毒親
@blue-rose
第1話昔の記憶
「ミキ、ミキ!大丈夫か?どうしたんや?」
ハッと目を覚ました私はぼんやりと天井を見つめた。
ああ・・・夢やったんや・・・・
「あ、うん、大丈夫や。何か怖い夢見てな・・・・」
今だにこんな夢見るなんて今日は体が疲れてるのかもしれない。
このまま彼にそっと寄り添ってたら安心して眠れるだろうか?
彼には大雑把ではあるが、だいたいの事は打ち明けた。
「ミキは何も悪くない。まぁ・・・運悪く交通事故に遭ったようなもんや」
小学生の頃に話を戻してみよう。
私は両親と妹の4人暮らしであった。
所謂「フエーの子」であった。
当時はフエーの意味なんて分からない。言ってる方も分かってなかったと思う。
ただ、一戸建てに住んでない団地住まいの子は「フエーの子」と言われていた。
かなり後になって「フエーの子」が「府営の子」だと分かった。
今思えば明らかに府営住宅を差別してると思うような事を言う子もいたが、当時はまだ「マンション」なんて少なかった。
立派な一軒家か府営か公団か。
特に私の住んでる地域は一軒家に住んでる子の家というのはとても立派な家が多かった。
お屋敷みたいな家に住んで、そういう家のお母さんはたいてい家にずっといて、ケーキを焼いていたりして綺麗な優しいお母さんで、とても羨ましかった。
でも、私はフエーの子でありながら差別される事もなく、どこの家に遊びに行っても歓迎してくれた。
スポーツ万能、成績優秀、面白い、おまけに家は豪邸という小学生でありながら全てを兼ね備えたクラスで一番人気の賢治君の家に遊びに行った次の日、賢治君がこっそり耳元で囁いた。
「あのな、ミキちゃん、ホンマはお母さんな、他の子が家に来るのん嫌やねん。みんなうるさいしな。でもな、ミキちゃんやったらいいって言うてるねん。
ミキちゃんの事、可愛いって。そやからな、今度から一人で来て。
そうや、明日な1時に西友のオモチャ屋の前で待ってて。いい?」
「うん、いいよ」
そうやって賢ちゃんと待ち合わせをし、お母さんを交えた3人でコタツでミカンを食べながらなぞなぞをしたり、という可愛いデートをしていた。
お母さんはもちろん最高に優しく綺麗だった。
でも、そんな賢ちゃんのお母さんよりやっぱり自分の、私の母ちゃんが一番だった。
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