第7話

昔むかし 選択され、気に入って購入。 毎日でも使っていた綺麗な絨毯。

確実に人の目を引き付けていた高額な絨毯(じゅうたん)。 人気があった。


今では、黒く成り、絨毯の毛がつぶされ、切れ、色あせて見た目も汚なくて、購入どころか、ゴミとして処理料金を取られる位にまでに成って床に敷きっぱなしに成っていた。

違う意味で目を引き付けていた。 (見るも無残な姿)


ひらひら~、ひらひら~、太った大きな茶色っぽい蛾(が)が真っ黒い天井からゆっく~りと螺旋を描きながら、降りて来た。

床のほこりを舞わせながら、着地する。

汚ない蛾がゆらりゆらりと羽をは・ば・た・か・せ・た。 


まるで溺れているかのように見えていた。

疲れたかのようにバタツキを止め、そして、またバタツカセル、その繰り返しが続いた。

そして、ついにバタツキを止めた・・・・・・力尽きたのか、命が尽きたのか!?・・・・・・。


!?・・・・・・床に静かに吸い込まれて行った。

沈んで行くのと反対に白く小さな二つの羽が中に浮いた。

透けるくらいの顔らしき物!?と両手!?両足!?が羽の周りにあった、軽く四方八方に開いている。


その動きと共に床が時間が経つごとに透明な水面のように丸い波紋広がり、次第に変わっていった。

次第に白と黒のパンダ状のナスカの床絵に成っていく。 秒単位で変化して行った。

始めは、奇妙に見えていたが、慣れるとオリジナルの可愛さがあった。


そこにバレーボール大のスケルトンの玉や野球のたま、ピンポン玉、透明なビー玉 etc・・・がゆっくり落ちて来ては、床に当たり、跳ねては、消えた。

玉には、文字が書いてあった。


L O V E l o v e M E d o.

ユー ノー アイ ラブ ユー.

床に玉が落ちる度に山本太郎の絵画ような超芸術的なピアノに当たり、ゆっくりしたオルゴールが流れる仕組みに成っていた。

ドリカムの『 LOVE LOVE LOVE 』などの愛をテーマにした空中楽譜!?が、玉が落ちる度に曲が次々と流れ続けていく。


奏でている最中 急に一つの赤い玉が床を抜けた。

時間が止まる、コマ送り状態、時間がさか登った。

跳ねて あちらの世界から、こちらの世界に戻って来た時には、汚ない絨毯に戻っていた。

赤い玉が空中で消え、一時の静寂な世界に戻っていた。 何かが軽く跳ねたような埃の塵!?が天井からゆっくりと落ちて来る、透明な天使と共に。

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