第1話始まり。
東京都某所に住むこの少年は、
現在18歳。高校3年生である。
特別やりたい事もなく、目標もなく、ただただ時が過ぎるのを眺めているだけの平凡な生活を送っている。
「うーん。暇な生活も飽きてきたな…」
そんな事をぼやついている。
「おーい!ユウヤ!いつまでそこにいるんだよー?」
と、声を掛けて来たのはユウヤの幼馴染のツバサであった。
「ん?うーん。ツバサさぁ、なんか面白い事ないかなー?」
そんな事をふと問いかけてみるユウヤ。
「お前、そんな事言ったってなにやらしてもすぐ辞めるじゃん。そろそろ自分でやりたい事見つけたら?」
と、付き合いの長いツバサならでの返答。
「やりたい事ねぇ。ていっても、いまいちピンとこないんだよなー。」
と、ユウヤは小さくぼやく。
(とりあえず帰るか。)
そんないつもと変わらない1日を過ごし、帰路に着く。
「ユウヤさぁ、そーいや最近ゲームやってる?前は学校休んでまでやってたじゃん!話聞かないけどどーした?」
少しツバサは心配してる様子。
「んー、ゲームなんて全然やってないよ。なんか時間の無駄な気がして。笑」
「お前それ今更言う?笑
もっと早く気づけよ!」
とユウヤのぼやきにすかさずツッコムツバサ。
「………」
「え?なあ、ツバサ。今なんか聞こえなかった?」
「いや、今さっきおれが華麗なツッコミお見舞いしたばかりじゃん!」
「華麗って自分で言う?笑 いや、違くて!今なんか女の子の声しなかった?」
「え?してないだろ!なに、ユウヤついに彼女いなさ過ぎて幻想見るようになった?笑」
「はっ!ちげーし!!いーよ、もう!」
「怒るなよ〜笑 なんも聞こえなかったよ?」
「あ、まじか。じゃあ、空耳かな。まあいっか!」
そんな不思議な現象に見舞われつつ、街中を歩いていた。
ユウヤは変な感覚を覚えていた。
幻聴が聞こえ出したのは、これで1週間目なのだ。
「……けて。」
「え?なあ、ツバサ!今のは聞こえたよな?!」
と、ユウヤはツバサの肩をたたく。
「はあ?だから、聞こえないって!大丈夫?お前最近なんかあった?」
と首を傾げるツバサ。
「いや、、、なんでもない!!」
ユウヤは諦めてそれ以上は問わなかった。
「あ、そーいえばユウヤさ!あのアニメみた?異世界召喚のやつ!」
「あー、あれだろ?ホントお前あーゆうファンタジー系好きだよな。笑」
「だって、面白いじゃん!あー、おれも異世界でかわいい女の子と出逢いたいなー。」
「まあ、気持ちはわからなくないな。笑」
と、最近の流行りである異世界ファンタジーのアニメの話で盛り上がる。
「なあ、ユウヤさ!あんなアニメみたいな事起きたらさ、どーするよ?!おれまじで異世界行きたい!」
「まず、あり得ないだろ。笑 それに死んだらみんな異世界いくじゃん。笑」
「なにつまんない事言ってんだよ、ノリわるっ!!」
「まあ、もうガキじゃないって事だ!あ、じゃあオレこっちだからまたな!」
「充分ガキだからユウヤ。笑 おう!また明日な!」
そんなやり取りをしながら、2人は帰路を別れた。
「……すけて」
ツバサと別れた直後、また幻聴が起きる。
「え、また?今日は多いな。」
「たすけて!!」
「え?助けて?どうゆう事だ?おい、誰かいるのか?!」
ユウヤの声が静かに響く。
「なんだし!!…ん?」
マンションの下で何かの影を見つけるユウヤ。
「え、犬じゃん!しかもケガしてるって!」
子犬を見つけたユウヤは走って駆け寄る。
人の接近に気付いた子犬が驚いたのか、立ち上がり引きずった足で逃げる。
「え、おい!待てって!ケガしてるから!」
言葉なんてわかるはずもないのに、声を上げて子犬を追いかける。
子犬が路地に入りその後を必死に追いかけると、古い家の裏手にでたのである。
少し立ち尽くしてしまい、すぐに子犬を追う。
すると、古い家の裏手に人1人通れるか通れないかのドアがあった。
下部に小さな穴が空いており、子犬が入っていく。
「まじかよ。まあ、ケガしてるししゃーないな。すいませーん!お邪魔します!」
ゆっくり扉を開け、中に入る。
「いや、暗くてなんも見えねー。明かりはっと。」
ユウヤが携帯をポケットから取り出しライトをつける。
「よし、これで……え、おわっ!」
踏み出した地面が抜け、落とし穴の様なものに落ちる。
数メートルぐらい落ちたのか、暗闇の穴の中でユウヤは意識を失う。
「……ん、うん?」
目を覚ますと、先程追いかけていた子犬が顔を舐めている。
「なんだよ。あんな逃げてたのに、いきなりどーしたんだよ?」
子犬を撫で、起き上がると妙な異変に気がついた。
「まじか…。こんな事ある?!」
そこは、さっきまで夜だったとは思えないほど晴天で、周りは何もない豊かな草原が広がっている。
「ええっと、今何時だ?!携帯!!」
携帯を探すユウヤの後ろで声がする。
「君は…だれ?」
「え、、、、」
振り返るとそこには、水色の綺麗な髪を腰まで伸ばし、赤色の澄んだ目をした女の子がこちらを見ていた。
「………」
ユウヤは黙るしかなかった。この状況が意味わからなかった。
一つため息をつき訪ねてみる。
「あの、ここはどこなんでしょう?」
女の子に尋ねると、
「…?ここはティンバー村の外れにある草原よ?ほら、あそこに村が見えるでしょ!あそこがティンバー村。わたしの住んでる村よ!」
ここから、想像をした事もない物語が始まる。
出逢いと冒険のファンタジア @kame1990
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