第2話 小学生時代

両親の夫婦仲は悪かった。

いつも夜中になると喧嘩する声が聞こえていたし、多分近所にも聞こえていたと思う。

おそらく父の暴力もあったと思う。

ただこの時はまだ私達子供に暴力をふるうという事はなかった。

いつも怒鳴ってる大声を聞かされていたので、優しいという雰囲気もなく、母を苦しめている嫌なヤツという思いしかなかった。


一方、母の方はいつも父の悪口を言っていた。当然だ。

そして誰か「男の人」がいた。


私達に内緒にしているわけではなく、放置しているわけでもなく、子連れデート。

私達にもとても優しく接してくれたイトウさん。「この人が父ちゃんやったらなぁ」といつも思っていた。


イトウさんは優しいだけでなく、ちょっと行儀の悪い事をしたりすると叱るような人でもあった。

私は怒られた事はなかったけど、妹のユキは何度か怒られていた。

でも、父ちゃんみたいな恐怖感は感じない。

当時の私から見ても「ユキは怒られて当然だ」と思っていた。


遊びに行った帰り道で必ず母に「今日の事は言うたらあかんで。もし父ちゃんに何か聞かれても女の人と一緒やったって言わなあかんで」と必ず釘を刺された。


しかし、そんな事言われなくても分かっていた。


子供は大人が思っている以上に大人だし、私は子供の時から状況判断の出来る子供であったようだ。


それに私もイトウさんとの時間を楽しみにしていたので、イトウさんとは別れて欲しくなかった。


いつの間にかイトウさんから違う男に変わり、イトウさんとの別れを知った時はちょっと悲しかった。

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