西暦2025年6月5日:課外授業にて①

ここから本格的に課外授業の出来事を記すとしよう。

魔術の概要は大まかに説明したが、これは魔術師を目指すなら基礎中の基礎知識

でありただの復習でもある。

まぁ、逆に言えばここから難しい話になってくるという事なので、砕いて教えるのが結構面倒だった。というかもう二度とやりたくないとも思った。

てな訳で、アレからの続きを書くとしよう。

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「それじゃ、ミネアさんの質問に答える前に魔力について少し詳しく教えておこう」


この話は一番面倒だからな・・・・その分この説明を理解出来たかどうかによって魔術の質も変化する面白い話になるんだが。


「まず、簡単に言ってしまえば魔力は血液だ・・・これが減れば魔術師は体調不良になるし、最悪魔力が足りなくなって死んでしまう」


「これは言わなくても分かるでしょうが、魔術を使い過ぎては死んでしまうと言う事ですね。ちゃんと自分の限界を知っておく事が何より重要です!」


「血液と同じなら、もちろん自然と回復はする。だが回復時間や回復量は個人差があるからそこら辺も知っておかないと将来正式な魔術師になった時に大変な目に遭う」


「限界値は魔術の才能によっても変化しますが、人間的に成長したり色んな事を経験すると増えたりもするので各自で管理をしなければなりませんよ!」


笑顔でルーファスが注意を促した所で質問の解答に移ろうと思う。


「さて、これを踏まえた上で魔力が足りない場合の代わりになる代償だがこれは発動する魔術によって変わる」


「これだけ聞くと一体どういうことだ?となりますよね、ですのでこれは一から説明していこうと思います!」


「例えば神聖魔術だ。こいつは神様の力をその身に宿して強力な魔術が使える代わりに条件が厳しい」


「前提としてまず神様を心から信仰しなければなりません!」


「所謂宗教という奴だが、皆はどんな神様が存在するのかは両親や教師から聞かされたと思うが、もう一度復習だ。」


「まず、ここクーレタイトでは水の神カナロア様を崇めてますよね!私もカナロア信仰者なので此処に来れて嬉しいです!」


「話を逸らすなよ・・・・ま、まずカナロア神がこの世界に存在する一柱だが、世の中には様々な神様が存在している」


「火を司る神ムルキベル様、風を司る神ルドラ様、大地を司る神ゲブ様、光を司る神ルー様と反対の闇を司る神エレボス様、秩序を司る女神エウノミア様、慈愛を司る女神ヘスティア様、そしてこの私達が住んでいる”ウケミセス”という世界を造ったと言われる創造神アルグレム様の事ですね!」


「そうだな。そしてこれらの神様達を総称して”九神の理”と呼ぶ」


「それぞれの神様を信仰して、魔術を極めていけば一つの真理に辿り着く・・・それが九つの神によって作り出されているので九神の理と呼ばれているんですよね!」


「それで質問の続きだが、この神聖魔術を例えにするとしよう。するとまず信仰している神によって魔力の代わりになる代償の要求は変わって来る。」


「ムルキベル様の御力を借りるのなら魔力と身体の熱、エレボス様の御力を借りるなら魔力と視力、というように術者が属性に近い体質になるように何かを奪われたりするという事です。」


「もちろん魔術の威力や難しさによっては食べ物だけで許してもらったりもするが、神聖魔術ともなると身体に影響が出る程の代償を払わないといけないと思っていた方が良いだろうな。」


