第21話00010101 神野裁貴(かみのさばき)~ディバイン・ジャッジメント~   

 俺はシオンの亡骸と対面したとき必ずこの手で復讐を遂げると決意した。

 シオンは自殺なんかじゃなく誰かに殺されたと確信があったからだ。


 ましてや警察なんかに逮捕させない。

 何十年かの刑務所生活で済ませてたまるか。


 俺はいままでいくつもの不条理を見てきたはずだ。

 人を殺したってすこしの掛け違いで執行猶予つきの判決がでる可能性もゼロではない。

 

 だから俺は怪しまれないていどの情報を警察に提供した。

 日本中どこの女子高でも――学校の周りで変な男がうろついていた。――不審な車が停まっていた。とでもいっておけば合致する情報を警察が勝手に拾い上げてくれる。


 現在、日本の治安はもうその水準だ。

 俺は時間稼ぎていどだが警察を錯綜さくそうさせることに成功した。

 

 本来の意図ではなかったが捜査攪乱という大義名分で朝間を手懐てなずける材料にもなった。

 シオンの体には顔から足にかけて「ミ」「ウ」「ラ」、三つ合わせて「ミウラ」という傷痕があった。

 首と手首にも深い傷があった。

 

 なにより校内で赤バッジが歩き回っていたことから事件性の有無くらいは容易に想像できた。

 シオンが下着姿で発見されたためストーカーや変質者などの犯行とさまざまな説が走査線上に浮上しては消えていった。


 それでも直接の死因は首と手首からの失血死。

 監察医の結論も傷口の角度を考慮すると自分で切ったことに間違いないということだった。

 結局、自殺という結果で事件は締め括られた。


 ――誰に殺されたのか見当もつかない。と、俺が途方に暮れているころだった。

 

 事件からちょうど七日目、俺の携帯がメールを受信した。

 それはシオンからだった。


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送信者:三浦シオン


件名:裁貴へ


本文:ごめん。驚いた (ノ゚ο゚)ノ オオオオォォォォ


いまの携帯ってスゴいよね日付指定メールって

のがあるんだよ( ̄▽ ̄)V イエーイ!!


けどこれが届いたときに、私はもうこの世にいないかも( ̄▽ ̄;)!!ガーン

とりあえずこれを受信した日の夜、アザミ女子高校の理科室に来て。

良いモノを授けよう!!


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