第106話 食物連鎖ばぶー。

 『あるじ様。今からでも食事できますわ。』

 『そうです。昨日が200年前に比べたら、些細なことです。』

 元気づけてくれてるでちゅ。


 「でちゅ!」

 (ありがとう。そうするでちゅ!)


 砂浜で、ジェリルを想い食事をしようと、おーりぃの腕輪の中を見ると…。


 「ばばば!ばぶ?!」

 『スキヤキ様?!』

 『主様?!』


 『凄いことになってるでちゅ。』

 『考慮していませんでした。200年もたっていれば、食べ物が砂になっていてもおかしくありません。』

 『違うでちゅ。マジックバックの中が、ジャングルでちゅ。』


 食べ物は食い散らかされて、すでになく。ガラスガーデンはジャングルになって、鶏と豚は野生化し、食物連鎖の頂点の奪い合いをしている。


 『『…。』』

 『レベル25の鶏って、出したら食い殺されそうでちゅ。』


 ジェリルごめん。また、今度でちゅ。


 食べ物がないため、リキーダの宿屋に向かうことにした。


 海岸のそばにある小腹亭に入り、宿屋の受付兼食堂で7泊食事付きを頼む。

 「ばぶ。」

 「あら、かわいい赤ん坊。おかーさんはどこ?」

 「ばぶば。」

 「探してあげたいけど、お仕事中だからごめんね。」

 「ばぶ。でちゅ。」

 『う~ん?全然、会話できないでちゅ。』

 『スキヤキ様。会話も意思疎通も、スキヤキ様から正しく伝わってないようです。』

 『困ったでちゅ。注文できないでちゅ。』

 『あるじ様、代わりにあたしが・・・』


 空気が変わり、振り向くと、大きな漆黒のハンマーをもった赤髪の女性が立っている。

 「あたいは死神のソフィー。10数えるまで時間をやるよ。逃げたいなら逃げな。ま、時の呪縛からは逃げらんねーんだけどな。」


 死神と俺以外のすべてが、灰色の時間の中に止まっている。


 前世の知識では、ゲームで巨大な武器が壁にめり込んでも壁が壊れていないように、ハンマーが天井を壊さずに重なっているでちゅ!

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