中学生
小学生の時に仲良くしていた子とは別々になってしまったし、吉田さんも引っ越してしまったのでもう会えなくなってしまった。
それでも新しい友達も出来たし、小学校5年生の時に転校して行ったルリコと再会した。
両親が別居したらしく、お母さんが3人の子供を連れてまた土地勘のある場所に戻って来たそうだ。
ただ、ルリコの家は裕福な家庭で、お父さんはお手伝いさんを雇って一人で住んでいるらしい。
たまたま海外に赴任中で留守にしている一軒家があったらしく、そこをお父さんに借りてもらってお母さんと子供3人で気ままに生活していた。
私はルリコとは元々気の合う方だったし、アッという間に更に仲良くなってルリコの家に入り浸るようになっていた。
ルリコのお母さんは「お母さんらしくないお母さん」でお母さんというよりかは友達という感覚で、当時の私達からみれば話の分かる大人だった。
父が暴力を振るう事も打ち明けた。
「もしかして!ミキちゃんのお父さんって、こうこうこういう人ちゃうの?」
「そうそう、そんなん」
「あ~、それな、うちの人と一緒やんか!私もな、どつかれて歯が欠けたんやで!どない思う?!もう土下座して謝るまで許さへんからな!言うたってん。
あんなん、はよ別れたいんやけどな、世間体が悪いとかそんなん言うねん。
そやけど、まぁ金食い虫が3匹おるやろ、我慢してんねん」
「アハハハハ~」
「ほんでな、歯が欠けた時に他の歯もぜ~んぶ、キレイに治したってん!」
「アハハハハ~、ほんまや、キレイになってる」
「そやろ!」
そういう会話も楽しくてますますルリコの家に入り浸り。
ルリコがいなくても、「おばちゃ~ん」
「あ、ミキちゃん、丁度よかったわ。一緒に買い物行けへん?」
「行く~」
そして必ず「ちょっと休憩しよか」
そう言って喫茶店でパフェやピザを御馳走になった。
「ミキちゃん、ピザ好きなんやな」
「うん、美味しいもん」
「うちの犬もピザが好きでなぁ」
え~!犬と一緒にするなよ~!
でも、ルリコのおばちゃんに言われると不思議と笑い飛ばせて、いつまでも笑い転げていた。
おばちゃんは当時の女性には珍しく車の運転もしたし、何となく何不自由なくお嬢様として育って来た人なんやな、という気がしていた。
母が出て行っていないという事もおばちゃんには打ち明けた。
「ふ~ん、ほんまぁ。まぁみんな色々あるで」
そう言った。
あまり励ますような事も言わなかったし、同情するでもなし「そんなん、普通やで。それがどうしたん?」と言われているようでもあった。
ルリコのおばちゃんのそういう所が本当に好きだった。
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