第2話
今年の五月の初め、私と範子は海にボートを出し、そこで時間をつぶしていた。
もちろん海水浴客はまだ来てないし、波の少ないこの海にサーファーもいない。
広い海で私と範子の二人きりだった。
そして何かのきっかけで喧嘩が始まり、私は思わず範子を突き飛ばした。
範子はそのまま海に落ち、その姿を消した。
必死で探したが、私は範子を見つけることができなかった。
私は海岸までたどり着くと、ボートを沖に流し、一人家に帰った。
範子の死体が流れ着いたのは、数日後のことだった。
私を含めてみなが「その日は範子と一緒ではなかった」と証言したため、範子が一人でボートに乗っているうちに誤って海に落ちたということになった。
私は疑われることすらなかった。
しかし範子は死んでも私のことを忘れてはくれなかった。
そして私の顔をよく知っているはずなのに、なぜか鈴木と言う名前の見知らぬ女を次々と襲っている。
もちろん私の名前は鈴木だ。
鈴木という名字は多い。
今年は三人の犠牲者が出たが、範子があきらめない限り、来年も鈴木と言う女性が死ぬことになるだろう。
その時私は、いったいどうすればいいのだろうか。
終
死ぬのは鈴木 ツヨシ @kunkunkonkon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます