カクヨムの人気ジャンル研究 書きやすく読まれやすく、なおかつ面白い作品は可能か 2,640文字

 不可能である。


 カップ麺のような文学作品が理想なのだ。ソッコー作れて、飛ぶように売れて、めちゃ美味しいという。その三拍子をそろえることは、もう一度いうと不可能である。


 書く気力がわかないからと言って「集客論」や「創作論」を安易に語りはじめた私の鮮度はすでに落ち始めているといって過言ではない。がしかし”思ったより投稿できる詩のストックがなかった”つまり「弾がない」ので、創作を連投できない。前の携帯に眠っているのか、どこにいったんだ私の詩は。詩のストックが無いからと言って、短編を書き起こすのも、オチまで考えるのも、いざ発表するとなると、難しいのである。詩なのか短編なのか不明なストックもあって、正直困っている。過去の夢日記でも書き起こそうと思ったが、あまりにプライベートな内容で、恥ずかしかったために、断念。そのため仕方なく、こういったナンダカワケノワカラナイ随想を連ねている私を許してほしい。


 本題に行く前に、唐突に私にとっての「物の書きやすさランキング」を発表すると

 一位 エッセイ、随想、哲学、思想、日記、何らかの手引き

 二位 創作論、創作についてのいちゃもん、レビュー、作品感想

 三位 終章のない短編小説、キャラ構想、台詞の応酬、妄想段階

 四位 作詩、自伝、完成された短編小説

 五位 長編小説


 といった感じである。質はともかく日記形式なら何十万文字でもノンストップでいけそうだが、長編小説に関しては、まず「物語に挑戦しよう」という稀な動機を、自分の心の中で盛り上げることが必要であるため、非常に難度が高い。事実なら楽であるが、フィクションを十万文字続けるのは心が辛いのである。堂々の五位である。私のように、特に野望がない者にとって長編物語というのは、富士登頂、フルマラソン、ノーベル賞級の努力を思い浮かべてしまうのである。これは大げさではなく、「書くなら面白く」をモットーにしてしまうと”妥協できない板挟み”によって、作業を想像するだけで便秘のごとくうんうん唸ること請け合いなのである。例えば国を一から作るとする、法律や文明レベル、人の名前、年齢、人物背景、あ、もう頭が……。

 

 そろそろ本題に入っていく。先日気晴らし? に初心者ながら、カクヨムの[空気]を調べてみた。その結果を簡単に並べてみる。カクヨムにおける人気の傾向を図る指標が★くらいしかないので、ここでは★のみで判断することにする。PV数、フォロワー数、いいねハート総数、等が楽にわかるようになったらいいのだが。機能面での思い付きだが、応援ハートをつけて簡易ブックマークのようなマイリスト機能が増えることを切に望む。そうしたら応援ハートをブクマ的にもっと押しやすくなるだろう。


 『★スターが1000を突破している作品』の数と、属しているジャンルの関係(2017年9月26日現在)


 上位三ジャンル。()内はジャンル内で最も評価された作品の★数。

『異世界ファンタジー』27作品(★8447)

『SF』7作品(★3186)

『現代ファンタジ-』5作品 (★4697)


 1000スター越えの作品が27作もある。異世界ファンタジー……どうやらみんな異世界にいきたいらしい。私も行きたい。明らかに逃避願望社会の闇を象徴している、と分析せざるを得ない数値である。アナタタチ異世界好きすぎかよ。SFの3倍以上の作品数、★スター戦闘力も。他ジャンルを寄せ付けない脅威の数値。「ピピピピピピ……8000以上だ…!(グシャ)」という勢いである。おそらくこの人類の異世界好きの傾向は、世界史が始まってから終末の日まで続いていくと思われる。神話だろうがおとぎ話だろうがハリウッドだろうがアニメだろうが、とにかく異世界・SF・ファンタジーというカテゴリは何と言おうと最強ジャンルたる属性を備えすぎている。まったく隙がない。


 中間の五ジャンル。

 『ラブコメ』4作品 ★2065

 『ホラー』2作品 ★1239

 『恋愛』1作品 ★1279

 『現代ドラマ』1作品 ★1077

 『歴史、時代、伝奇』1作品 ★1349


 漫画ならまだしも小説においてラブコメと恋愛を分ける必要があるのだろうか、コメディタッチでも小説の場合、結局純愛的な表現に収まりそうなものだが。この中間ジャンルに集まっているのは、連続ドラマやヒューマンドラマ映画の主軸となるカテゴリかと思われる。ファンタジーのように映像化難度が高くなく、人気も普遍的であるという強みがある。ラブコメが他の二倍の戦闘力を有していて少し強めに感じるのは、恋愛に希望をもちたい世代の世相を表しているのだろうか。読者が恋愛に希望を持ちたいということは、現実に満足できていない裏付けであり、「希望をもてていない」ということなので、純愛よりコメディという流れは、実は不健康なのかもしれない。


 下位の四ジャンル

 『ミステリー』0作品 ★734

 『エッセイ・ノンフィク』0作品 ★923

 『詩・童話・その他』0作品 ★648

 『創作論・評論』0作品 ★474


 このあたりから「★1000の壁」が大きくなってくる。ミステリというのは、神秘とか謎とか推理系なのだが、単純にトリックやロジックや物理の考察に馴れていないと、「手を出しにくい」ため、TRPG的にヒロインと敵を倒せばいいだけの冒険ものと比べ、作品自体の母数が圧倒的に少ないのだろう。私は書ける自信がない。文学青年が、「よし可愛い女の子を書こう」、とは思っても「よし面白いトリックを書こう」、とはなかなか思わないのである。理系兼、文系兼、教養人兼、探偵マニア兼、文才必須という壁は高いのである。


 詩やエッセイや評論が低い位置にある理由としては、ミステリとは逆に「誰でも書きやすいから」ではないかと思う。私も書ける、みんなも書ける、そういうジャンルで感動を得るのは難しい。同じく、作詩の敷居の低さは言うまでもない。読者は大体の場合、読みごたえを求めていると思われる、1分以内で読めるような作品はそういった人には響いていかないのである。


 ジャンル人気を簡単に調べてみて思ったのは、割と妥当といった感じであるが、異世界の愛され具合はカナリ意外だった。飛びぬけている。


 書きにくいが、読まれやすく、ソコソコ面白くなりそうな異世界系。

 書きやすいが、読まれにくく、アマリ面白くない我が創作論。


 いつかは全ジャンル制覇もしてみたい、と思ったり思わなかったり。創作論はこれからはほどほどに……しておきます、たぶん。

 では、今までと今後の研究と方法論が活かされる日を信じて。


 終

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