「他にも神聖魔術を使うならこういう条件でないとダメ、という神様から直接発動条件が課せられたりするので、破らないように守る事も重要です!」


「強力な分この制約が結構守るのに難しい内容だったりするが、基本的には守れない訳では無い内容なんである意味信仰心を試しているのかもしれないな。」


「という事で、魔力以外の代償はこんな所ですかね?」


「そうだな・・・それじゃ、順番は逆になったが次は精霊魔法の応用編と行くか。」

「何故精霊が力を貸してくれるのか?が議題でしたが、これはあまり深く考えなくて結構ですよ。」


「だが学生時代は結構悩む事も多い疑問だったりもするからな、此処で解消してより精霊について理解を深めるとしよう。」


「まず、精霊というのは本能のままに生きている実態の無い生き物なので意図的に貸している訳ではありませんよ!」


「そう、だからこっちからアクションを起こさない限り向こうは何もしてこないし。」


「だけど俺達が魔力を使って呼びかけると不思議と魔術は成功する・・・これが最大の疑問だろうが、これは一種の契約だと思ってくれ。」


「精霊は自然を守ったり力を貸す存在なので、本能のままに力を貸しているという事です!」


「だがここで一つ注意だ。何もしないからと言って精霊にあれこれイタズラをしてい

い訳じゃない。もしも住んでいる場所を壊したり精霊にむかって魔術を発動させよものなら自分の場所を守ろうと抵抗してくるからな。」


「そして本能的にコイツはやばい奴だから力を貸さないようにしなきゃ、だと学習するのでそんな事をした人は2度と精霊魔術が使えなります。なので注意してくださいね!」


「さて、これで質問の内容も含めて説明が一区切りと言った所だが他に質問がある奴は居ないか?」


と呼びかけ少し待ってみる事にする。

やれやれ、基礎中の基礎とは言えやっぱり此処を説明するのは結構疲れる。

特に神聖魔術を例にしたのは失敗に見えるだろうが、これ以外に簡単に説明できる内容が無いのだ。


と、20秒程待っても反応が無いので俺達は次の内容を話す前に休憩をするように言った。

時間の使い方は俺らに一任されている為、どのタイミングで休憩を挟むかは自由となっている。


流石にずっと座りっぱなしで話を聞くだけじゃ飽きるだろうし高等部の連中にとってはただの復習で飽きが来るだろう。実際眠りそうになってた奴も居たし。


だからこその休憩だが、本音の所いい加減俺達も水分を補給したかったからな。


因みに、休憩がてらファナリア学院長に代償や制約の事を教えていなかった事を聞いてみると「あまり脅威だけは説明すると魔術を怖がる子も居るから」という理由だった。やれやれ、この学院長は生徒思いではあるものの過保護でもあるようだった。


逆にデメリットを教えないで魔術を使われる方が怖いというものだろうに。

という訳なので次の内容も基礎と効果、そして脅威も教えるという形を取りつつ質問を拾う形にしよう。

実験や修行的な事もさせる予定だが、これを途中にするとそれ以降の講義がつまらなく聞こえるだろうから最後の最後に盛り上げ用として取っておく事にする。


さて、長く書き過ぎたが丁度良い。ここら辺で一旦区切りを入れてまた後日続きを記すとしよう。

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あとがき

この話を最後までお読み頂きありがとうございます。

結構日数が経ちましたが要約魔術の仕組みや種類、神様の名前について書く事が出来ました。


説明して思ったのですが、九神の理についてこれだけじゃ理解出来ない箇所があると思うので補足させて頂きます。

魔術師と呼ばれるものはどれかの神様を信仰している(仮にムルキベル様とします)

そして信仰した神様の書物や文献を調べたりしてさらに祈りを捧げ、理解を深める。

そうするとムルキベル様にとっての魔術とはこういう事なんだ!と真理に辿り着く。


この「真理」と呼べる内容はヘスティア様やゲブ様等の八柱の神とは違う内容なので「九つの神が見出した真理(魔術)」という訳で九神の理と名付けました。


それと、神様関連で一つお伝えしますと創造神であるアルグレムという名前は今作品のオリジナルとなっておりますので、名前が似ている神様とは一切関係が御座いません。


そして、もう一つお伝えする事が御座います。

この小説は毎月「27日までに」最新話が投稿されていると思うので、この日を目安に覗いて下さればと思います。


それでは、長くなりましたがまた最新話でお会いしましょう。

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