入らない!!

「どうしよう、入らない……」


新しいからなのか、どうしても開かず入ってくれない。


「どれどれ」


友人が一緒に手伝ってくれるが、二人がかりでもなかなか入ってくれない。


友人がボールペンを取り出し、力をぐっと込める。


「……あ!」


「いった? ねえいった?」


友人の手が邪魔で様子がわからず頭をぶんぶんと振る。


「あー、いってない」


どうやら一瞬入ったが、開けたままにする力が抜けて再びしまったらしい。


「難しいな……なんでこんなにも固いんだろう」


「海外のものだからじゃない?」


「そうかな」


そういいながらもう一度開けてみる。

先ほどの努力のおかげで、少しは緩くなっていた。


その調子で、自分一人で差し込んでみる。


「うー……」


穴が小さいせいか、なかなか入らない。

それでも必死に差し込む。


ズッと穴に通された。


「や、やった――! いったよ! やっといったよ!」


うれしさのあまり、友人の前でピョンピョンと跳ねる。


「おお、よかったじゃん」


「ほんとだよー、入らなかったらどうしようか悩んでたから」


「お気に入りだもんね、そのストラップ」


「キーホルダーだよ」


「だから通しずらかったのか。てかそういうのはカバンにつけたほうがいいよ」


「え、じゃあもう一回抜かないといけないね」



こうして私はペンケースにつけたキーホルダーを外すことにした。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る