第3話 撃破
だが、火炎魔法を展開する際に一瞬だけ隙が生まれる。そこを狙えば、なんとか逃げ切れるかもしれなかった。
敵の飛翔艇が詠唱をはじめ、微かに機体が光はじめる。後方からの攻撃を大きな円を描きながら旋回し避けつつ、前方にいる敵の飛翔艇へ向けて飛び続けた。
赤黒い焔が敵の機体を電流の様に駆け抜ける。 「Flash genauso geboren」アレクシスの小さな呟きと共に、一瞬。眩い閃光が敵機から発せられた。
機体ががたがたと振動しながら閃光の中の敵目掛けて突進する。そして、敵機に、下部に取り付けてある機関銃を接触させ、小さな火種をおこす。
詠唱が不完全であった為に術は成らなかったものの、火種をおこすことにより、詠唱により内包していたエネルギーが誘発され、敵機体ごと爆発する仕組みだ。
その爆発と強い衝撃と共に、〝高貴〟はさらに前へ押し出される。当然の事であるが、欠損箇所は機関銃だけで済まず、
「じゃあ、このまま刑務所上空へ行って」
「上空ですか??」
「そう、そう!なるべく低空で飛んでほしいんだけど」
ほら、あそこに向かってね!
シュミレーターが起動する。目の前に光の輪が出現し、飛ぶ方向や敵に発見されにくい位置まで教えてくれた。輪は螺旋状にうねり、刑務所内の低い場所に続き、障害物を潜り抜けていた。建物の間を、しかも敵機に追われながら飛行するとなると難易度がかなり跳ね上がることだろう。
「ーーー私の本職知ってますよね?」
「聞いてないけど??」
「高校の教師に、このコースを扱えるとおも…」
「自衛隊っていうところから依頼を受けてきたんだよね??なら問題ないよね〜」
どこかひょうひょうとし、相変わらず気の抜けた声でアレクシオは答えた。現状や一樹のことに興味がない様子で、乱れた髪を直している。元々ぼさぼさだろうが…と、その光景を憎々しい思いで見つめ、一樹は何度目になるかわからない舌打ちをした。
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