第124話 救出ばぶー。

 きゅぽん


 おんぶしてくれていたビビンを指輪に戻す。


 『救出するでちゅ!』


 ワーシップクラブの前に行き、マジックバックで作っていたモノを出す。


 『ててててっててー。ブラッディイールの干物~でちゅ。』


 出した途端に前進した蟹のハサミで


 ズバァァァン!


 干物を食べ始める。

 『し、死んだと思ったでちゅ!蟹の癖に前進するでちゅ!』


 モシャ…モシャ…


 蟹が餌に夢中になっている間に、高速ハイハイで背中に回り込み人魚を救出する。


 呪いでちゅ。呪いの鎖でちゅ。


 『呪いの鎖で人魚にさわれないでちゅね。』

 『パパ!それ、ルビーちゃん。なんとなくわかるよ!』


 俺の影から飛び出したルビーちゃんは、呪いの鎖をいじり始める。

 「こーして、こーするでしょ。で、こーするの!」


 ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…


 呪いの鎖は蟹の甲羅にえがかれた魔方陣に飲まれ、人魚が落ちそうになったので、マジックバックにしまう。

 「えへへ!どう。」

 『えらいでちゅ!いい子でちゅ!』


 「鎖の魔方陣が消えたから、監視用の魔方陣を使って来てみれば、実験を邪魔する泥棒が現れてるとは…。」


 背後に男が立っている。ルビーちゃんが、俺を抱えて大きく横に跳ぶ。


 「話は最後までききなさい。監視用の魔方陣ではたいしていられないんですから、動かないでくれると処分が楽で助かる。」


 に立つ男が会話を続ける。


 『スキヤキ様…。レベル148…上級魔族と思われます…。』

 「魔族のたしなみだから、名乗らせてもらうよ。磔魔人はりつけまじん。坊やの背後に磔させてもらった。」


 「あるじ様から離れろ!」

 ライナが飛び出し応戦する。


 「ほぉおー?私に攻撃できますか?ふむふむ。」


 ビュンビュン!パシィ!

 全ての攻撃が軽くいなされる。


 「つまらないですね。攻撃はできても、実質は中級魔族程度…。そこでむしゃむしゃしている実験体以下です。」


 ≪試験台磔しけんだいはりつけ


 「ブヒィ?!」

 急にライナが吹き飛ばされ、壊れた船のマストに磔にされる。


 「本当に時間がないのですよ。動かないで頂きたい。」

 「ふざけないでよ!」


 ≪アシッドボム≫

 ≪ファイヤーボム≫


 ≪試験台磔しけんだいはりつけ


 ドカーン!


 投げた魔法が、急にルビーちゃんに磔され爆発を起こす。


 「きゃぁ!!!」


 『ルビーちゃん!』


 「死なないでくださいね。私、順番は気にするんです。1番、坊や。2番、あなた。3番、オークです。坊や、死になさい。」


 シュパッ!


 手刀で俺の首を飛ばそうとした瞬間、俺と磔魔人はりつけまじんとの間にマストをへし折り立ちふさがった。


 「な、なめんじゃねぇよ。あるじ様には指一本触れさせねぇ…。」


 右腕を切り飛ばされ、胸の半ばまで、磔魔人はりつけまじんの手が刺さっている。


 『ラ、ライナ!』


 「私は優秀な物が大好きです。あなたの忠誠をたたえて、私はあなただけ殺しましょう。時間もないですし。」


 「ぐっ!あぁぁぁぁ!!!!」

 ズブズブ…

 魔人の手がさらにライナの胸にめり込む。


 「ぁぁぁぁ!!!!」

 ズブズブズブ…ブチィ

 胸から魔石を引き抜き握りつぶす。


 パリィ…ン


 ドサッ

 ライナがゆっくりと崩れ落ちる。


 「ばぶ!!!!」


 「約束ですから、・・・が、実験体!残りの始末を!」


 パチン!


 磔魔人はりつけまじんが指を鳴らすと、蟹が雄たけびをあげ暴走する。


 「ぎしゃゃゃぁしゃゃゃぁ!!!」


 「時間ですね。」

 魔人が消える。


 「ぎしぁぎしぁしゃゃゃゃゃぁ!!!」

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