暁金牙の報告書その4
七月三日
ついにテミンから武具が届きました。ダン様には剣と盾を見繕いました。先程テミンから聞いたのですが、ダン様の装備品をわざわざ陛下が払われなくても……。正直、驚いてしまいました。お気遣いありがとうございます。
ダン様は頂いた装備品を使い、アルと共に実戦の練習に入ったようです。時間が許す限りリアンに指導させますが。ダン様が習うのは攻めるための武芸ではなく守るための武芸です。リアンとアルも「万が一の時に生き延びてもらうため」と申しておりました。そこはご安心ください。
さて、また一つご報告がございます。心してお聞きください。
現在の状況から考えられるのは二つ。一つは陛下の統治するハベルトに対して反逆を起こす可能性。もう一つは宮殿のみを襲撃して陛下を狙う可能性。他にも色々あるかと考えましたが、これ以外の可能性はかなり低いです。
皇太子様の状況を報告した上でお聞きいたします。陛下、もし皇太子様が反逆を企んでいた場合、どうされますか?
陛下が許可されるのであれば、できる限りの手を打って反逆を利用したいと考えております。国家反逆罪ということにして、反逆と同時にこちらも応戦する、というものです。これならば陛下の地位も名誉も守れます。
もちろん、応戦するのは陛下とダン様の命をお守りするためです。皇太子様のことですから、お二方の命を狙って何をするのかわかりません。ですが、一つ問題がございます。
応戦すれば皇太子様が命を落とすかも知れません。もちろん、なるべく穏便に済ませたいですが、皇太子様がその気であればこちらも相応の覚悟が必要です。陛下、最悪の場合皇太子様が死ぬ、その覚悟はおありですか?
陛下からの返事を頂き次第、陛下の意向に合わせて策を立てます。二週間後には当主会談を開き、策を共有する予定です。是非とも早めに返事をなさって下さい。残された時間はそう長くないと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます