」
「はい、おやすみなさいなのです。」
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