回転木馬

無題

わたしは、なにか、つくってみたい。それが、やりたいことだ。それは、ゲイジュツカと呼ばれるものになりたいってことか、違うのか、よくわからないけど。まず、いまは、こんなかんじ。



少し風雨にさらしたような質感で、すべすべ、てかてかはしていなくて、さらさらしている。汚れたり錆びたりはしていない、濁った金色の金属で、親指くらいの太さで四角い棒状のを。それをつかって、ちょうど、電車の床から天井くらいの大きさの、鳥かごみたいな形にしよう。かごの目の幅は、ちょうど、人が簡単に頭を出し入れ出来て、そんなに大柄でなけば、簡単に出入り出来るくらい。直径は、中に一人入って、両手広げられるかくらい。


鳥かごといってもきれいなドーム状ではなくて、かすかに上部の方が膨らんでいる。上からみると、中央が少しくぼんでいて、そこに、同じ金属で出来た棒が一本通っている。鳥かごの底は、人間の膝の高さより少し低いくらいのスペース分、地面から浮いている。


中央に棒が通っているので、かごの一本を掴んで歩くと、すうっと滑らかに回転する。微かにきしむ音がするかもしれないけど。しっかりできているから、そのままのぼっても壊れないよ。



これが私の回転木馬。



木馬は、いまのところ、わたしだけかな。



たぶん、これは、町を元気に歩いてる人にはあまり必要ない。


でも、もしかして、一人で、窓のそと、みている子。あ、って思ってくれるかもね。


そしたら、ちょっとだけ、にって、ほほえむかな。自覚なしかもしれないけど。


もしそうだったら、ちょっと、嬉しいなあ。かなしみもすこし、あるかもしれないけど。


意味ないって分かってるよ。でも、それが安心するみたいだ。くるくると、まわってたら、少し、楽みたいだ。



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回転木馬 @M5m9y36

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