第4話 攻撃魔法
「アース・ボウ」
今度は攻撃魔法だ。土属性である、魔力の石で生成した石の矢を打つというシンプルな魔法で、威力も火属性の「ファイア・ボウ」に比べると小さい。
僕が打ったのは的を貫通するだけなのに比べて、ファイア・ボウは的ごと吹っ飛ばしていた。元々の才能の差もあるだろうけれど、魔法の属性の差もありそうだ。
その代わり的を正確に射ぬくのには向いているらしく、練習し始めでも二十メートルくらいの位置から的の中心を十発に一発くらいは中てていた。
こういった射撃系の魔法を練習するためのスペースも用意されていて、校庭の隅に屋根のない弓道場のようなスペースが設置されている。そこで何人かが並んで射撃系の魔法練習を繰り返していた。
僕が隣で練習していても声をかけてくる子はいない。本当に同じクラスに友達はいないようだ。
まあ、いいか。露骨な嫌がらせやいじめがない限り、隣人なんてどうでもいい。
魔法の余波が及ばないようにするためか、的が並んだ土壁には魔力障壁でも張られているらしく的がどれだけ盛大に吹き飛んでも傷一つ付いていなかった。
ちなみにこの世界における魔法使いは正面から戦えば強いが、魔法しか身につけていない者は油断しているところをひったくりなどの軽犯罪者に襲われることもあるらしい。魔法使いはそのステータスゆえに年収が平均以上のものが多い。以前は学生の魔法使いを狙った誘拐未遂事件も発生したそうだ。
安定した生活を維持するためにも犯罪への備えは必要だ。攻撃系の魔法や、護身術も練習しておいた方がいいだろう。
現実でも護身術と健康維持がてら、合気道の町道場には通っていた。でも武道系の部活動はしなかった。勉強時間が取れなくなるからだ。秀才組は部活も勉強もトップだったけど、僕にはそんなことは到底無理だった。
何十回もアース・ボウを練習すると命中率が上がってきて、初めは的の周囲の地面を土だらけにしていたが二回に一回は的の真ん中に命中させられるようになってきた。ゲームでもレベリングが苦にならないタイプだし、こういう地道な作業は嫌いじゃない。
授業の終わりを知らせるフクロウの声が聞こえるまで、僕はずっと練習に励んだ。
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