Ⅺ 底辺だった僕は魔力量の増やす手段を思いつきました

 夕食、美味しかった。あとあの時、目覚めたら何故か僕は風呂に入って着替えさせられていた。





 朝、今日も学園に出向く。今日は休日らしく、校舎に登校してくる生徒が少ない。僕は迷わず理事長の部屋に辿り着けた。しかし、高慢さんはまだいらしてはおらず、扉はまだ鍵が掛かっていた。目的の時間が早かった為、朝食は軽い物で済ませたのだがそれよりも早く着いてしまったようだ。時間的に暇なので、僕は扉の近くに正座して待機することにした。その間にタロットカードに編み込んだ魔術のメンテナンスなどを行い、時間を潰した。



「あら? 早いわね」


 メンテナンスを終えて何も考えずに少しボーッとしていたら、高慢さんがいらした様だ。

 僕は慌てて立ち上がり、挨拶をした。


「あっ、は、はい。おはようございます」


「うん、今日はいい慌てっぷりね。今から開けるからちょっと待っててね」


 高慢さんはそう言ってドアノブに手を掛ける。そしてドアノブを捻ると、さっきまで鍵が掛かっていたはずの扉が普通に、無抵抗に開いた。


「さ、入って良いわよ」




「それで貴女の入るクラスなのだけれど、私が持っている所に組み入れようと思うの。その方が貴女も私も楽でしょ?」


「はい、その方が助かります」


「うん、じゃあこの話題はお終い。次は制服の件なのだけれど……」


 その後、色々と話して時間が過ぎた。






 お昼の時間になった。僕は持って来たお弁当を食べていた。勿論、高慢さんの分も作って来た。そのお弁当を渡すと、


「わーい、美少女の愛が込もったお弁当だ〜」


 と言って、高慢さんは食べ始めた。愛………込めたっけ?


「ん〜っ! 美味しい!」


「そ、そうですか……」


 言えない。朝早く起きたとは言え、時間がないと焦って手抜きで作ったとは言えない…………


「お、美味しいのなら……作った甲斐があり…ます」


「や〜〜ん♡ピュルテちゃんの恥ずかしがっている台詞、か〜わ〜い〜い〜〜!」


 恥ずかしがっているように聞こえたのか?と言うか高慢さんって、本当に高慢なの?

 と言う疑問が頭に沸いたが、僕は口に出さなかった。その代わり質問した。


「あのっ、ちょっと質問があるのですが、宜しいでしょうか……………?」


「ん? よろしいも何も、私の新しい妹だもの。なんでも聞いて頂戴」


「えっと、その……魔力の量を増やしたいのですが…どうすれば良いのでしょうか………?」


 僕はそう言うと、高慢さんは表情を少し曇らせながら答えてくれた。


「ああ……それね………増やすことはできるのだけど……」


 いや、正しくは答えようとしたが口ごもってしまった。何か不都合でもあるのだろうか?


「何か不都合でも生じてしまうのですか……?」


「まぁ……ねぇ………」


 ふむ、気になる。物は試しだと思うからこの後、いろいろと試してみよう。

 と言っても、一つしか思いつかなかったけど。


「言いにくいのなら結構です。変な質問をしてしまい申し訳ないです」


「ううん、気にしなくても大丈夫よ。それでこの後どうするの? 空いて居るならお姉さんとデートする?」


「いえ、この後は予定があるのでお誘いは辞退させていただきます。また今度にでもお願いします。では、私はこれで」


 僕はそう言って食べ終わったお弁当を纏めてバッグに入れ、部屋から出た。

 背後から「美少女にまた振られた……」と言いながら鼻血を垂らしている女性は多分僕の幻覚だろう。

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